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明治時代の建築をほぼ当時のまま保存!世界遺産「富岡製糸場」に行ってみた!

レクリム

群馬が誇る世界遺産、富岡製糸場。日本の工業生産の礎となったこの場所は、明治時代に建設されました。

観光スポットとしても有名で、およそ104メートルにもおよぶ木骨煉瓦造の繭倉庫が製糸場の顔。しかしそれだけではなく、製糸場敷地内にはさまざまな建造物が良好な状態で保存されています。

実際に当時の工女さんが働いていた現場や、

驚きのハウスインハウスの手法により整備された空間も。

今回は、そんな富岡製糸場のおすすめスポットを国際交流員の方と一緒に回ってきました!

富岡製糸場の歴史紹介

今回富岡製糸場を案内してくれるのは、国際交流員のヴェロニック・ムーランさん!

フランス出身、J-POPが大好きで日本に興味を持ち、大学で日本語を学んだのちに2019年から富岡製糸場の国際交流員になられたそう。ヴェロニックさんのお気に入りポイントを回りながら富岡製糸場のことを紹介してくださいます。

本日はお世話になります!

はい、よろしくお願いします!まずは、富岡製糸場をよりお楽しみいただくために、少しだけ歴史を紹介しますね。

江戸時代の終わりごろ、鎖国をやめた日本は諸外国と貿易を始めるようになりました。当時、蚕の繭からとれる繊維「生糸(きいと)」が大変売れており、その結果「質の悪い生糸」を大量に作って荒稼ぎする者が出現してしまいました。

昔からあるんですねこういうこと……

当然、取引先諸国から生糸の質を改善するように要請されてしまい、「まともな製糸工場」を建設することになります。ふたたび同じ問題に悩まされることのないよう、

1.洋式の製糸技術を導入すること
2.外国人を指導者におくこと
3.全国から工女(従業員の女性)を募り、技術を身に着けた工女は出身地へ帰り指導者となること

を基本的な考え方としました。単純に質の良い製品を作るだけでなく長期的にノウハウを拡大していく、たいへん賢いプロジェクトですよね。

そうですね。設備だけじゃなくて、西洋の考え方も取り入れた最先端の工場だったんですね。

国際交流員、ヴェロニック・ムーランさんのお気に入りスポット

では、さっそく富岡製糸場の中を見学してみましょう。

まずは、最近グランドオープンした西置繭所をご案内します!

絶対見るべき!国宝なのに近未来的な「西置繭所」

なんですかこのSFな空間は……!

この西置繭所は国宝で、もともと繭を保存していた建物なんです。長らく保存整備の工事をしていたのですが、2020年10月に公開になりました。ハウスインハウスという手法で、ガラス越しに当時の天井や壁を見ることができるんです!

入って左手はギャラリーになっています!当時使われていた道具などが展示されていますよ。そろばんはこんなに大きいし、机はこんなに小さい!かわいいですよね〜。

机ちっちゃい!!確かにかわいい……。

明らかに仕事道具じゃないものを発見しました!

当時の工女さんはお仕事だけでなく、合間の時間に勉強したり、芸術を学んだりしていたらしいんです。お昼に働く方は夜に勉強して、夜に働く方はお昼に勉強していたらしいですよ。

シフト制と福利厚生制度を明治から実践していたんですね……すごすぎる……。

そしてこれが工女さんが身に着けていた作業服のレプリカです!

時代によって着物っぽかったり学生服っぽかったりするんですね。

ギャラリーを出まして、今度は入って右側。こちらの広い空間は、イベントスペースとしても利用されている多目的ホールです。これまでにも演劇やオルガンコンサートが開催されたんですよ〜!

国宝の中で劇や音楽を楽しめるなんて……!

ガラス越しに、なにやら古い新聞が貼られているのが見えますね。これは当時のものですか?

そうですね。壁の補修とか、保温のために貼っていたのかもしれません。

2階にも展示空間があり、繭を保管していた空間の再現などがご覧いただけます。そしてここでは、実は「壁や天井」を見ていただきたくてですね……

これは……メモですか?

