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『オヤビッチャ』の繁殖に国内初成功 名前は変でも食味は抜群だった?

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実は美味しい「オヤビッチャ」(提供:野食ハンマープライス)

大阪の水族館が日本で初めて「オヤビッチャ」という魚の繁殖に成功しました。今回は、この聞き慣れない変な名前の魚について紹介しましょう。

オヤビッチャの繁殖に成功

大阪にある水族館「海遊館」で、スズメダイの一種「オヤビッチャ」の繁殖に成功したというニュースが話題となっています。飼育していた個体が展示用水槽の壁に産み付けた卵を採取し、孵化させるという挑戦だったそうです。

オヤビッチャ(提供:野食ハンマープライス)

オヤビッチャ自体は生息数の多い魚ですが、その生態は不明な点が多いです。そのため何度も孵化に失敗し、また孵化させることはできても、その後うまく成長させられることができず、試行錯誤を繰り返したそうです。

水温や塩分濃度、稚魚のエサなどの模索を重ね、6回目の挑戦にしてついに成功。現在は4cmほどの大きさに成長し、一般公開されています。(『国内初確認「オヤビッチャ」繁殖 海遊館で成功』産経新聞 2020.10.7)

オヤビッチャってどんな魚?

変わった名前のオヤビッチャですが、実は千葉県以南の太平洋側ではごく普通に分布する「スズメダイ」の仲間の魚です。オヤビッチャはスズメダイよりも南方系の種類で、サンゴ礁のある海域で良く見られます。

和名には「親美姫」という漢字が当てられていますが、その名前の由来ははっきりしていません。織物に綾が走っていることを沖縄方言で「あやびっち」といい、オヤビッチャの鱗の縁取り模様がまるで綾が走っているように見えるため、「あやびっち→おやびっちゃ」と変化したという説がよく語られますが、真偽は不明のようです。

オヤビッチャ属のロクセンスズメダイ(提供:PhotoAC)

オヤビッチャはメスが産卵したあと、オスがヒレで水流を送り続け孵化するまで世話をする習性があります。

上記の孵化実験では、このとき卵に当たる水流の向きが一方向だと孵化率が低下することが判明しています。また孵った稚魚も、水槽に使用する海水の比重によって生育の度合いが代わるなど、センシティブな一面も持ち合わせているようです。

オヤビッチャは美味しい魚

このオヤビッチャ、青い魚体に黒い横縞が走り見た目に美しいので、ダイビングでは人気のある魚です。その一方で大きくなっても20cm足らずの小魚であるために食材としての人気はほぼなく、流通に乗ることもほぼ無いようです。

食味が良く、釣り人を中心に食用にされています。その熱帯魚らしさのある見た目からは想像できないほどきれいな白身で、脂がよく乗り、また臭みもほとんどありません。

脂のよく乗った身(提供:野食ハンマープライス)

新鮮な個体を刺身にするほか、塩焼きにして食べると自らの脂で鰭がパリパリになり、非常に美味。身質はイサキのようで、柔らかく旨味の強い身は白身魚の中でも屈指の味だと思います。

釣り人以外が口にするチャンスはまずないと思いますが、もしあればぜひトライしてみてください。その美味しさに感動すら覚えると思います。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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