6歳ASD息子の気になる行動、どうして絵本を破くの?やらせる?止める?解決のヒントが知りたい!ーー児童精神科医 三木先生に聞いてみた!
監修:三木崇弘
フリーランス児童精神科医/スクールカウンセラー
お気に入りの本や壁紙を破ると言うこだわり
みん(以下、――):P(次男)は年長6歳、自閉スペクトラム症、知的障害(中度よりの重度)があります。
手に感覚を入れたがる傾向があり、以前は私の腕や首などをつねっていたのですが、今は成長と共に少し落ち着いて、置き換えで絵本や壁紙を破ってしまうようになりました。
不思議とお気に入りのものや好きなページから破ってしまい、細かく破って部屋中散乱している状態に…。できるだけ古本などを与え、破ったものは本人にも片づけをさせていますが、家ではその行為をOKとしてしまっているので、本屋さん、友達の家など破ってはいけない場所で破いてしまったらどうしようという不安があります。
Pの心の安定のために破かせても良いのでしょうか?「本を破く」ということはそもそもダメな行為なので止めさせるべきでしょうか?
三木先生:リスクゼロにするとなると監視が必要ですね。どの程度監視し許容するのか?破ってよい、よくないをどう教えていくのか?今は説明して本人は分かりそうですか?
――分からないと思います。でも破ったら叱られるし、ダメなことだというのは何となく分かっていそうなのですが、いくら注意してもやめられないので、もう衝動的に破ってしまう癖のようなものに近いと思います。私の腕をつねる回数は減り絵本に置き換わったので、今回も将来的には絵本から何かほかの物に置き換えていきたいのですが…
絵本から置き換えられるような物がほかにはないか?考えてみる。
三木先生:何に置き換えられるか?悩みますね。プチプチできる梱包材のおもちゃ的なものや、つねることができるようなものも良いですが、一番身近ないいものとして新聞紙はどうでしょう?
――新聞紙自体にあまり興味がないのでうまくいかないかもしれません…好きな絵や柄が書いてあるものの方がいいかもしれません。
三木先生:好きなページをカラーコピーしたり、スキャンデータをとっておいていつでもプリントできるようにしてみては?そうやって本から少し離していき、本じゃないものにしていければ良いのですが…試してみないと分からないですが、紙質など本人の手ごたえも重要ですよね?
それからお友達の家へ行く場合も、了解をとって破ってもいい本をあらかじめお友達の家に置いておいてもらうのはどうでしょう?
それを破るのはOKとし、もし破らなかったらほかの家では破るのNGだと思って場所をわきまえてはいる?ということになりますが、リスクゼロにするにはやはり見せない触らせないなど完全に監視するしかないですね、でもそれではお母さんも大変ですよね。
――そうなんです。破るという行為はできればやめて欲しいのですが、もしやめさせるならやはり何か他のものに置き換える必要がありますよね。今までもいろいろと置き換わって来ているので何か良い方法を探したいと思っています。
問題となる行動を、問題としないようにする方法
三木先生:やっても差し支えない範囲内でやってもらうように置き換えて…梱包の紙など、荷物が届いたらご褒美的な感じでやってみたらどうでしょう?華やかさが必要なら梱包の紙にお子さんの好きな絵を描いてみたり…。一日のご褒美タイムで破ってもらえるようにしてもいいのではないでしょうか。
外で破くのを我慢できて、そのご褒美として家で自由に破ることができるという流れにできれば、外で破るリスクは減ると思います。
もう少し大きくなったら…ちぎり絵など作品づくりに置き換えるのもいいのでは?
――そうですね!色紙などをちぎらせて集めておいて、それを使ってちぎり絵などの作品を作ることに挑戦してみるのも面白いかもしれないです!今はただ破るだけですが、破ったものをまた新たに遊びに使うのは目的のある行為にもつながって良いと思います。そんな風に移行するのは時間がかかるかもしれませんが、一つのアイデアとしてとても参考になりました。
感想
絵本を破るなどの問題行動は、できればやめて欲しかったのですが、Pは絵本が大好きですし、破るという行為を楽しんでいて精神安定にもつながっていたので、物理的に絵本を与えないという選択はなるべく避けたいと思っていました。
今回三木先生に相談して、実害のないものに上手く「置き換えていく」方法や、問題行動を問題行動としないようにする考え方やアドバイスをいただき、一見すると困った行動も、こちらの導き方によって困った行動ではなくなるようにできる場合もあることを学びました。
執筆/みん