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房総半島に“遺跡探し”の新フィールド 高精細な地形データ公開で歴史好きざわつく

おたくま経済新聞

MPI赤色立体地図で古墳をみた場合/千葉県・内裏塚古墳

 房総半島の山中に、まだ知られていない古墳や遺跡が眠っているかもしれない……。そんな期待から、いまネット上の遺跡・古墳・山城好きが、そろって地図とにらめっこしています。

 きっかけは、国土地理院が2026年7月31日に提供範囲を拡大した「基盤地図情報(数値標高モデル)1mメッシュ(DEM1A)」。航空レーザ測量の成果をもとにした高精細な標高データで、今回の拡大により房総半島南部でも利用できる範囲が広がりました。

【千葉県富津市の古墳群を見たケース】

 全国の追加・更新状況を見ても、房総半島南部はまとまった範囲が対象となっており、新たに細かな地形を確認できるエリアが一気に広がった格好です。

 そして、さらに話題が広がるきっかけの一つとなったのが8月13日。

 地理空間情報を閲覧できるウェブサイト「全国Q地図」に新たな範囲が反映され、房総半島南部などの高精細な地形を「MPI赤色立体地図」としてブラウザ上から手軽に閲覧できるようになりました。

■ 細かな地形を見やすくする「赤色立体地図」

 「MPI赤色立体地図」は、地形の細かな起伏を直感的に捉えやすい「赤色立体地図」をベースに、平坦面などの見え方をさらに改善したものです。

 もとになるのは、航空レーザ測量で得られた高精細な標高データ。航空レーザ測量では、木々に覆われた場所でも地表面の形を把握しやすいのが特徴です。赤色立体地図は、そのデータを赤を基調とした陰影で分かりやすく可視化することで、山の細かな起伏を確認しやすくしています。このため、遺跡探しにも非常に相性がいいのです。

 たとえば、山中に築かれた古墳や山城。長い年月を経て木々に覆われてしまうと、地上から眺めただけではその全体像をつかむのは簡単ではありません。しかし、こうした高精細な標高データを赤色立体地図で見てみると、不自然な盛り上がりや平坦面、堀のようなくぼみなど、人の手が入った可能性のある形がわかりやすくなります。

■ 本当に見つかった 93メートル級の前方後円墳

 赤色立体地図そのものを使った例ではありませんが、実際、同じ1mメッシュの標高データを活用して、遺跡の“新発見”につながったケースもあります。

 直近では今年3月、同じ千葉県内で発見がありました。国土地理院が2月27日、千葉県君津地区の1mメッシュ標高データを公開。これをもとに千葉県立中央博物館の研究職員が3月5日、微地形表現図を作成して古墳の分布を確認していたところ、前方後円墳らしい地形を見つけました。

 その後、現地でも確認。地形は図上で全長約93メートル、高さは最大約10メートルあり、既存の遺跡地図や文献にも掲載されていませんでした。さらに、県内の専門家や地域住民にも存在が知られていなかったことから、同館のフィールドノートでは「新発見の前方後円墳と考えて良さそうだ」と報告されています。

 しかも、袖ケ浦市内では最大規模になるというからロマンしかありません。

■ 房総南部が新たな“探索フィールド”に

 そこへ今回、房総半島南部を含む新たな範囲が加わり、さらに8月13日から全国Q地図で手軽に眺められるようになりました。歴史好きな人たちがざわつかないわけがありません。

 SNSでは公開された地形をさっそく眺める人が相次ぎ、古墳や山城をはじめ、人工的に造成されたように見える場所を探す動きも。専門知識を持つ人だけでなく、「ここ、何かあるように見える」「この盛り上がりは何だろう」と、宝探しのような感覚で地図を眺める人も出てきています。

■ 遺跡らしき地形を見つけても、勝手に掘るのは厳禁

 もちろん、地図にそれらしい形が見えたからといって、即「遺跡発見」となるわけではありません。

 自然にできた地形が人工物のように見えることもあれば、林道や耕作地、採石、近代以降の造成などが古い遺構のように見える場合もあります。本当に遺跡なのかを判断するには、既存資料との照合や現地調査、専門家による検討が必要です。

 また、気になる場所を見つけたからといって、無断で土地へ立ち入ったり、掘ったりするのは厳禁。

 3月に発見が報告された前方後円墳についても、千葉県立中央博物館は地域住民への影響を考慮して詳しい場所を公表していません。現地は別の時代の埋蔵文化財包蔵地として登録されており、無許可で掘削することは違法行為になるとして注意を呼びかけています。

■ 新たな発見につながるか?

 それでも、家にいながら山林の地表面をこれほど細かく眺められるようになった意味は小さくありません。

 これまでは木々に隠され、航空写真からは分からなかった地形。そこに今回、新たな「探索フィールド」が開かれた格好です。

 果たして房総半島の山中から、次なる“地図から見つかった遺跡”は現れるのか。

 しばらくの間、房総の山々を画面越しに凝視する人たちの探索は続きそうです。

※記事中の古墳群の地図画像は、現在、千葉県内最大とされる「内裏塚古墳」とその周辺を見本としてキャプチャしたものです。

<参考・引用>
国土地理院「高精度標高データ」
全国Q地図「全国の赤色立体地図、CS立体図が閲覧できます!」
全国Q地図公式X(2026年8月13日投稿)
千葉県立中央博物館「フィールドノート No.2432 大型前方後円墳の発見」

<記事化協力>
全国Q地図公式

(宮崎美和子)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 宮崎美和子 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026081801.html

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