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手話や音声をリアルタイムで文字に AIシステム「シュアトーク」を窓口で活用、釜石市

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釜石市が導入した「シュアトーク」。手話と音声が文字に変換、表示される

 釜石市は3日、聴覚障害者とのコミュニケーション環境の向上を図ろうと、人工知能(AI)の技術を使って手話を日本語の文字に変換するシステムの利用を始めた。ソフトバンクなどが開発中の「SureTalk(シュアトーク)」というシステムを入れたタブレット端末を大渡町の市保健福祉センター2階、地域福祉課窓口に設置。端末に向かって手話で話しかけるとリアルタイムで文字に変換して画面に表示され、手話ができなくても円滑なやり取りが可能になる。健聴者の音声も文字に変換する機能が備わっており、加齢に伴い聴力が衰えてくる高齢者らとの会話にも使え、窓口対応の充実に役立つと期待される。

 地域福祉課窓口で向かい合って座る職員と聴覚障害者それぞれの目の前に、カメラを搭載した専用のタブレットが置かれ、シュアトークの画面が映る。左側に健聴者の職員と聴覚障害者の姿、右側には会話がチャットで表示される。AIで手話の映像や音声を解析し文字化する仕組みで、画面越しに対話ができる。

聴覚障害者と健聴者はシュアトークが入ったタブレット端末を通じて対話ができる

 例えば、同課窓口に聴覚障害者が訪れた際、職員がタブレットに向かって「どうされましたか」と声をかけると画面にすぐに文字が出た。聴覚障害者が手話で話しかけると、5秒ほど後に「障害者手帳をなくしました」と文字が出た。その後も、「再発行したい」「分かりました。書類を準備します」と会話が続き、職員が手話を理解できなくても、意思を伝達することができた。

 市では6月、聴覚障害者への理解促進と手話の普及などを定めた「市手話言語条例」を県内で初めて施行し、それに伴って同システムを導入した。市によると、市内で障害者手帳を所持する聴覚障害者は153人で、うち手話をコミュニケーション手段としているのは6人。一方、手話通訳士は同課職員の1人だけ。有資格職員が不在時には健聴者の職員が筆談で対応してきたが、うまく説明できないこともあった。また、聴覚障害のある人が窓口を訪れる際は健聴者が付き添うケースがほとんどだが、当事者を取り残して話が進み、知るべき情報の理解や納得が十分ではないと感じる場面もあったという。

手話通訳士の資格を持つ市地域福祉課の職員もシステム導入を歓迎する

 手話通訳士の資格を持つ同課の岩鼻千代美課長補佐は「円滑に意思疎通する手段の一つになる」と導入を歓迎。手話に興味を持つ職員が増えればと期待も寄せる。市では共生社会の実現を目指した取り組みを進めており、村上徳子課長は「聴覚障害のある人も遠慮することなく窓口に来てもらう体制が整った。誰もが社会で活動できるよう、こうした手段を増やしていきたい」と力を込めた。

シュアトークの導入は市職員が手話になじむきっかけにもなると期待される

 シュアトークは現在、手話の単語約1500を文字化できるが、手話は方言や地域固有の表現があり、AIが学習するために必要な大量のデータがまだそろっていないという。そのためソフトバンクは、同条例を制定した全国11自治体にシステムを1年間無償提供していて、窓口を訪れた人に利用してもらい、手話データなどを収集した上でシステムの精度をあげようとしている。

 同社の田中敬之担当課長は「聴覚障害を持つ社員がおり、コミュニケーションのずれを解消したいと開発を始めた」と活用を促す。7月には手話の動作画像の登録機能がついたiPhone(アイフォーン)向けのアプリも発表。「手話を知らない人も動作をまねて登録してもらえれば、いろんな手話を認識できるようになる。AIが手話を学習していくことで変換の精度が向上し、利便性も高まる。言語の一つとして認識が深まれば」と協力を呼びかけていた。

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