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pachae ややこしさと快感が交錯する超絶高難度演奏、変態的なコード展開とずば抜けたポップなメロディ、初のアニメタイアップにして真正面から愛についてズバリと歌う新曲「アイノリユニオン」堂々完成

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pachae 撮影=菊池貴裕

4月にメジャーレーベル第一弾シングルをリリースしたと思ったら、あっと言う間に4曲目。そして初のアニメタイアップ。しかも真正面から愛についてズバリと歌うラブソングだ。pachae(ぱちぇ)の新曲「アイノリユニオン」は、TVアニメ『妻、小学生になる。』オープニングテーマとして書き下ろされた1曲。ややこしさと快感が交錯する超絶高難度演奏と、変態的なコード展開やリズムチェンジと、メロディのずば抜けたポップさと。pachaeらしさの最高到達点を更新する自信作だ。

――早くもメジャー4曲目になりました。毎回曲のタイプがかなり違っていて、前作の「ダンシング・エモーション」は、理屈抜きに陽気でポップな夏ソングでしたけれども。

音山大亮(Vo,Gt):夏馬鹿ソングですね。他の曲に(演奏の)余裕がなさすぎるから、夏を言い訳にアホみたいな曲を出して馬鹿騒ぎしたかった。まず俺らができないとお客さんもそうならないし、夏フェスは特にそういう曲を求められてるし、そういう曲を増やしていきたいと思ってたので。

――pachaeとして夏フェスに本格的に参戦するのは、今年が初めてですよね。どうでした?

バンバ(Gt):『ジャイガ(Osaka Gigantic Music Festival』7月20日)にオープニングアクトで出してもらって、それがインパクトとして強いです。圧倒的に人の数が違うから、あれはすごかった。人がめっちゃおったし、みんなが興味を持ってくれたら嬉しいなって、普通に思いましたよね。ちゃんと乗ってくれて、お祭りしてくれて、嬉しかったです。

――届いてる感があった。

バンバ:ありました。

音山:俺らのことを、全く知らん人たちも多かったと思うんですよ。人って、一回じゃ踏み込んでこないと思っていて、何回か会った時に“もう知ってる人たち”になるじゃないですか。こういう大きいイベントをあと何回もやって、どんどん知られていきたいなと思っているので、その最初の一歩になったと思ってます。

バンバ:潜在意識に刻みつけて。

音山:今は潜伏期間です(笑)。「ダンシング・エモーション」で潜伏させたから、来年ぐらいにざわついてきて、病院に行ったら“あなた、pachae好きですね”と言われます。

――pachae陽性(笑)。さなえさんは、この夏のライブの思い出というと。

さなえ(Key):ジャイガもですけど、『ツタロックフェス』の記憶も大きくて。

バンバ:3月だけどね。

さなえ:そっか、夏じゃないな。でも『ジャイガ』と同じくらい記憶に残ってます。初幕張メッセやったんで。

バンバ:でも確かにそのぐらいの時期から、大きな会場でのパフォーマンスを意識し始めたタイミングなのかな?というのはありますね。

音山:ほんまの一歩目は『ツタロック』やったかもね。

――順調に経験を積んでます。そしてまた今回も初の経験が。

音山:そうですね。初タイアップをいただきました。

――TVアニメ『妻、小学生になる。』オープニングテーマ。これは、まずお話をいただいて、書き下ろしたということですか。

音山:そうです。まず原作を最後まで2、3回読んだんですけど、結構難しいというか、複雑な話なので。どんどん複雑になっていくから、歌詞は何回も書き直しました。ネタバレしたくなかったんですよ。1話と12話とではいろんなものが移り変わるから、1話にぴったりの歌詞を書いてもだんだん矛盾してくるし、最終話に合わせて書いたら(結末が)バレちゃうから。いつ聴いても共通して感動するというか、作品を推せる歌詞が書ければと思ってました。曲調に関しては、単純にこの作品のイメージというか、いろんな複雑な展開に合わせて、pachaeっぽいちょっと変態な転調しまくりの曲にしたけど、歌詞はそういう感じです。

――曲調と演奏はいつものpachaeらしさ全開で、でも歌詞はかなりの挑戦だったと。

音山:そうです。こういうストレートな愛の歌はあんまり普段は書かないし、俺のことを歌ってる歌じゃないから、どういうふうに書こうか悩みました。作品によっては、それ(作品の内容)を持って俺のことを書く場合もあれば、完全に作品主体というか、主人公の目線で書く場合もあると思うんですけど、今回は後者のほうがいいかなと。このキャラクターのおかげで書けたという感じやったんで、タイアップを含めてこの作品に感謝していますね。それがなかったらできなかったという気持ちが強いかなと思います。

