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椿りょう、頼もしい団員達に囲まれ初の役柄獲得へ、OSKの強みは「何事にも屈しないこと」――連載『OSK Star Keisho』第5回

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椿りょう 撮影=高村直希

1922年に誕生し、2022年に創立100周年を迎えたOSK日本歌劇団(以下、OSK)。1月より始まったインタビュー連載企画『OSK Star Keisho』も折り返しを過ぎ、第5回を迎えた。今回は男役スターの椿りょうが登場。大阪松竹座、新橋演舞場での『レビュー 春のおどり』でも八面六臂の活躍を見せた椿は、7月の京都・四條 南座では「陰陽師 闇の貴公子☆安倍晴明」で酒呑童子役にも挑む。爪の先まで美意識を高め、自身の魅せ方を追求している椿、男役スターのこだわりが随所に感じられるインタビューとなった。

――まず、月並みですがOSKに入団した経緯を教えてください。

私は、幼少期からミュージカルを観る機会がとても多く、母と観に行っていた実写版『美少女戦士セーラームーン​』のミュージカルでは、自宅を出る時点で衣装から髪型まで『セーラームーン』のコスプレをしていました。その頃から衣装を着て舞台に立ちたという気持ちが強かったんだろうなと思います。大きくなってからはジャンルを問わずに観ていまして、大学もミュージカル学科に入学しました。当時、たまたま桜花昇ぼる(おうかのぼる)さんが出演されていたOSKの大阪松竹座での公演を観ることがあり、その時、すごく衝撃を受けました。桜花さんが放つキラキラしたオーラや、とっても華やかで美しいパワーを客席からいただいて、その姿がもうずっと頭から離れなくなって。そして半年で大学を中退してOSKの入団試験を受けました。あの時、OSKを観ていなくても、また別の舞台に携わっているのではないかと思いますが、身長にも恵まれたので、こうして男役をさせていただき、今はとっても幸せいっぱいの日々でございます。

セーラームーンのコスプレをしている椿りょう

――そうして実際にOSKの一員として舞台に立たれてみて、いかがですか?

もちろん楽しいことばかりではないですし、つらかったり、苦しかったりしたこともたくさんありました。でも同期にも恵まれましたし、今は1年ごとにアップデートを重ねています。当たり前ですが、やはり1年生、2年生の頃と、今の7年目の自分では感じることも違います。またコロナ禍においてもOSKは、何事にも屈しない。そこが劇団の強みだなと思いますね。

椿りょう

――1年ごとにアップデートを重ねたというのは、ご自身で手応えを感じられてのことでしょうか? 周囲の方に指摘されて気づいたこともありますか?

2020年はコロナ禍で舞台公演自体も中止などが相次いでおりましたが個人的には「春のおどり」のメンバーとして大阪松竹座の舞台に出演できず、落ち込むことがありました。その時、翼(和希/つばさかずき)さんとお話をさせていただく機会がありまして。翼さんも似た境遇だったということで、「その時、どうされていたんですか」とお聞きしたら、「いただいたことをとにかくやっていくしかない」と。「それが間違っている、間違ってないとか、失敗、成功とかを考えずに、いただいたものをクリアにしていく。それだけを考えてやっていれば、結果、良くなっていることが多い」とお話してくださって。そこで気持ちが変わったように思います。また、OSK Revue Cafe in Brooklyn Parlor OSAKAにて上演した『Every Little Star​』で53公演の長期公演をやらせていただき、そこでもまたいろんなことが身につきました。初日と千穐楽では自分もお客様も分かるくらい全然違っていました。

『OSKだよ全員集合!OSK日本歌劇団Memorial Show & Premium Talk』 (c)松竹

ーー連載で翼さんへインタビューした際も、そのようにおっしゃっていました。

そうですね。その年の11月には1日だけの公演ではありましたが、大阪松竹座にて上演した『OSKだよ全員集合!OSK日本歌劇団Memorial Show & Premium Talk』の幕開けで、25人のラインダンスの中でロケットボーイをさせていただく機会がありました。そのお話をいただいた瞬間は、嬉しいという気持ちや、「やっと大阪松竹座に出られる」という気持ちなど、いろんな思いがこみ上げてきて。「絶対に成功させてやる」とすごく意気込みました。そしていざ舞台に立つと、やはりすごく緊張して。約2年間、大阪松竹座での公演に出られなかったので「大丈夫かな」と思っていたのですが、なんとかこの幕開きで次の方につなげていかなきゃいけないと。それを舞台袖で見てくださっていた楊(琳/やんりん)さんをはじめ、上級生の方が「変わったね」と一言、声をかけてくださり、その時にアップデートを自覚できました。

――具体的なお言葉はあったのでしょうか?

