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本多劇場グループ next「DISTANCE-TOUR-」が開幕! 総勢28名による17作品を劇場&配信で〜初日の演目・松井玲奈、清水宏の一人芝居をレポート〜

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松井玲奈

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの公演やイベントが中止・延期を余儀なくされ、「演劇」のあり方が問われた。その状況下で、本多劇場グループがスタートさせた企画「DISTANCE」。第一弾は2020年6月1日(月)から7日(日)までの間、11人の俳優たちが日替わりで一人芝居を演じ、無観客配信という形で上演し好評を得たが、その第二弾が8月5日(水)から本多劇場でスタートした。
 
今回は、客席を前後左右1席ずつ開けるなどのウイルスの感染拡大予防策を講じた「劇場公演」と「配信公演」の両形態で実施。さらに、「DISTANCE-TOUR-」と銘打っている通り、北九州(8/15)・豊橋(8/20)・札幌(8/26)の3都市での公演もある。一人芝居や朗読劇など、総勢28名による17作品が日替わりで上演される予定だ。
 
初日を前に行われた松井玲奈による一人芝居『夏間麗のリモート授業』、清水宏による一人芝居『拝啓あこがれの演劇さま』のゲネプロ(※総通し舞台稽古)の様子と、出演者らのコメントを紹介する。

永島敬三(左)、川尻恵太

「DISTANCE」という文字が浮かび上がって見える舞台上。企画者・総合監修を務めた川尻恵太と永島敬三が出てくる。二人は、荒廃した劇場の清掃員として登場し、企画のストーリーテラーの役割を担う。「演劇」というものに触れたことはないが、「演劇を復活させるために劇場を掃除してほしい」という依頼をうけてきたという2人の清掃員。かつて演劇が行われていた場所で、演劇に思いを馳せる。それに呼応するかのように、劇場の記憶が呼び起こされていく……。

松井玲奈

松井玲奈

初日のひとつ目の芝居は、松井玲奈による一人芝居『夏間麗のリモート授業』。脚本と演出は川尻恵太。

松井が演じる夏間麗(なつま・れい)は、大学教授で、リモート授業を行っている。「疑問学」という学問の専門家のようで、今回は「似ている文字」についての講義をしている。「イヤリング」と書いたのに「イカリング」と誤読された、とか、手書きで書いた「三千」は「3000」なのか「ミチ」なのか、とか、言葉遊びのような話がつづく。
 
画面の向こうの生徒たちと会話をしたり(生徒たちの声は聞こえないが)、黒板を映すビデオを使ったり。昭和生まれの私からすると、その様子は滑稽で微かな違和感さえも感じるのだが、いま現在、新型コロナウイルスの感染拡大で、全国各地の学校でリモート授業やオンライン授業なるものが行われていると思うと、これもまたひとつの時代のリアルを描いているのかと思った。

松井玲奈

松井玲奈

松井自身は初めての一人芝居だというが、癖が強く感情の起伏が激しいキャラクターを堂々と演じ切った。
 
終演後には「初めての一人芝居で緊張しましたが、楽しく演じさせていただきました。お客様の前でお芝居ができる日を心待ちにしていたので、このような機会をいただけて嬉しさを感じています。以前と同じ様にというのは難しいかもしれませんが、配信など新しい形で舞台を楽しんでいただけたらと思います」というコメントを発表している。

清水宏

つづいての芝居は、清水宏による一人芝居『拝啓あこがれの演劇さま』。脚本は清水宏、演出は山崎洋平(江古田のガールズ)。

暗転中に新型コロナウイルス関連のニュースが音声で流れる。時はまさしく2020年。とある劇団で演出助手を務め、女優としても活動している40歳の女性が主人公だ。神経質で常に気を使わなくてはいけない存在の演出、ピリピリしている制作スタッフ、きっと個性が溢れすぎて芝居をまとめるのも一苦労しそうな俳優陣、そして、女性が心を許して話せる同期の「イノウエ」。確かに一人芝居なのだが、相手の存在がはっきりと想像できるのは、清水の演技力と脚本の力か。

