【中学受験】に役立つ「親子で読みたい物語」8選 2020年度最多出題数を誇る王道作品〜最新出題まで
2024年度の最新入試で出題された作品や、数多くの学校が出題している中学受験の王道作品など、今読むべき中学受験出題作品を厳選してご紹介します。
【表紙画像付き】トレンドはこれ!【中学受験に役立つ】親子で読みたい物語9選中学受験の入試問題で必ず出題される「物語文」。
小学4年生〜5年生になると、「中学受験に出題された本を読ませたい!」と思うご家庭も多いのではないでしょうか。ですが、過去に出題された作品のジャンルのも幅広く、レベルも多岐にわたるため、本を選ぶのに迷ってしまいますよね。
そこで、今回の記事では、これまで数多くの学校が出題した中学受験の王道作品や、2024年度の最新入試で多く出題した作品など、中学受験の傾向をもとに今読むべき作品を厳選してご紹介します。さらに大手中学受験塾で受験指導などを担当し、1000人超の子どもと関わったライターによる【出題ポイント】も公開。
また、ご紹介する作品はお子さんだけでなく、保護者の方も一緒に読み、作品について語り合うことで、お子さんの視野が広がるきっかけにもなるはずです。
「親子の受験」とも言われる中学受験。ぜひ親子で読みたい一冊を見つけてみてください。
児童文学賞受賞が鍵!? 2024年度入試に出題された作品をご紹介!
作品名:『雪の日にライオンを見に行く』
著者:志津栄子
【あらすじ】
中国残留邦人の祖父を持つ唯人は、何をするにも自信がなく、話すのも苦手。そんな唯人はクラスメイトがあれこれと話しかけてもそっけない返事ばかりして、クラスになじもうとしない、転校生の生島梓に親近感を覚えるようになる。老人福祉施設を訪問してのクリスマス会、年末年始の家族のやりとり、年明けのなわとび大会……。唯人は、中国残留邦人として祖父が抱えてきた悩みや家族への葛藤、梓が抱えている孤独を知っていく。
【出題ポイント】
中学受験では、その年に話題になった児童書から出題されることが多く、児童文学賞を受賞した作品は毎年注目を集めています。本作は第24回ちゅうでん児童文学賞で大賞を受賞した作品です。これまでにも同賞を受賞した作品が頻出しています。
作品名:『波あとが白く輝いている』
著者:蒼沼洋人
【あらすじ】
海光小学校6年生の三船七海は1歳のときに東日本大震災で母と祖母を亡くし、祖父と母の妹・汐里と暮らしている。ほとんど母の記憶のない七海は、母の同級生から、母が熱心に取り組んでいた海光祭のことを耳にする。それは地域の人たちの協力を得ながら作り上げる、海光小の大イベントだったが、震災後はとだえ、開催されていなかった。震災から10年が経ち、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか「亡き母が愛した、海光祭を復活させたい!」という思いをもとに七海の新しい挑戦がはじまる!
【出題ポイント】
第63回講談社児童文学新人賞佳作を受賞した作品で、同賞を受賞した作品も毎年中学受験の素材文として頻出しています。
また、本作は「新型コロナウイルス」という子どもたちの生活にも大きな影響を与えた社会的な事象をテーマにした作品。中学受験ではニュースや世の中の最新のトピックを取り上げた作品もよく出題されています。
作品名:『光のうつしえ』
著者:朽木祥
【あらすじ】
真夏の夜、元安川に、人々は色とりどりの灯籠を流す。光を揺らしながら、遠い海へと流れていく──。
68年前の8月6日、広島上空で原子爆弾が炸裂した。そこに暮らしていた人々は、人類が経験したことのない光、熱線、爆風、そして放射能にさらされた。ひとりひとりの人生。ひとりひとりの物語。そのすべてが、一瞬にして消えてしまった。終戦から25年後の広島、中学生たちを主人公に、残された人たちの悲しみ・苦しみの深さに触れる物語。
【出題ポイント】
本作は、第63回小学館児童出版文化賞受賞作です。
日本の歴史的背景を題材にした作品は、当時を生きた人々の心や思いを想像することで、中学受験の物語文において重要視される「他者理解」が深まります。時代が進むことで風化してしまいがちな「原爆投下」の恐ろしさをどう伝えていくのか。親子で読んで感想を話し合ってみることが、子どもの新たな視点に繫がるかもしれません。
桜蔭や灘、多数の難関校で出題された作品とは?
作品名:『物語ること、生きること』
著者:上橋菜穂子・瀧晴巳
【あらすじ】
人はなぜ物語を必要とするのか。自分はなぜ物語をつむがないといられないのか。どうしたら自分だけが書くことができる物語にたどりつけるのか。「獣の奏者」、「守り人」シリーズなど、ベストセラーを生みつづける作家・上橋菜穂子が、原体験となった祖母の昔話から、自作の誕生秘話までを語る。読むことの喜び、書くことの喜び、そして生きることの喜びを教えてくれる一冊。
【出題ポイント】
桜蔭中学校、灘中學校、雙葉中学校など多数の難関校で出題され、単行本発売から10年経った今でも入試問題として使用され続けています。中学受験を志す方なら、必読の一冊です!