――《愛とは形のないもの》。ストレートでキャッチ―で、メロディにぴったりハマってる。いいフレーズだと思います。

音山:ありがとうございます。サビの歌詞は、たぶん7パターンぐらいあったんですよ。メロディは決まってたから、それに当てはまる言葉を何個も考えて。歌詞がストレートなぶん、文章の順番が前後しても伝わる部分も多かったから、どれが一番きれいに伝わるか?を考えてると、7パターンぐらいできて、結果これになりました。

――いいフレーズ、多いです。《幸せの形はきっとね ひとりひとり違うもの》とか。

音山:自分も元々、そういう価値観でとらえていたので。この作品の作者しかり、この作品のキャラしかり、そこの価値観が似通ってるから書きやすかったのかなと思います。(アニメの主人公の)この家族のおかげですね。原作を読んで“愛ってこういうものか”って思いました。サビに関しては、僕の価値観もかなり入ったものになってるかなと思いますけど。

音山大亮(Vo,Gt)

――確かにpachaeって、音山さんの歌詞って、いわゆる恋愛ソングと言っても、愛とは何ぞやみたいな、愛を哲学するような曲が多いと思います。メジャーデビューの「チョウチンカップル」も、次の「非友達」も。「ダンシング・エモーション」はちょっと違うジャンルですけど。

音山:やっぱりみんなに一番伝わるテーマだと思うし、今はそれをみんなに届けたいっていう気持ちが、特にデビューしてから強まったので、そうなっているのかもしれないです。

――お二人は、『妻、小学生になる。』のアニメについては。

バンバ:漫画を読ませていただきました。

さなえ:感動しました。予想してる展開じゃなかったから、最後はすごい切なくもあり、寂しいけどそこに強さを感じました。

バンバ:むちゃくちゃいい作品です。いろんな読み方があると思うんですけど、“自分やったらどうする”みたいに没入して読むとか。この漫画は、キャラクターがそれぞれいろんな選択するタイミング多くて、自分も“どういう選択するべきなんやろな”と思ったり、考えて読むのが面白かったですね。登場人物の誰かの心情になるというよりは、読んでる自分が、逆に問いかけられてる気持ちになる作品でした。

――それを「アイノリユニオン」という曲に落とし込んだ、音山さんの表現については?

バンバ:ガチで素晴らしいです。しかも、歌詞で全てを語ってない感があるんですよね。余白があって、そこに生まれるものがあるから、聴く人への問いかけの歌でもあると思います。

音山:ただの愛じゃない。意外とストレートじゃないから、作品を読んだり見たりする前だと、なんとなく聴くかもしれないけど、見終わった後に聴くと、“自分はそういう風にとらえれるかな?”って、結構難しいかもしれない。理想像でもあるから、僕の中でみんなそう思えよとも思わないです。ただ、作品ありきで素晴らしくなる歌詞もやっぱりあるなと思うし、いい歌詞が書けたと思います。超自画自賛(笑)。素晴らしい歌詞です。

――タイアップのいい面ですよね。

音山:ほんまにそうです。感謝です。またやりたいです。

――演奏としてはどういうところが楽しいですか。

バンバ:楽しいポイント全部説、あるんですよね。イントロから全てのフレージングが、やっててすごく楽しいです。難しいけど楽しいです。もう、難しいことに楽しさを見出してます。ドMじゃないと楽器はできへん説はある(笑)。

――pachaeは特にそうじゃないですか。なんでここまでするんだろう、みたいにトリッキーなフレーズやコードや展開がばんばん出てきて。

バンバ:鬼畜フレーズ、多いです。

音山:それで後悔している時もあります(笑)。俺も弾きながら歌ってて思います。俺の中では「非友達」とこの曲が、ギター&ボーカルは一番難しいんで。軽音部の皆様がいつかカバーしてくれる時は、二人で分けたほうが絶対いいと思います。そのほうがより楽しくカバーできると思うんで。特に「アイノリユニオン」は難しかったですね。

さなえ:本当に全部楽しいけど、イントロはやっぱり、特徴的なうちの(曲の)中でもまた特徴的なので。次々と進んでいくこの展開がすごく楽しいです。難しいですけど、でも楽しい。

さなえ(Key)

――鍵盤のフレーズは、音山さんのデモの中にもう入っているんでしたっけ。

さなえ:はい。最初はびっくりしました(笑)。でも楽しそうやなってすごく思いました。ライブでやったら余計に、また違う楽しさも出てくるかなと思います。ライブでもこれ(音源のまま)なんや、と思ってもらえるように頑張ります。

――バチッとハマったらめちゃくちゃかっこいい。気持ちいいと思います。

バンバ:気持ちよくなりたいな。

――そのためにドMプレーに耐えると。

音山:ムチですね(笑)。アメはない。「ダンシング・エモーション」は、自分が楽に楽しめるから、アメですね。アメの形状をしているアメ。今までも“舐めたら以外とアメだった”というものはあったかもしれないけど。

