Yahoo! JAPAN

WOWOW『第74回トニー賞授賞式』ナビゲーター宮澤エマに聞く~「ブロードウェイ俳優の力の爆発とともに、日本側の演出にも注目してください!」

SPICE

宮澤エマ

日本時間2021年9月27日、コロナ禍によって昨年6月から延期になっていた『第74回トニー賞授賞式』がついに開催される。2019‐20シーズンを総括するだけでなく、長い閉鎖期間を経てこの9月から再開されるブロードウェイの“今”も感じられる、例年とは一味違う授賞式になりそう。そんな演劇・ミュージカル界における世界最高峰の祭典を、今年もWOWOWが独占生中継! 例年ナビゲーターを務めてきた井上芳雄が大阪スタジオに回る今回、東京スタジオのナビゲーターを任された宮澤エマが、番組の見どころを語った。

■賞の行方だけではない楽しみがあるスペシャルな年

――番組ナビゲーターに決まって、今どんなお気持ちですか?

WOWOWさんの『トニー賞授賞式』はずっと観ている側だったので、最初にお声がけいただいた時は正直びっくりしましたが、すごく嬉しいなと思いました。コロナ禍のなか、日本では幸いなことに演劇が続けられている状況がありますが、ブロードウェイは本当に長いことストップしている状態。空白の1年半を経てのトニー賞ということで、色々な意味でとてもエモーショナルな、意義のある授賞式になるのではないかと思います。エンターテインメントの力を称えつつ、そこからエネルギーをもらってまた先へ進もうというような…。そんなスペシャルな年のナビゲーターをやらせていただけて、本当に光栄です。

――宮澤さんにとって、トニー賞授賞式の魅力とは?

何かのインタビューで読んだのですが、アカデミー賞とかグラミー賞とか色々あるなかで、トニー賞って一番アットホームな賞らしいんです。演劇界の第一線で活躍している人たちが集まって、同僚の前でパフォーマンスを見せ合って、お互いを称え合う場。それが伝わってくるから、観ていても楽しいのだと思います。私はよく、まだWOWOWさんが中継していなかった昔の授賞式の抜粋映像もYouTubeなどで観るのですが、次々と流れてくるから終わりがなくて、耳が至福とかいうレベルを通り越してもう、いつまでも観ていられる“沼”みたいな感じ(笑)。自分自身がミュージカルをやるようになって、盗もうと思って検索し始めたのですが、気付けばいつも楽しんでしまっていますね。

――今年のノミネート作のなかで、特に注目している作品を教えてください。

今年は残念ながらどの作品も観られていないので、リサーチしたなかで興味を持ったもの、という話にはなってしまうのですが、ミュージカル部門ではやはり『ムーラン・ルージュ』。原作映画が元々すごく好きなので、あの劇的な世界観が舞台でどう表現されていて、どう評価されるのかに注目しています。ストレートプレイ部門では、最多ノミネートを受けている『スレイヴ・プレイ』。脚本家の方がアフリカ系アメリカ人で、もし作品賞を受賞すれば1987年以来の快挙とのことで、そうなったらすごくエポックメイキングですよね。

ただ今年に関しては、シーズンの途中で劇場が閉鎖されてしまったのでノミネート数が少なく、「どれが、誰が取るのか?」という例年の楽しみ方とはまた違う授賞式になるのではないかと思います。受賞者を発表する前半と、ライブコンサート形式の後半との二部構成になっているのもきっとそのため。2019-20シーズンをなかったことにしないという意義を持つとともに、生のエンターテインメントの持つ力、素晴らしさを改めて届けるような場になるのではないかと期待しています。まだ詳しい情報は出てきていませんが、きっとすべてのブロードウェイ俳優が溜めてきたものを爆発させてくれると思うので、視聴者の皆さんが引かない程度に(笑)、私も興奮しながらナビゲートしていきたいですね。


■お久しぶりのあの方や、いつもながらのあの人や……

――今年は大阪スタジオから参加される、井上芳雄さんの印象をお聞かせください。

芳雄さんとは、実はまだミュージカルでは共演したことがないんですが、『グリーン&ブラックス』という番組や、昨年末の『The Musical Day』というオンラインライブでご一緒させていただきました。普段はMCの立ち位置が多い方ですが、私がMCで芳雄さんがゲストだった『The Musical Day』では、自由自在に暴れまくっていらして(笑)。決めるところはビシっと決めつつ、ふざけるところはふざける方という印象があるので(笑)、色々とアドバイスをいただきながら、芳雄さんの素顔を私が引き出す瞬間も作れたらと思っています。

――ほかに今回、日本側の演出で注目すべきポイントは?

