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【山形県知事・吉村美栄子】第2回「母子家庭の経験から全国のシングルママ、パパを支援したいと」

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移住後5年間にわたり県産米を年間40kg、さらに移住1年目は味噌と醤油もプレゼント。賃貸住宅の家賃補助、仕事の支援。これは山形県が独自に行っている「ひとり親家庭への支援」です。この政策には、山形県知事として活躍する吉村美栄子山形県知事の経験や思いも反映されているといいます。その思いとは?

ひとり親家庭のための4つの子育て支援

──現在、山形県で「“シングルママ・パパいらっしゃい”ひとり親家庭の子育て支援in山形」を実施されています。これはどのような制度ですか?

吉村美栄子山形県知事(以下、吉村知事):これはひとり親家庭の山形県へのUターン、Iターンを応援する政策です。具体的には、食の応援として移住後5年間は県産米を年間40kgプレゼントします(移住後1年目は60kg)。さらに味噌と醤油も進呈しています。育ち盛りの子どもたちの食費は、ひとり親世帯だと意外と負担に感じることもあるかと思います。子どもたちがしっかりと食べて元気に成長できるよう、おいしい山形のお米をお届けします。

──住宅支援も行っているそうですね。

吉村知事:賃貸住宅の家賃として移住後2年目まで月2万円、移住後3年目まで月1万円を補助します。

正社員率は全国トップクラス。働きやすい職場づくりも

──移住する場合、仕事が見つかるか心配する人も多いと思います。

吉村知事:山形県では、女性の正社員を増やすような取り組みをしています。それもあり山形県の女性の正社員率は全国でも高い水準です。加えて、柔軟な働き方ができるように社会保険労務士の方と連携して企業を訪問し、様々な課題の解決に努めています。また、ひとり親家庭の子育てや生活、就労などのさまざまな相談にワンストップで対応する「山形県ひとり親家庭応援センター」もあります。ここで相談や情報提供、研修開催などの就職支援を行っています。

病気で夫を亡くし、母子家庭に……

──ひとり親家庭支援がとても充実していますね。力を入れているのには、どのような理由があるのでしょうか?

吉村知事:実は、夫が45歳のときに病気で亡くなり、それ以降、母子家庭で子育てをしてきました。当時、上の子は大学生で離れて暮らしていましたが、下の子はまだ中学生でした。夫と義母の希望で、ずっと専業主婦だったのですが、これからは精神的にも収入的にも一家の大黒柱として家族を支えなければいけないと思い、再び社会に出ることを決意しました。

──20年近くブランクが空いての職探しは大変そうです。

吉村知事:最初は、1日4時間だけ働く仕事に非正規雇用で就きました。長期にわたる夫の看病で疲れていたこともあり、体力的にはちょうどよかったんですが、収入は少なかったですね。とくに連休があると収入が大きく減るんですよ。だからこそ、安定した収入が得られるよう、子育て中のママでも働きやすい環境を整えることが必要だと感じました。

その後、山形市総合学習センターの職員として働くようになったんですが、今度は義母が病気になり、家にいてくれないかと言われたため2年働いた仕事を離れることになりました。

──せっかく外に出て働きだしたのに、また家に戻ることになってしまったんですね。

吉村知事:そうです。でも家に戻ったら義母の病状が落ち着いてきたこともあり、暇になったんです。それで若いころに取得した行政書士の資格を活かして、自宅で開業しました。その後、知事として立候補、現在に至ります。

出産後に取得した行政書士の資格で起業

──行政書士の資格はいつ取得されたのでしょうか?

吉村知事:第一子である長女が生まれたときに取得しました。長女はよく寝てくれたし、義父母や義妹も子育てを手伝ってくれる状況だったので、エネルギーを持て余していたんですよ。子育て中は、なかなか遊びに行くこともできません。そんなとき新聞で見た資格が気になり、通信講座で勉強して取得することができました。私は、子育てを手伝ってくれる大人が周りにたくさんいたため時間が取れましたが、一人で子育てしていたら難しかったかもしれません。

──吉村知事が子育て支援やひとり親家庭の政策に力を入れるのは、ご自身の経験もあってのことだったんですね。

吉村知事:はい。特に母子家庭の場合は、所得が低くなる傾向があります。子育てをして生活に困っている人がいれば、私は社会で応援すべきだと思います。そこで立ち上げたのが「ひとり親家庭の子育て支援in山形」です。コロナ禍では、ひとり親家庭にお米を配ったり、「山形の贈り物」というカタログギフトを送ったりと、その時々でサポートしています。

20年近く専業主婦だった経験が政策に反映

──吉村知事は20年近く専業主婦をされてきましたがその間、働きたいという気持ちはあったのでしょうか?

吉村知事:私自身は働きたい気持ちがありました。ただ社会に対する関心は持ちつつも、義母と夫の希望を受け入れ、専業主婦としてやってきました。その後、さまざまなご縁から山形県知事となり、行政に携わることになりました。専業主婦としての経験が知事として子どもやママたちの生活を改善するために役立っているのではないかと思います。

(編集後記) 知事就任1期目から子育て政策に力を入れる山形県吉村知事。20年のブランクを経て仕事復帰。さまざまな職を経て知事に就任された裏には、大切なご家族との別れがあったとのこと。母子家庭の大変さがわかるからこその政策に、救われる人も多そうですね。インタビュー第3回目は、山形県の子育て政策の具体的な内容についてお知らせします。

※取材は2024年2月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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