高知県で<ウツボ>をタタキと唐揚げで食べてみた 海のギャングは地元で人気の郷土料理?
ウツボは海のギャングと呼ばれ、鋭い歯と睨むような鋭い目が特徴的。見るからに危険な匂いをプンプンさせています。
水族館で飼育されている姿をイメージする人も多いでしょう。観賞魚という印象が強い魚ですが、地元では食材として有効活用されているそうです。
それを知った筆者は11月上旬、高知へ旅行した際に人生で初めてウツボを食べてみることに。その味とは?
ウツボってどんな魚?
ウツボはウナギ目ウツボ科に属する魚の総称で、世界中に約200種類もいるそうです。
ウツボ科の魚は世界中の温帯から熱帯の海域に生息し、岩の隙間などに身を隠してエサが来るのを待つという生活をしています。また、ウツボ科には標準和名ウツボ(学名:Gymnothorax kidako)という種もいます。
胸ビレと腹ビレが無く、黄色と茶色の独特の模様や体色を持つことが特徴。鋭い歯を持ち凶暴そうなイメージがあるため“海のギャング”とも呼ばれますが、性格は大人しく、攻撃しなければ襲ってくることは少ないといいます。
ウツボの名前の由来は諸説ありますが、矢を入れる筒状の道具である「靭(うつぼ)」に似ているからとされることが多いです。
なお、ウツボは食用になりますが、熱帯に生息する一部の種や大型になるものなどは後述のシガテラ毒を持つことがあるため、注意が必要です。
食べられるウツボは?
熱帯に生息するドクウツボなどの種では、プランクトンに由来するシガテラ毒を蓄積していることがあります。
シガテラ毒で死亡することは少ないですが、下痢や関節痛、手足のしびれ、また「ドライアイスセンセーション」といわれる温度感覚異常などの症状が出ます。治癒まで時間がかかることが多く、できるだけ摂取しないことが大切です。
いくつかの種類のウツボは世界中で食べられていますが、釣ったウツボが食用かどうか見分けるのは難しいので、食べられるウツボかどうかは素人判断しないようにしましょう。
なお、日本で食用にされるウツボは標準和名のウツボ(学名:Gymnothorax kidako)が主ですが、アミメウツボ、ニセゴイシウツボも食用にされています。
ただし、これらの種でも大型の個体はシガテラ毒を蓄積することがあるため、やはり注意が必要です。
今回の高知旅行で食べたウツボ料理
ウツボは小骨が多く、下処理が非常に大変です。しかし、ゼラチン質に富みとても美味しい魚です。
ウツボが捕れる地域では、湯引きや煮つけ、唐揚げ、タタキなど様々な調理方法で食べます。
今回は、伝統料理としてウツボを食べている高知で、実際にいくつかの料理を食べてみました。
香ばしさと弾力を楽しむ<ウツボのタタキ>
ウツボを強火で皮ごとあぶり、骨抜きして作るウツボのタタキ。香ばしさと弾力のあるゼラチン質の食感がとてもマッチし、甘みもあってなかなか美味しかったです。
少し独特の風味がありますが、ポン酢のさっぱり感とうまく調和していました。
風味はお酒のおつまみにぴったり。筆者よりも子どもの方が「美味しい!」と絶賛でした。
サクサク&もちもち食感<ウツボの唐揚げ>
ウツボを3枚におろして油で揚げた唐揚げ。サクサクとした表面の食感と皮のもっちり感が不思議な唐揚げでした。
ゼラチン質と皮の厚さが他の魚と違うので、面白い食感になるのでしょう。
こちらはクセもなく、上品な風味で美味しく食べられました。
こちらもお酒のおつまみにぴったりですが、子どもにも人気でしたよ。
ウツボを食べられるのは主に西日本!
今回は高知でウツボを食べましたが、和歌山や静岡、三重などでもウツボ漁が行われています。
ウツボ料理は居酒屋での提供が多い印象ですが、高知や和歌山では郷土料理店でも食べられます。これらの県で海に近いところを旅行する際には、ぜひ探してみてください。
ウツボは冬場が特に美味しいそうなので、これからの季節にぜひ海のギャング・ウツボを味わってみてください。
(サカナトライター:額田善之)
参考資料
高知まるごとネット-土佐を代表する海産珍味うつぼ
厚生労働省-自然毒のリスクプロファイル:魚類:シガテラ毒