【葵区・マエジマベーカリー】ほぼ140円均一の理由は店主「新しい値札が作れなくて」 昔ながらのパン店
静岡市葵区にある「マエジマベーカリー」は創業から半世紀を超えるパン店です。激安価格のパンは創業から変わらない味、店主の優しい人柄があふれるお店でした。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへいつも見慣れた街並みも、裏を巡ればそこはまるで別世界。静岡県民必見の裏スポットをお散歩します。今回は静岡市の県道354号線。安倍川に沿ってのびる「さつま通り」を散策しています。
懐かしい雰囲気のパン店
さつま通りの「新富町1丁目」の信号から昭和通り方向に抜ける途中の路地裏で、小さなパン店を見つけました。
静岡市葵区安西にある「マエジマベーカリー」です。
創業から半世紀。味のある外観に引かれて、思わず足を踏み入れました。
温かみのある店内には、パンがずらっと並び、甘い香りが漂っています。
どうしてほぼ140円均一なの?
よく見てみるとパンの値段に思わずビックリ。ほとんどのパンが140円なんです。
粒アンパン140円。揚げアンパン140円。チョコロール140円。
なぜこんなに安いのか店主の前嶋重雄さんに聞いてみると、驚きの答えが返ってきました。
マエジマベーカリー・前嶋重雄さん:
プライスカードが作れないんです
「値段のカードを作り替えられない」というウソみたいな理由で、価格は昔のままなんだとか。
一般的なパン店の半分くらいの値段です。
本当は10円ほど値上げしたいそうですが、それでも安すぎます。
原価100%⁉の「りんごパン」
お店の人気メニュー「りんごパン(150円)」。
なんと、衝撃のほぼ原価。つまりもうけはナシ。100円くらい値上げしてもいいと思うほどです。
激安パンが並ぶマエジマベーカリー。これは、毎日でも通いたくなります。
50年前から変わらない「ドイツパン」
店内を見回すと、ちょっと変わったネーミングのパンを発見しました。
「ドイツパン(140円)」と書かれたパン。見た目はいわゆる「メロンパン」です。
これはメロンパンではないのでしょうか?
マエジマベーカリー・前嶋重雄さん:
50年前にはドイツパンと言われていたんです
長い歴史を持つパン店ならではの意外なエピソードを教えてもらいました。
5年前に発売 だけど“新製品”
前嶋さんが「新製品」だと紹介してくれたのは「たまごパン(150円)」。
なかなかかわいらしいネーミングですね。
値段のカードには確かに「新製品」という文字が書かれていますが、よく見ると色が褪せて見えます。
これは本当に最近のものなのですか?
マエジマベーカリー・前嶋重雄さん
もう5年ぐらい前のものです
それはもう新製品とは言えないのでは? と思いつつも、50年店を続ける店主にとっては「新製品」なんですね。
そんな会話にも温かみを感じます。
人気No.1は創業当時からある「カステラパン」
お店の人気商品を尋ねると、「カステラパン(140円)」だと教えてくれました。
創業当初から50年以上も作り続けているロングセラー商品です。
創業当時から変わらない味わいが楽しめるのも魅力です。
かなりの激安なのにサービス券まで
最後にパンを6つ選んでレジへ。合計金額を見て再び驚きました。
かなりの量を買ったのに、900円という安さ。
さらに驚いたのは、お会計の時にもらった「謝恩券」。
200円買うごとに1枚もらえて、10枚たまると50円相当の品物と引き換えてくれるそうです。
このサービス券も創業から50年変わらないんだとか。長年変わらないサービス精神に感動です。
絶品! クリームとこしあんの合体パン
早速、購入したパンを食べてみます。
「クリームデニッシュ(150円)」は、まるでドーナツのような味わいです。
特に印象的だったのは、こしあんとクリームが合体した珍しい「こしあん&クリーム(140円)」。
パンにぎっしり、こしあんとクリームが入っています。この組み合わせ、最高です。
なぜ今までクリームとあんの組み合わせがなかったのか、不思議になるぐらいいいコンビでした。
そして前嶋さんが作っているだけあって、採算度外視でびっしりあんとクリームが入っているのでした。
「マエジマベーカリー」の魅力は、単に価格が安いだけではありません。創業から半世紀以上経った今も、地元の人々に愛され続けているのは、そのおいしさと店主の温かさがあるからです。
変わらない味と、お客さんを大切にする心意気が感じられるお店でした。
■店名 マエジマベーカリー
■住所 静岡市葵区安西4丁目100-13
■営業時間 8:00~19:00
■定休 なし
■問合せ 054-254-7617