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さあ、女子旅へでかけよう!『伊豆沼・内沼』でマガンの飛び立ちに感動

ニッポンごはん旅

早朝のマガンの飛び立ち

早朝のマガンの飛び立ちを撮影するため、お気に入りのカメラを持参。

ここに到着するまでの道のりはというと、撮影当日は朝が早いため前日から伊豆沼にほど近い市内のホテルへ宿泊。そして今朝は早朝5時に起床し、眠い目をこすりながら暖かいダウンで身を包み、使い捨てカイロを忍ばせ、さらに温かい飲み物も準備万全。

いそいそと車へ乗り込み、若柳築館線とも呼ばれる県道176号を登米市方面へ向かって走らせてきた。

まだ夜明け前ということもあって、周囲は真っ暗闇。加えて、伊豆沼といってもどの場所でマガンの飛び立ちが見られるのか? 特に目立つ目印もない。

しかし、旅慣れた二人にはなんのその。慣れた手つきで、スマートフォンでマップを確認し「伊豆沼雁の飛び立ちポイント」を発見。無事にたどり着いた訳だ。

飛び立ちポイントは、『伊豆沼』の一番端っこに位置するため一度訪れれば、次回はスムーズにたどり着けそうな場所。ただ、トイレや自動販売機、また専用の駐車場などはないため、湖の近くに車を寄せて駐車をするのだが、道幅が狭いため注意が必要だ。

時計の針が午前6時20分を過ぎた頃…

うっすらと濃い藍色のベールに覆われた空と、『伊豆沼』の湖面に朝焼けの橙色が美しく浮かび上がる。

沼の広さは369ヘクタールの面積を誇り、宮城県でもっとも大きく、栗原市と登米市にまたがるようにして広がっている。隣接している『内沼』は、『伊豆沼』と川一本でつながっているが、かつては一つの大きな沼でその大きさから『大沼』と呼ばれていた。

「わあ、ねぇ!明るくなってきたんじゃない?」

「本当だ!ほら、カメラ、カメラ!」

二人は、クスッと笑って抜群のタイミングでカメラを向ける。冬の透き通るような寒い空気なんて、仲良し二人にはお構いなし。どちらかが凹んだときには、自然と一方が包み込み、言葉がなくたってちょっとの仕草でうなずける関係。

『伊豆沼・内沼』は、世界でも希少な湖沼として知られている。

毎年2000から3000羽のオオハクチョウや、数万羽のマガンなど多くの渡り鳥が冬越えをするために訪れる。

真冬でも基本的に最高気温が4度前後まで上がり、水面が凍りにくいことと、鳥たちが好む水生植物も豊かで、その他さまざまな条件が重なり、多くの鳥たちにとって居心地の良い住処として人気となっているのだ。

クゥーククゥ、クァクァ。。。

かすかに聞こえたと思っていた数羽のマガンの声は、次第にオーケストラの楽曲のように鳴り響き、同時に朝焼けの光はグーンと、沼のほとりにたたずむ二人の方向へと伸び始めた。

間もなく、辺り一面に鳴り響くマガンの鳴き声。

ククゥー・・! クァークァ!! 

クァークァー!!!

太陽が昇ったぞ!いくぞ!

まるで1羽のリーダーがかけ声をかけているかのように、マガンたちは一斉に漆黒の翼を優雅に泳がせて、同じ方向へ流れるように飛び立つ。

「わはっ!これは、すごぉい!!」

カシャリ、カシャリ……!

肉眼でも見たいけれど、二人はお気に入りのカメラのファインダー越しに声をかけ合った。シャッターが間に合わないほど、一斉に押し寄せてくるマガンの群れは、その迫力に呑み込まれて鳥肌が立ってしまうほど。

二人はゴクリと息を呑む。

アルファベットの「V」の字編隊で飛ぶマガン。

マガンたちの飛び方には、ある種のパターンも見えてきた。その背景には何度も見つめ直してしまうほど美しい色彩の世界が広がる。

早朝の朝日が生み出す穏やかで柔らかな橙色に、うっすらと藍色の夜の名残が見事に折り重なり、その美しいグラデーションに言葉を失ってしまう。

この美しい瞬間を目当てに、日本国内に限らず世界中から多くの人々が訪れるというのには、納得だ。すでに、二人の周囲には何組もの人々がカメラを構えている。

間もなくして、二人もゆっくりとカメラを下ろし、

改めて神秘的な目の前の風景を見つめた。

不思議と、目の前にゆらめく悠然とした『伊豆沼』を眺めていると、時間という存在を忘れてしまう。

「すごいねぇ。早く起きて良かった!」

「本当そうだね。上手く撮れた?」

「見せて!見せて!」

互いのカメラを交換しながら戯れあう姿を、上空からマガンたちが見下ろし、心地よい鳴き声をあげていく。

二人は、想像以上の美しさに大満足。

自然と溢れてくる笑みを浮かべながら、次の旅路へと出発した。

伊豆沼
〒989-4601 宮城県登米市迫町新田伊豆崎

内沼

*この記事は2023年11月時点の情報を基に作成しています。

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ライター:栗原市商工観光部田園観光課

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