親子で「なぜこの本が長く中学受験の素材文として出題されているのか」を考えてみると、中学受験に出題される作品の傾向を摑むことができるかもしれません。
作品名:『十二歳』
著者:椰月美智子
【あらすじ】
小学6年生の鈴木さえ。友だちもいっぱいいるし、ポートボールに情熱を燃やす楽しい毎日を過ごしていたのに、突然何かがずれ始めた。頭と身体がちぐはぐで、なんだか自分が自分でないみたいな気がする。それはいきなりやってきた頭痛といっしょに、さえの気持ちを不安にさせる。大人になったら、自分は特別な「何か」になることができるのだろうか? それまでの自分とは、まったくちがってしまった自分をみつめる、さえの「十二歳」の1年間を描く物語。
【出題ポイント】
椰月美智子さんの作品は毎年多数の学校で出題されています。なかでも『十二歳』は受験生と同じ小学6年生が主人公ということもあり、『しずかな日々』と同じく、多数の学校で出題されました。思春期を迎えた子どもの心情を瑞々しく描いた一冊です。
中学生が主人公の作品も出題の傾向にあります!
作品名:『ハーベスト』
著者:花里真希
【あらすじ】
人と話すのが苦手で本好きなぼく、彫りの深い顔立ちで少し怖かったけど実は優しい虫好き西森くん、いつもユニコーンのぬいぐるみを抱えた長いおさげでアメリカからの帰国子女の先輩アズサ、それぞれの事情を抱えた3人がフランス語で菜園を意味する「ポタジェ」を作るために顧問の平林先生と奮闘する物語。
【出題ポイント】
小学生でも読みやすく描かれている中学生が主人公の物語文は中学受験でも多く出題しています。本作はさまざまな悩みを抱えた3人が園芸部で心を通じ合わせる物語。3人の悩みの理由や心情の変化を想像しながら読むことで、「他者理解」を深めるきっかけにつながります。
作品名:『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』
著者:こまつあやこ
【あらすじ】
タイトルは、マレーシア語で「五七五七七」という意味。
中2の9月に、マレーシアからの帰国子女になった沙弥は、日本の中学に順応しようと四苦八苦。ある日、沙弥は延滞本の督促をしてまわる3年の「督促女王」に呼び出されて「今からギンコウついてきて」と言われ、まさか銀行強盗? と驚くがそれは短歌の吟行のことだった。短歌など詠んだことのない沙弥は戸惑う。しかし、でたらめにマレーシア語を織り交ぜた短歌を詠んでみると……。
【出題ポイント】
本作は中学2年生の少女が主人公の物語文です。「短歌」という日本の文化が題材となっている点や、マレーシアと日本の学校の違いなど中学受験の題材として好まれやすい作品となっており、2019年度の最多出題作品として多くの学校で出題されました。
また、本作は第58回講談社児童文学新人賞を受賞しています。
2020年度入試で最も出題された中学受験の王道作品とは?
作品名:『十四歳日和』
著者:水野瑠見
【あらすじ】
14歳の1年間を瑞々しく描く、オムニバス作品集。
男子も、女子も、みんないろいろ抱えてる。
1 「ボーダレスガール」
いけてるグループに入れた葉子だが、本当の自分の居場所はここではないって気づいてる。でも、現実は甘くなくて……。
2 「夏色プール」
たけるは、水泳クラブで小さなころからずっと芙美といっしょだった。でも芙美に好きな人ができてから、調子がおかしくなったのだが!?
3 「十四歳エスケープ」
すごく軽い気持ちで応募したオーディションの一次審査に通った、律。その日から世界が変わってしまった。でも私、本当にアイドルになりたいの?
4 「星光る」
人当たりは悪くないし、勉強だって頑張っている、大地。でも謎めいた学年1位にどうしても勝てない……。だれなんだ、1位は?
【出題ポイント】
2020~2022年度中学受験で多くの学校で出題され、2020年度の中学受験では最も出題された作品です。発売から数年が経った今も、数多くの入試問題の素材文として出題されています。本作は14歳の男女の心情をわかりやすく丁寧に描いたオムニバス形式の作品です。どれから読んでも読みやすく、「中学受験にむけて本を読ませてみたい」と思う方におすすめの一冊です。
「中学受験のための読書」をはじめてみよう!
本記事でご紹介した本の中に、気になる作品はありましたか?
中学受験は知識や学力だけでなく、考える力や表現力、物事を多角的に見る力が求められる場でもあります。本記事で紹介した本を読むことで、楽しみながら中学受験に繫がる一歩を作ることができます。
そして親子で一緒に本を読み、感想を語り合う時間のなかで、子どもに新しい視点や価値観を増やすことに繫がります。
「読んでみたい!」「おもしろそう!」と思う本があったら、ぜひ手に取ってみてくださいね。