――アメとムチ。だんだん話がヤバイ方向へ(笑)。でも「アイノリユニオン」のサビは、かなり甘いアメだと思いますよ、リスナーにとっては。めちゃくちゃキャッチーで一発で覚えちゃう。これ、シンプルなドレミファソラシドの音階ですよね。

音山:ドレミファソラシドの曲を作りたかったんですよ。いろんなアーティストがたぶん1曲は出していると思うんですけど、そういう曲が1曲あってもいいのかな?と。このメロディは2年ぐらい、ずっと鼻歌で歌ってて、タイアップの話をいただいた時に“これかな”と。自分の中ではここぞという場所で使いたかったから、ここで使えて本当に良かった。ええメロディやなと思います。

――ギターソロも、めっちゃかっこいいです。

バンバ:あれは僕じゃなくて、こっち(音山)です。けっこうギリギリでできたんですけど。

音山:あのソロ、死ぬほどムズかった。自分が弾けるかは置いといて、ああいうジャズふうのソロがしたかっただけだから。その前(の部分)がもうわけわかんなくて、ラテンふうみたいなセクションがあるし、入れるかどうか最後まで悩みました。決めたのは結構ギリギリで、レコーディングではなくて、自分の家でギターのプラグインで録りました。だから今、めっちゃ練習してます。

――今後ライブで再現しなきゃいけないから。

音山:そこだけ、黒人の最強のギタリストを呼びたいです(笑)。でも、とりあえずは僕が弾きます。

――またドMなことしちゃいましたね。

音山:そうです。だからその後のBメロをお客さんが全員で歌ってくれたら、俺はとにかく助かる。

バンバ:いいね、そのビジョン。

音山:“みんなで歌おう”のメロディじゃないかもしれないけど、でもみんなで歌ってそうな感じはあるんですよね。合唱で歌ってる声が、Bメロには合うと思う。Aメロはムズすぎて、(合唱は)100%不可能なんで。サビはもちろん歌ってほしいけど、僕らがほんまに大きいところでライブできるようになったら、Bメロをみんなが歌ってくれるんじゃないかな?って。というか“そうして”って思ってる。

バンバ:シンガロングできそうやな、確かに。いいイメージが出た。

さなえ:今ずっと頭の中で想像してたけど、みんなで歌ったらほんまに楽しいやろうなって思います。

バンバ(Gt)

――早速次のライブで歌ってもらいましょうか。11月には対バンを呼んで自主企画イベント『Trick or Trick vo.3』の開催が決まってます。前回より規模が大きくなってます。

バンバ:東京、大阪、名古屋の3会場でやります。

音山:どんどん新しいことに挑戦するというか、今は地の力を固めて、今できる120点のライブをする時だと思うので。僕らが興味あるバンドを呼んで、1日通して楽しめるイベントになればいいなと思ってます。

さなえ:一つひとつの繋がりを大切に、これからも続くイベントになっていけたらなという思いはあります。

バンバ:前回の東京編はすごかったね。楽屋も大盛り上がりで。

音山:初めましてのバンドとも対バンさせてもらってるので。いろんな場で知り合って、友達になってというのは、この1年でも結構増えていて。

バンバ:友達は大事です。でも戦いでもあるんですよね。自分らの企画は特にそうです。一番考えないとあかん場所というか、自分を見つめる、さらけだす、つまり本気ってことです。音源を出して、聴いてくれる人はおっても、誰がどんなやつでとかわかんないじゃないですか。でもライブはわかるんで。

音山:一番覚えるしな。(バンバは)名前と顔を覚えマスターだから。

バンバ:エゴサ大好きなんで(笑)。エゴサした人は、つぶやいてくれたら一瞬で特定します。あとライブは、お客さんとの一番のコミュニケーションの場ですね。音源だけでは一方通行な感じがするんですけど、ライブはこちらが何かしたら返ってくるレスポンスがあったり、それこそ「ダンシング・エモーション」のコール・アンド・レスポンス的な部分とかもあったりするから。

――あそこ、みんな歌ってくれますか。

バンバ:歌ってくれます。ありがたいことに、だんだん増えてきました。あれは嬉しいですね。

音山:♪ライライライって。『ジャイガ』で初めて披露した時は、全く聴いたことない人もいっぱいいたやろうけど、頑張って歌ってくれる人もいて、あれは一番の思い出ですね。絶対無理やとわかってるけど、“歌ってくれますか!”っていうテンションで行って、一番ではやっぱりできなくて、最後らへんでなんとなく、お客さんも何歌ってるか自分でもわかってないけど、とりあえず♪ライライライは合ってるやろな、みたいな(笑)。終わってから“難しすぎ”って言われてたっていう話をたくさん聞きましたけど、そういうコミュニケーションは増やしていきたいですね。

――みなさん、「アイノリユニオン」もぜひ合唱を。

音山:そうですね。よろしくお願いします。

取材・文=宮本英夫 撮影=菊池貴裕

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