清水宏

緊急事態宣言が出されて、公演を中止にするかどうかの議論が劇団内で始まる。ここまで一生懸命やってきたらから中止になるのは悲しい、でも観にきてくれたお客さんがコロナに感染するのも悲しい、演劇とはなんなのか考えることを放棄するのも悲しい、キャンセル料も気になる……。そんな演劇人たちのリアルな葛藤を代弁する。
 
コロナ禍での葛藤のみならず、「夢を追ってきたが、なかなか報われない」立ち位置からの嘆きも芝居を支える重要なファクターだろう。演劇が好きで好きで、いろいろなものを犠牲にしてきたのに。舞台に憧れて走り続けたら、気がつけば40歳になっていた。そんなアラフォー女性の嘆きが語られる。初めて演劇を観た時の衝撃を恍惚と語り、これまで感じてきた劣等感やそれでも演劇が好きだと信じてきたことを捲し立て、最終的には「ねぇ、演劇ぃ〜私と結婚してよぉ」と叫ぶ。演劇に少しでも携わったことがある人は心揺さぶれる、圧巻の独白だった。

終演後のコメントで清水は「お客さんにまた劇場に来てもらうことと、オンラインで演劇に何ができるのか。二つの宿題の新しい答えを探す『DISTANCE』。参加できて嬉しいです。色々な演劇の姿を見て欲しいです」と語っている。

清水宏

各日の上演時間は35~65分程度を予定している。なお、配信公演(Streaming+にて)は、オンタイムのライブ配信のみで、アーカイブ・ディレイ配信はないので注意しよう(たった1度きりを楽しむのも、非常に“演劇的”といえる!)。

最後に、開幕に寄せたメッセージをお届けする。
 
本多劇場グループ総支配人 本多愼一郎
DISTANCE第2弾。
劇場での公演を続けたい。続けられるように。
無観客で行った前回から2ヶ月。
感染症対策をより強化して、お客様に安心して観ていただけること。
ツアー公演と配信公演でも全国の方に劇場から起きる今を観ていただきたい。
お客様にも協力していただき作品を支えていただきたい。
これからも対策を施しながら進んでいきます。

■企画・総合監修 川尻恵太
「DISTANCE−TOUR−」がいよいよ始まります。
6月にDISTANCEを上演した時は、8月、さらに逆風が吹いているなんて思いもしませんでした。
距離を縮めるための公演は、前よりも距離に気を使わなくてはいけなくなりました。
この公演もどこまで無事に続けられるかわかりません。明日の公演のこともわからないんです。
 
それでも全力で、安全に、最後まで走り抜けるために頑張ります。
DISTANCEは誰も傷つけないために、先頭で石橋を叩きます。
 
どうかついてきてください。
やばい時は逃げられるタイミングで「崩れるぞー!!」って言いますんで。
劇場でお待ちしております。

■企画・総合監修 御笠ノ忠次
6月のDISTANCEは風がよめない中での開催。結果的には追い風が吹きました。
それは願いとか、期待とか、思いとか、祈りとか。
とにかくそのような優しい風が吹いていたように思います。
では、8月の今は? おそらく様々な風が吹くことでしょう。
優しいものばかりではないかもしれない。
 
急に文体を変えちまえば「もういいかげん演劇はマイノリティなんだって演劇人みんな気づいたんだから日本の演劇は一つにまとまってくれや傍から見たら左から石投げてるだけにしかみえないぜ頼むよ偉い人」という気持ちではありますが…まあいいや。
 
北海道と千葉で生まれて演劇に救われたチンピラ2人はどのような風が吹こうとただただ普通に演劇をやります。普通に演劇をやれる方法を生暖かく考えて緩く実行していきます。対コロナに関してだけはチンピラ姿勢を崩さず真剣に。

キャスト、スタッフ、お客様と、多くの方がの協力があって成り立つのは演劇が持っている本質だと思います。そこを可視化してくれたことだけコロナに感謝しつつ...200文字をとっくに超えているのであとは本番で。にゃーわんわん(原文ママ)

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