「こんな景色が見られるなんて……」新世代ミクスチャーロックを鳴らすKanna × EMNW、スプリットツアーファイナルでハイライト連発
『Kanna×EMNW "2X2"』2025.11.14(金)東京・渋谷Spotify O-Crest
KannaとEMNW。ともに新世代ミクスチャーロックを鳴らす2組によるスプリットツアー『Kanna×EMNW “2X2”』が2025年11月14日(金)、東京・渋谷Spotify O-Crestでツアーファイナルを迎えた。スタイルこそ違うものの、みんなで1つになって楽しみながらミクスチャーロックを再び盛り上げ、新たなシーンを作りたいという共通の目標を掲げ、名古屋、大阪、東京と回った今回のスプリットツアーは各地で大歓迎されたようだ。このレポートでは東京公演の模様をお届けする。ライブの熱気をぜひ感じていただきたい。
EMNW
先攻は、EmmaとMenuからなる2MCスタイルのロックバンド、EMNWだ。結成から2年足らずの新人と侮るなかれ。
「みなさんこんばんは! EMNWです!」とオンステージした2人は早速、サポートバンドによるヘヴィな演奏に合わせ、お立ち台の上で頭を振りながら、1曲目の「More Fire」になだれこむと、アジテーションを思わせるラップパートと伸びやかな声で歌い上げるメロディーパートを交え、スタンディングのフロアを揺らしていく。その雄姿が物語るのは、ライブアクトとしての彼女達の急成長。彼女達がすでに国内外のフェスの大舞台を経験していることは、ファンならご存じだろう。
「渋谷のみなさん!今日はツアーファイナルですよ!」とMenuが声を上げ、繋げた「KAMASU」、そして「調子どうだい」。観客が作ったモッシュサークルは、指を回して、「もっと!もっと!」と合図を送ったEmmaに応えるようにさらに回転数を上げながらその輪を広げていく。
「次の曲は、みなさんと一緒に遊び散らかしていきたいと思います!」(Emma)
続く「Brain Dead People」では、その言葉通りスカパンクな裏打ちのビートに合わせ、観客が飛び跳ねる。ステージの2人は観客の気持ちを完全に掌握しているようだ。ステージを跳ねまわりながら、これっぽっちも物怖じせずに観客の目をしっかりと見つめ、アイコンタクトを忘れない2人は天性のライブパフォーマーなのだと思う。
「ヘドバン大会したいと思います!」とEmmaが繋げた「Headbang Baby。観客はもちろんヘッドバンギングで応えたが、凄みを見せつけた2人のドープなラップも聴きどころ。
そのタイミングで2人は、同月に沖縄で開催されたMONGOL800主催フェスで初共演を果たしたDJ・BOTS(Dragon Ash)が客席にいることに気づき、「まさかBOTSさんが来てくれるなんて……。緊張に負けないようにと言うか、いつも以上に全力でいきます!」と自分達に言い聞かせるように声を掛け合うと、「Here We Go EMNW!!」から後半戦になだれこんだ。
EmmaとMenuによるラップの応酬とメタリックなバンドサウンドに煽られた観客が「オイ!オイ!オイ!」と声を上げる。そこから一転、観客がワイプで応えた中盤のバラードパートでは、EmmaからMenuにリレーするように2人が歌い上げ、シンガーとしてのポテンシャルも見せつける。今後はそういう曲もさらに増えていきそうだ。
そして、ラップロックの「Runaway Baby」、メロディックパンクの「ちぇけら」と繋げ、再びフロアをかき混ぜると、来年1月10日に渋谷CYCLONEでワンマンライブを開催することを発表。観客に歓喜の声を上げさせてから、「ラスト2曲!ガチなやつ見れてないからみんなもっともっとイケますか!?」「最後までついてこれますか!?」とEmmaとMenuがそれぞれに観客に発破をかけながら、「Rollin‘」と「百ゼロ」を怒涛の勢いで繋げると、観客がこの日一番のモッシュ&ダイブ! エンディングはMenuがロングトーンで声量を見せつけ、EmmaがY字ハイキックでキメたのだった。
Kanna
一方、後攻のKannaは1MC1ギターの2人組。EMNWがノンストップでエネルギッシュなライブを繰り広げた直後だけに、さぞかしやりづらいだろうと思いきや、そこは、路上ライブも含め、大小さまざまなステージに立ってきた生粋のライブアクト。サポートドラマーとともにオンステージすると、「もう好きに騒いで、楽しんでくれたらいいから、とりあえずエンジョイで、遊んでいきましょう。どうぞよろしく!」とNouchi(MC)が言いながら、Nouchiの早口のラップとKoshi(Gt)がかき鳴らすスピーディーなカッティングが絡み合う「耐えた!」からEMNWに負けないエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げる。
「みんなで楽しもう。それにはみんなに手伝ってもらわないと」と2曲目の「Boys & Boys」を演奏する前にサビのシンガロングを教えたNouchiは観客が早速上げた歌声を聴き、「バイブスが超アガッた!」とニッコリ。そして、観客のシンガロングとともにサビからなだれこむと、Nouchiは自ら飛び跳ねてみせる。観客もジャンプ! フロアが縦に揺れ始める。
