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人生100年時代に地域でできる認知症予防とは? 最年長87歳の「ゆうゆうサロン藤松」【北九州市門司区】

北九州ノコト

(アイキャッチ画像はゆうゆうサロンメンバー)

「人生100年時代」と言われる昨今。100歳まで健康で、日常生活において何も制限されることなく生活できることは理想です。

ですが、厚生労働省が情報提供している「平均寿命と健康寿命」の2019年のデータを見ると、“平均寿命”と“健康寿命”の差は男性で約9年、女性が約12年となっています。これは、男女ともに約10年前後にわたり、健康上の問題で何かしら制限のある生活を送っていると推測されます。

高齢者においての「何かしらの制限がかかる要因」とは、主に認知症や脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒などが挙げられます。

また、健康長寿に向けて必要な取組みに「フレイル予防」があります。フレイルとは、加齢による心身の老化により、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい状態を指します。でも、地域の高齢者の実情や、実際にどのような取り組みをしているのか普段の生活の中ではなかなか知る機会がありません。

今回、長年地域で認知症予防の活動をおこなっている「ゆうゆうサロン藤松」責任者兼会長の澤井さんにお話しを伺う機会があり、サロンの活動を教えていただきました。

「ゆうゆうサロン藤松」の活動とは?

ゆうゆうサロン藤松のメンバーは現在13名。メンバー全員が75歳以上で、最年長は87歳です。

市民センターを活動拠点として、「認知症予防」を活動のテーマに、月に2回、脳トレや体操、料理教室など、年度当初にプログラムをたてて活動をしています。

1年間の活動プログラムはどういった内容なのでしょうか?

5月は心地よいウォーキング

気候の良い季節には、センター外の活動があります。今年5月には、門司駅の海側にある国道199号線沿いの遊歩道を思い思いに歩いたそうです。

心地よい汗を流し、その後に楽しいランチタイム。心も身体もほぐれて、食事をしながら話に花が咲いたのだとか。

6月は脳トレ かるたやトランプ大会で大笑い

6月には「藤松かるた」「北九州かるた」の2種類のかるたを使った「かるた大会」を開催。読み手が読み上げる間、みんな真剣に絵札を探していて、緊張が走るそうです。

トランプは「ババ抜き」と「ジジぬき」を実施したそうですが、13人全員でおこなうので、なかなか同じ絵札のトランプが揃いません。“ババ”や“ジジ”が相手に渡るたびにみんなで大笑し、楽しく脳のトレーニングを行います。

料理教室は男性も積極的に参加

料理教室は年に4回ほど実施され、事前にみんなで何を作るか話し合い、それぞれに食べたいものや作りたいもの、季節にあわせた料理を作って食べる機会を設けているそうです。

普段は料理をしないという男性も、メンバーに教えてもらいながら調理や食器洗いに参加。自分達で作った料理をみんなでわいわいと食べるのは、いくつになっても楽しいものですね。

行政の事業を活用した講話や体操でフレイル予防

認知症やフレイル予防に大切なお口の話や栄養、運動について、行政の事業を活用しながら、専門の講師を招いて話を聞く機会も設けています。

ラジオ体操とステップウェルで自由体操

ラジオ体操はゆっくりとした全身運動なので、体の機能を維持するのに役立つのだとか。ステップウェルは高さの調節できる踏み台にリズムにあわせて登り降りを繰り返すことで、下半身の筋肉を鍛えるもの。1回10分を1人でおこなうのはきつく感じることも、みんなでやることで「あとちょっと頑張ってみよう」という気持ちになるそうです。

高齢者が転倒する場所は意外にも家の中のちょっとした段差なのだそう。足腰を鍛えることで、転倒の予防にもなるそうです。

取材当日は、毎分110回のペースのリズムに合わせて、5分2セットで行っていました。筆者も体験させていただきましたが、ふくらはぎあたりに効いているのを実感しました。

参加者の中には、片手に杖をつきながら参加されている人もいて、日常の生活活動にあわせた各自のペースで取り組んでいる姿が印象に残りました。5分連続で行うのは、高齢者でなくても辛く感じたので、無理せず少しずつでも継続することが大切だと感じました。

サロン立ち上げから20年 「月に2回、通ってくることが大切」

澤井さんがこの活動と関わりはじめたきっかけは20年ほど前、健康づくりの一環として、行政や大学の有識者の人達と立ち上げたのが始まりとのこと。

講師の補助を担うファシリテーターとしてサロン活動を支えてきたそうですが、自身も齢をかさねて御年85歳。今はプレイングマネージャーとして、「認知症予備軍にならないように、元気で毎月、毎回集まろう」を合言葉にメンバーの皆さんと一緒に、楽しんで活動を続けているとのことでした。

立ち上げ当初は3グループ、計33名で活動していたのが、高齢化とともに年々メンバーが減り一時は5名になったこともあったそう。

「サロンの活動はまず、ここに来るまでが1つの活動。家にこもっている人を社会に引き出すのも1つの役割であり目的。フレイルのスパイラルに入ってしまうと、やる気がなくなって、どんどん内に籠ってしまう。月に2回、ここに通ってくるということがまずは大切」と笑顔で話してくれました。

1番長く通っているメンバーは10年以上になるそうで、メンバーの方にサロンの活動について尋ねたところ「月2回、ここに来てみんなで、他愛のないことを話すのが何よりも楽しみ」と教えてくれました。

澤井さんやメンバーの皆さんのように、元気でいきいきと高齢期を過ごすためには、日々の心と体づくり、あわせて集える場とコミュニティの大切さを感じた筆者でした。自分の住む町に1つでも社会参加できる居場所があるとよいですね。

なお、ゆうゆうサロン藤松への参加は基本的にふじまつ市民センター校区にお住まいの方。気になる方はお気軽に見学のご相談を…とのことでした。

<ゆうゆうサロン藤松>
■開催日/毎月第2・第4金曜日
■時間/10:00~12:00
■開催場所/ふじまつ市民センター(北九州市門司区上藤松2‐3-31)

※2024年9月5日現在の情報です

(ライター・kohalu.7)

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