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パーツひとつひとつにこだわりがある、燕市の「パティスリーアンジュ」。

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パーツひとつひとつにこだわりがある、燕市の「パティスリーアンジュ」。

燕市に2店舗を構える「パティスリーアンジュ」にお邪魔してきました。今回伺ったのは、旧吉田町にある「パティスリーアンジュ 吉田店」。こちらの店舗は、国道116号線からちょっと入った路地にあります。表通りに出店しなかったその理由は、シェフの「目立たない場所で、ひっそりとお店をやりたい」という考えがあったから。ところがその狙いとは裏腹(?)に、オープンしてからずっと多くのお客さんに愛されています。奥さま曰く、シェフの長田さんは「お菓子づくりオタク」。労力を惜しまず、美味しさを追求する方でした。

パティスリーアンジュ

長田 孝宏 Takahiro Osada

1974年新潟市生まれ。新潟調理師専門学校卒業後、ホテル新潟(現:ANAクラウンプラザホテル新潟)へ就職し、パンとお菓子づくりを学ぶ。1999年に「パティスリーアンジュ 吉田店」を、2010年に「「パティスリーアンジュ県央店」をオープン。高校生まではバリバリのサッカー選手だったという一面を持つ。

元パン職人でもあるシェフは、25歳の若さで独立。

——長田さんがパティシエになるまでのことを教えてください。

長田さん:料理人だった父に憧れて、小さい頃から「料理を仕事にしたい」と思っていました。父からは「料理の世界は厳しいから」と、調理の専門学校へ行くことを反対されたんですけど、自分の意思を貫きましたね。たぶん、父親のいうことを聞かなかったのはそのときだけじゃないかな。

——料理の仕事の大変さがわかるお父さんだからこそ、長田さんのことが心配だったわけですね。

長田さん:そうなんでしょうね。でも僕がその後「ホテル新潟」で働くことになったのは、父のアドバイスがあったからなんです。「パンとお菓子を勉強しておくと将来役に立つから」と勧められまして。

——最初はホテルにお勤めだったわけですね。

長田さん:はじめはパンを作る部門に配属されました。初日から「発酵が進むから手早くパンを丸めて」と指示されて焦りましたね。パンづくりなんて、まったくできませんでしたから。でもある日、コツをつかんだのか、突然パンを丸められるようになったんです。それがおもしろくて、「パン屋さんになるのもいいなぁ」って思うようになりました。

——でも結局はお菓子屋さんに。

長田さん:同じ部署に製菓部門もあったので、たまにお菓子づくりを手伝っていたんです。そのうちに今度はだんだんとお菓子づくりがおもしろくなってきたんです。上司に「お菓子をやりたいです」と言って、正式に配置換えまでしてもらいました。だから19歳で就職して、2年半はパン、それから2年くらいケーキを勉強させてもらったことになりますね。

——ご自身のお店を持ったのは?

長田さん:25歳のときです。今考えたら、ホテルでしか働いたことがないのに独立するなんて無謀すぎますよね(笑)

——その頃って、不安みたいなものはなかったんですか?

長田さん:店をはじめてからは「自分でなんとかしなくちゃ」という思いが強くなって、ケーキのことを学ぶ勉強会に積極的に参加するようになりました。「お菓子づくりは、一生の勉強だな」って思っているので、学びたい欲は今でもまったくなくなりません。

繊細さと緻密さが求められるお菓子づくりは、まるで化学のよう。

——「アンジュ」の吉田店は、国道から少し入ったところにありますよね。どうしてこの場所に?

長田さん:お客さまから「見つけにくい」と言われたこともありますし、業者さんからも「なんでこんなところを選んだの?」と驚かれるんですけど、「ここならあまり目立たないだろう」と思ったんです。ひとりでお店をやっていくつもりだったので、のんびりやりたかったんですよ(笑)。でもありがたいことにオープンしてからずっと、たくさんのお客さまに足を運んでもらっています。

——パティシエの仕事の魅力ってどんなところにありますか?

長田さん:いくら突き詰めても終わりがないところですね。例えば、ショートケーキみたいなシンプルなケーキでも、たくさんのレシピがあるんです。作り方、材料、分量、勉強するたびに発見があります。いろいろある中で、「自分ではこれが一番だ」と思えるお菓子を作るのもおもしろいです。ちなみに僕は負けず嫌いなので、他のお店で美味しいお菓子を見つけると悔しさを感じます。それが「また頑張ろう」と思える理由ですね。

——長田さんは、きっとひとつのことを追求するのが性に合っているんでしょうね。

長田さん:たまに「もし料理人になっていたら、今頃どうなっていたんだろう」と想像するんですけど、お菓子の方が夢中になれていると思います。お菓子づくりって化学みたいなもので、材料の分量がほんの少し違うだけで、できあがりに違いが出るんです。軽量は、0.1グラム単位の緻密さが求められます。そんなところは僕の性格に合っているかもしれません。

小さいお菓子ひとつでも、「美味しい」と喜ばれるための工夫。

——ところで、お店の人気商品はどれですか?

長田さん:難しい質問ですね……。メーカーさんからも「看板になる、目立つケーキを作った方がいい」とずっと言われてきたんですけど、そういう商品がうちにはないんですよ。お客さまにはそれぞれお気に入りがあるし、僕もケーキだけじゃなくて焼き菓子、ボンボンショコラ、マカロン、マシュマロって、いろいろなものを作りたいんです。ケーキ屋だけどパンも少しありますよ。だから、「アンジュといえばこれです」という商品を絞りきれないでいます。

——どれも評判がいいし、シェフも力を入れているってことですね。

長田さん:オープン当初からずっと作っている商品でも、材料や配合を変えて、より美味しくなるようにマイナーチェンジを繰り返しています。それがお客さまに飽きずにいてもらえる理由なのかな、と思います。フルーツの旬によって商品を変えることはもちろんありますし、同じ商品でもシーズンごとに作り方や材料を変えています。例えば、チョコレートムースは寒い時期はこってり重めにして、暖かくなってきたら軽い口どけに変えているんです。

——そんな仕掛けをしているとは。

長田さん:小さなお菓子ひとつでも「美味しい」って思ってもらいたいですね。たくさんのお店がある中から、「アンジュ」へ来てもらえるってありがたいことですから。

——他にもこだわっていることを教えてください。

長田さん:ひとつのケーキを作るのに、生地とクリーム、ムース、ソースってだいたい4〜5つのパーツを組み合わせるんですけど、すべてのケーキにそれぞれ別々のパーツを用意しています。「クリームとソースを変えて、生地は同じ」というものは、ひとつもありません。だから、めちゃくちゃ時間がかかるんですよ(笑)。「効率とは真逆の働き方だ」と同業の先輩にびっくりされても、やっぱり美味しさを追求したいんですよね。

パティスリーアンジュ 吉田店

燕市吉田3651-8

0256-91-1300

パティスリーアンジュ 県央店

三条市井土巻2-245

0256-63-9530

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