千葉発・ソーラーシェアリングの今!農業とエネルギーの問題を一挙に解決【匝瑳市】
「農業をもっと若者にも魅力ある仕事にしたい」と長島彬さんが創案したソーラーシェアリング。実際の農地で活用できるようになり10年を経て、その夢が前進しています。
太陽光を農業と発電で分け合う(シェアする)ソーラーシェアリング
農作物に十分に日差しを与えながら、過剰な太陽光は農地の2〜3m上に設置した細長いパネルで受けるソーラーシェアリング。
その基本設計をネットで公開したものの普及につながらなかったため、2010年に市原市の宅地内で実証実験を始めた長島さん。
翌年の福島原発事故で安全意識が高まる中、「安全な太陽光で発電。しかも、その収入で農業経営の抜本的向上ができる!」と多くの人々が長島さんの元に見学に訪れ、普及が広がりました。
環境破壊につながる開発をせずに、日本の農地の1割にソーラーシェアリングを設置すれば、国内総電力需要を1兆kWh(キロワットアワー)として、その約24%が賄えるとの試算があります。
「巨大発電よりも地域分散型のソーラーシェアリングの方が環境にも優しく、天災・人災での被害も小さくて安全です」と語る長島さん。
早くにソーラーシェアリングを導入した匝瑳市の発電事業所は、地域の荒廃農地の解消と地域農業の継続を実現しながら、この10年で、地域のグループ全体で6MW(メガワット)の設備を誇るまでに成長。
その実績もあって昨年、匝瑳市は環境省の「脱炭素先行地域」に選定されました。
ソーラーシェアリングの第1回全国大会
ソーラーシェアリングは、10年で全国各地4000件以上に拡大。
初の全国大会が今年2月、千葉商科大学(市川市)で開催されました。
実践団体や企業、関係省庁や支援団体の人々が一堂に集まり、次々に登壇して情報を共有。
ソーラーシェアリングがアジアや欧米に広がる様子も報告されました。
太陽パネルの下で育った野菜やさまざまな加工食品などの販売もあり、それらを買いながら地域での実践の話を聞いたりも。
若い世代の人たちも大勢詰め掛け、会場は熱気にあふれていました。
ヨウ素を主原料とするペロブスカイト太陽電池の実用化も進行中。
世界第2位のヨウ素産出国日本で、そのほとんどを生産しているのが千葉県です。
地元発の明るい話題がさらに増えるかもしれません。