はい!おそらくここで働いていた従業員が残したお仕事のメモ書きですね。いたるところにこういった跡があるので、本当に建物自体が貴重な当時の資料になっています。

こっちには計算式がありますよ!

13×10を勉強中だったみたいですね(笑)

まるで大聖堂のような空間!「東置繭所」2階部分

場所を移動しまして、こちらは西置繭所と対になっている繭倉庫「東置繭所」です。西置繭所と同じく長さは104メートルです!

こんなに大きな空間だったんですね……!

この東置繭所、ヨーロッパの大聖堂の雰囲気に似ていて大好きなんです。広くて静かで……すごく落ち着くんですよね。

言われてみれば、日本で日常的にこんな場所に出会えることは少ないかもしれません。

作業場を間近で見学できる「繰糸所」

そしてここが実際の工女さんたちの職場になった場所です!いま設置されているのは、昭和に置かれた日産製の自動繰糸機です。昭和62年に操業停止されたそのままの状態で保管してあるんですよ!

おお〜!インダストリアルな空間でテンションが上がりますね!

糸が透明で作業が難しいことから、自然光をたくさん取り入れるために窓がたくさんついています。このような建築は当時の日本では大変珍しいものだったらしいです!

下の箱にお湯と繭を入れて使います。この箱、工女さんたちは「お弁当箱」って呼んでいたらしいです(笑)

お弁当箱!楽しんでお仕事をしていたんだろうな〜と想像してしまいますね(笑)

この自動繰糸機は、いまでも群馬県内の「碓氷製糸」で使われているんですよ〜。

なんと、現役なんですね……!

富岡製糸場建設当時の、明治の繰糸器は東置繭所の「シルクギャラリー」に展示してあります。こちらはレプリカなんですけどね。

「フランス人は生き血を吸う」?

繰糸所を抜けると、「首長館(ブリュナ館)」があります!ここはフランス人の技術者ポール・ブリュナが家族4人で暮らしていた家です。

リーダー宅ということですね!こちらもやはりヨーロッパ的な建築ですね。

はい!コロニアル様式という建築で、高床式になっているうえ、太陽が直接当たらないけど風が通る「鎧戸」がついています。湿度が高い日本の気候に合わせてこのような形になったそうです。

また当時、日本で「フランス人は生き血をとって飲んでいる」と噂されていたのですが……

えっ!?

どうやら、ワインを飲んでいるからだそうです(笑)。フランス人はやっぱりワインが大好きで、どこに行くときも持っていきます。首長館の地下は、ブリュナがワインなどの食料貯蔵庫として使用していたとされていまして、当時の日本の方はワインを見たことがなかったため、こんな噂が流れたそうです。

そんなエピソードがあったとは……。

その影響で、最初は富岡製糸場に工女さんが全然集まらなかったらしいんですよ。初代工場長の尾高惇忠さんは自分の娘さんを最初の工女さんとして雇用して、危なくないことをみんなに知らせたんです。

いろいろな努力の末に実現したシステムだったんですね。

首長館は残念ながら今は非公開部分なのですが、グランドオープンした西置繭所を始め歴史だけでない見どころがたくさんあります。コロナウイルスの影響でお客さんが少ないこともありますが、その分ゆっくり回れるので、ぜひ一度遊びにきてくださいね!

富岡製糸場へのアクセス・料金など

公式サイト:http://www.tomioka-silk.jp/tomioka-silk-mill/

【料金】

見学料:大人1000円 / 高校・大学生(要学生証)250円 / 小・中学生150円
*未就学児は無料です。
*障害者手帳をお持ちの方と介護者(1名)は無料です。
*高校・大学生は学生証を提示してください。
*富岡市民は入場無料です。
住所が確認できるもの(運転免許証など)を提示してください。

料金の詳細、ガイドツアーなどのオプション料金は公式サイトでご確認ください。

【アクセス】
〒370-2316  群馬県富岡市富岡1-1
上信越自動車道富岡IC下車、各駐車場まで約10分(3㎞)、駐車場より徒歩約10分(500m)
※富岡製糸場は車両の乗り入れができません。お車でお越しの場合、近隣の市営駐車場等(無料・有料)をご利用下さい。

取材・執筆:

市根井

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