今言えることとしては、東京スタジオに海宝直人君がゲスト出演してくれます。本人から「よろしく」というLINEが来まして、「頼るからよろしくね」と返したら、「俺も頼るから」と(笑)。直人とは、私の初舞台となった『メリリー・ウィー・ロール・アロング』(2013)で共演して以来プライベートでも仲良くさせていただいているので、安心しながら和気あいあいと届けていけるのではないかと思います。

ほかにも、“お久しぶりなあの方や、いつもながらのあの人や…”みたいな感じで(笑)、まだ発表はできないのですがかなり豪華なことになっているので、授賞式自体はもちろん、番組としての面白さにもぜひ注目していただきたいですね。日本のミュージカル界で活躍している人たちが、中継内容をしっかり受け止めて、スタジオでいったん解釈して視聴者の皆さんに届けられる形になっていると思うので、私自身すごく楽しみです。

――そして授賞式を控えた9月26日には、『生中継!トニー賞復活前夜祭スペシャル ~Welcome to ミュージカルラウンジ!』と題された事前番組が無料放送されます。

あっ、それも絶対に観たほうがいいと思います(笑)! 演劇がストップした1年半、ブロードウェイ俳優がどんなことを思っていたのか、彼らにとってトニー賞とはどんな意味を持つのか。そんな情報とともに、それを盛り上げる日本側のパフォーマンスもお届けする、授賞式の“前夜祭”のような番組です。コロナ禍によって、劇場から足が遠のいてしまった方って多いと思うんですが、この前夜祭と授賞式をセットで観ていただくことで、「また劇場に行きたい!」という熱がパッと燃え上がるのではないかなと。自分が出てるから言うわけじゃないですが(笑)、今年は本当に、特に必見です!


■1歳からBW通い⁉“観る専門”から“職業病”へ

――宮澤さんご自身、ブロードウェイには小さな頃から何度もいらしているそうですね。

父がNY出身で、昨年亡くなった祖母はずっとNYに住んでいましたので、私も1歳くらいからたびたび訪れていました。祖母は元々舞台女優になりたい人だったので、覚えていないくらい小さい頃からよく劇場に連れて行ってもらっていたんですが、子どもなので正直よく分かってはいなくて(笑)。今思うとなんて罰当たりな子どもだったんだろうと思いますが(笑)、『ライオンキング』を観ながら泣き出してしまったこともあるそうです。

子どもの頃は、特別な人たちだけが立てる遠い遠い世界をご褒美で見せてもらっている感覚だったのですが、12~3歳の時にサットン・フォスターさん主演の『モダン・ミリー』を観て、あまりのカッコよさに衝撃を受けて「私も彼女のように自由に歌い踊る人になりたい!」と。ただ、高校時代にミュージカルのサマーキャンプに参加したりするなかで、小さな頃からトレーニングを受けてきた人たちのうまさを目の当たりにしていたので、自分が出るものだとはやっぱり思わなかったんですね。“観る専門”という意識が変わったのは、実際に『メリリー~』で初舞台を踏ませていただいてから。そしてここ5年くらいは、「あの役、大変そうだな~」という“職業病”のような観方をするようになりました(笑)。

――数多く観てこられたなかで、もう一度観たい、あるいは日本にぜひ来てほしい作品は?

私が今年の春に出演した『ウェイトレス』は、日本版の成功を受けて…と言っていいのか分かりませんが、その影響もあって秋のブロードウェイで再演されるそうです。そのニュースを聞いた時すごく嬉しかったので、ぜひまた観に行きたいですね。日本に来てほしいのは、ブロードウェイで上演されるのはこれからなのですが、ロンドンで観たマリアンヌ・エリオット演出の『カンパニー』。かなり前に初演されたスティーヴン・ソンドハイム作品ですが、今回は結婚したがらない35歳の主人公を男性から女性に置き換えた形でのリバイバルになっていて、それだけでこうも変わるものかと感銘を受けたんです。女性の生き方が多様化している今、あの作品が投げかけるメッセージが日本にどう響くのか、興味がありますね。

――日本版『ウェイトレス』での宮澤さんのドーン役、素晴らしかったです。オリジナルキャストを日本人の血を引く方が務めた役でもありますし、ブロードウェイで再演されるならぜひ宮澤さんにと思ったりするのですが、正直「やりたい」というお気持ちは…?

いやいやいや、もうもうもう、おこがましいおこがましい、全くないですそんなこと(笑)。もちろん、ね? チャンスがあったら何でもやりたいとは思ってますし、オリジナルキャストのキミコ・グレンさんすごく素敵で憧れましたけど、ドーンに関してはやり切った感があるので(笑)。ただ、ブロードウェイでは人種を越えたキャスティングがされるようになってきて、才能ひとつあればチャンスはたくさんある時代になっているので、日本の若い人たちにもどんどん挑戦してほしいなとは思います。私も自分で可能性を狭めずに、いっぱいトレーニングをして、いつでもオーディションを受けられるようにはしておきたいですね。

取材・文=町田麻子

【関連記事】

おすすめの記事