その一方で「耐えた!」からカッティングのみならず、タッピング、アーミング、チョーキングといったテクニックを駆使して、ギターをフリーキーに鳴らしていたKoshiがポーカーフェイスで「Boys & Boys」に織りまぜたレッチリやエアロスミスのリフが心憎い。
そこから歌ものとしての魅力もある「ワンウェイ」、パンクなギターリフを鳴らす「空」とアップテンポの曲をたたみかけるKannaの熱演に観客も手を振ったり、ハンドクラップを鳴らしたりしながらすっかり楽しんでいる。歌心を感じさせるNouchiのラップももちろん、フラッシーなソロフレーズやエモーショナルなプレイを曲ごとに使い分けるKoshiのギターも聴きどころだ。
「マジ、今日、みんなのバイブスがヤバい。ヤバすぎてステージが暑い。今日、ファイナルね。名古屋、大阪とEMNWと回ってきて、僕らEMNWとKannaは最高のバイブスなわけですよ。だから、あとは東京のみなさんががんばるだけ。みなさんの見せどころですよ。僕らも精一杯がんばりますから、一緒に楽しんでいきましょう!」(Nouchi)
アップテンポの曲を一気にたたみかけ、観客を自分達のペースに巻き込んでいった序盤から一転、中盤は「Make My Day」と「You」を披露してチルな魅力も持っていることをアピール。ファンキーなギターリフが印象的な前者は、Kannaの存在がより多くの人に知られるきっかけになった代表曲。アコースティックギターも同期で鳴らした後者は、せつなさが曲に滲むNouchi曰くラブソング。歌ものとしての魅力がより一層際立つ。
「よかったね、EMNWと一緒に回れて。こんな景色が見られるなんて楽しい。僕らと同世代でミクスチャーやってる奴なんてあまりいないけど、同世代のEMNWが出てきてくれて、こうやって一緒に東名阪を回れるようになるなんて、考えてなかった。マジでうれしい」とスプリットツアーを振り返ったNouchiは、「せっかくだから、スプリットツアーを回った意味を見出していかないとイカン。EMNWと一緒にやりたい」とEMNWを呼び込み、フロアを沸かせる。今回のスプリットツアーの意気込みを語るインタビューで匂わせていたから、2組によるコラボを期待していた人は少なくなかったと思うが、彼らはそんな期待を超える選曲で観客を驚かせ、そして歓ばせた。
「ルーツの1曲!」
そんな言葉とともに曲を紹介したNouchiに応えるようにKoshiがヘヴィなギターリフを鳴らしたその「ルーツの1曲」とは、映画『BECK』の劇中バンド、BECKの曲だった、これこそがミクスチャーロックと言える「EVOLUTION」。Nouchi、Menu、Emma、そして再びNouchiとボーカルを繋げ、Koshiがギターをかき鳴らしながらソロを奏で、フレーズを思いっきり泣かせる。
エンディングの「俺達が2 X 2です!」というNouchiの雄叫びから窺えたのは、スプリットツアーの大きな手応えだ。
「ここから爆アガりしていきたい!」とNouchiが声を上げ、後半戦はアップテンポのラップナンバー「ルックアヘッド☆ジャンプ」、メロディックパンク調の「Freefall」と繋げ、観客のシンガロングも交えながらフロアを大きく揺らしてみせる。
「クソ楽しい。めちゃめちゃありがとう!」
観客の反応に満足しながらNouchiは来年2月19日に、ここSpotify O-Crestで自主企画イベント『MIC CHECKERS』を開催することを発表した。
「対バンイベントなんだけど、(対バンは)めっちゃヤバい奴らだから要チェックで!」と付け加え、観客を沸かせる。
そして、10月29日にソニー・ミュージックレーベルズから配信リリースしたアンセミックなラップロックナンバー「ヤング・ムーヴメント」でダメ押しするように観客をバウンスさせ、本編を締めくくると、最後の最後にスプリットツアーの大団円にふさわしい見どころを演出してみせたのだった。
「スプリットツアーなんだからKannaだけでアンコールやってもおもしろくない」とNouchiが再びEMNWを呼び込み、披露したのは、「Make My Day」の2 X 2バージョン。
NouchiとEMNWの2人が掛け合いながら、サビは3人で歌い、Koshiによる渾身のギターソロを挟んでから、Nouchiの歌声にEmmaとMenuがソウルフルなハーモニーを重ねたラスサビでは、この日のもう1つのハイライトと言える景色が生まれた。
「スプリットツアーまたやろう!」
最後に言ったNouchiの言葉を聞きながら、前述のインタビューで「全国に波及させていくってことをやりたいんですよ。それも含めて、まずはいったん東京、名古屋、大阪でやろうということなんです。だから、今回のツアーがすごく調子よかったら、47都道府県を回るかもしれない」とKoshiが言っていたことを思い出した。
近い将来、『Kanna×EMNW “2X2”』がまた開催されることを期待している。その時はEMNW、Kannaともにひと回りもふた回りも成長した姿を見せてくれるに違いない。
取材・文=山口智男 撮影=toya