春限定「苺サンド」は4月末頃まで!『北野坂にしむら珈琲店』で聞いた知られざる創業者の物語 神戸市
たっぷり生クリームと爽やか酸味の「苺サンドイッチ」を貴族気分で味わえる『北野坂にしむら珈琲店』(神戸市中央区)。英国邸宅風の店内で、コクのある動物性純生クリームと、「さちのか」や「とよのか」とのハーモニーを4月いっぱい楽しめます♪
一皿のサンドイッチ(12切れ)に苺12個を贅沢に使用。「苺サンドイッチ」の提供は『元町店』でも行っており、そちらは8切れで1,350円です。
コーヒーを淹れる水は、西宮神社南東部から湧出する「宮水」を使用。酒造に用いられることで有名な水です。花崗岩や貝殻を含む地層に磨かれ、リンやカルシウムなどを豊富に含有。独特のコクがあり、『にしむら珈琲店』ならではの味わいのベースとなっています♪
1974年に開業した『北野坂にしむら珈琲店』は、元会員制の店舗でした。田辺聖子や淀川長治、遠藤周作といった人たちが集う、サロン的な存在だったといえます。その後、阪神大震災での中山手本店の3か月にわたる長期休店を機に、一般にも開かれるように。
フラッグシップ店舗といえる北野坂店をオープンする前、にしむら珈琲店はどのような足跡を歩んでいたのでしょうか。
戦後、創業者の川瀬喜代子さんご夫婦は上海から引き揚げ、現在の中山手本店の一部である5坪の土地を知人に間借りしていました。玄関も扉もなく、両側の塀に屋根となる板を渡しただけの状態だったといいます。
そこで和菓子の販売をはじめるも、しばらくして知人の会社が倒産。立ち退きを迫られた際に、親族から借金して土地を購入したそうです。
和菓子とともに日本茶をサービスしていると、コーヒーを飲みたいという声が上がりました。喜代子さんは1948年に焙煎や淹れ方の基本をイノダコーヒー創業者から習い、中古のテーブル3卓と椅子6脚で『にしむら珈琲店』を開業したのです。
戦後のことで最初はガスすらなく、七輪でミルクや湯を沸かしていました。宮水は1952年から使用開始し、当時はポリタンクでご主人がバイクに乗って汲みに行っていたそうです。三宮につくと、ポリタンクの底が抜けていたこともあったとか。
同52年に隣のダンスホール跡を買い取って店舗を拡張。現在の中山手本店の場所に50席のお店をオープンしました。
ご主人との離別を経て、喜代子さん自身が毎日タクシーで宮水を汲みに行くようになりました(現在はタンクローリーで運搬しています)。
「にしむら珈琲店が宮水で淹れているというのは、どうせ嘘だ」とタクシー内で世間話したお客さんに、運転手が「何度も宮水を入れたポリタンクを持った喜代子さんを乗せたことがある」と反論する珍事もあったそう。
当時は従業員が上階に住み込みで働き、家族的な経営でした。店は順調に拡大・安定し、現在の9店舗を運営するようになりました。
戦後神戸の歴史とともに歩んできた『にしむら珈琲店』。他店舗を気軽に訪れることも多いですが、“特別な県外の友人”などがきたときには、やはり神戸らしい落ち着いた北野坂店に行きます。
北野町のシンボル的な名店として、これからも人々を惹きつけてやまないのでしょう♪
場所
にしむら珈琲店 北野坂店
(神戸市中央区山本通2丁目1-20)
営業時間
10:00~22:00(L.O.)
定休日
最終月曜日