「踊りのスタンスの幅が広くなった」と言ってくださいました。踊りは好きですし、身長もありますが、それまでは自分でコントロールできる範囲での踊りをしていました。でも『OSKだよ全員集合!』の時は、そこを超えて、転んでもいいからやってみようと。そうしたら自分のスタンスがもっと開くことに気づきました。そういった気付きをすべてつなげると、上級生の方が言われていた「空気を動かす」ということも分かったように思います。転んでもいい、失敗してもいいからと挑戦してみた結果、あのようなお言葉をいただけたのかなと思います。

椿りょう

――そういう決意が踊りやたたずまいにも変化を及ぼすものなんですね。

これは最近の話ですが、新橋演舞場での『レビュー 春のおどり』のお稽古中に桐生(麻耶/きりゅうあさや)さんとお話する機会があったので、踊りにどんな変化を出せるか相談させていただきました。すると桐生さんが「ちゃんとやろうとか、真面目にやろうと思えば思うほど、舞台はおもしろくない」、「お客様はもっと違うことを求めているよ」とおっしゃって。それはどういうことだろうと考えていたら、桐生さんが「ちゃんとしようじゃなくて、その景の中で自分が生きたら良くなる」と。そのお言葉が自分の心にぐっときました。そのことがキッカケで、自分の固まった考え方が柔軟になって、今にいたります。

「黒のINFINITY」 (c)松竹

――7月には南座で2022年劇団創立100周年記念『レビューin Kyoto』が行われます。二部の「INFINITY」へのご出演は3回目になりますね。

はい。オープニングの次に「黒のINFINITY​」という景があり、こちらは作、演出の荻田浩一先生ワールドが全開です。舞美(りら/まいみりら)さん、城月(れい/きづきれい)さん、壱弥(ゆう/いちやゆう)さんの4人で、舞美さんと城月さんがブラックパンサー、私と壱弥さんがブラックマンバの役を演じます。マンバはサバンナにいる毒蛇のことで、蛇の中の蛇みたいな、体も目も真っ黒で、ダークな感じで調べたらめちゃくちゃ怖かったんです(笑)。クロヒョウ=パンサーも夜行性で、それだけでもう、世界観が伝わってきますよね。ものすごく華やかなラテンで太陽が昇ってくるイメージの「INFINITY」のオープニングから一変して「黒のINFINITY」で夜のサバンナになります。なので、ものすごく開放的に全身を使って毒蛇を表現しました。

――大阪松竹座と新橋演舞場を経て、さらに掴んだものはありますか?

実は、踊り方を少し変えていました。大阪松竹座ではワーッと走ってきて、パッと止まることを意識しましたが、新橋演舞場では静かに歩いてシャッと止まって、静けさの中にも盛り上がりを作ってみました。南座はどうしようかなと、今、練っているところです。

椿りょう

――第一部の「陰陽師 闇の貴公子☆安倍晴明」は酒呑童子の役ですね。

酒呑童子と聞いた時は、正直、自分でいいのかとか、いろんなことを思いました。でも桐生さんにも「自分が持っている力を出す場をいただけているのだから、そこでやっていかないとだめだよ」と言っていただき、もう腹をくくるしかないと……。今は本当に楽しみです。(作、演出の)北林佐和子先生の作品は初めて出させていただくので、いろんなお勉強ができることを楽しみながら、頑張りたいと思っています。

――酒呑童子はいわゆる悪役です。悪役をされる機会は過去にもありましたか?

悪役の機会もないですし、人間以外のお役も初めてです。ただ、悪役にも主人公にもそれぞれの正義があって、いろんな見方ができるはずです。その中心の部分をお客様にお伝えするということは、鬼であろうが、悪であろうが大事にしています。椿りょうが演じる酒呑童子というのも必ず出さないといけないので、新しい自分を出していこうと思います。

右から椿りょう、舞美りら、千咲えみ、翼和希 (c)松竹

――では、『OSK Star Keisho』のご質問リレーに参りましょう。舞美さんからは「男役さんとしてでも、舞台人としてでもどちらでも良いのですが、OSKの男役さんとして次の世代に受け渡したいものは何ですか」というご質問です。

そうですね、まだまだ下級生なのですが……、最後に必ずパラソルを回す劇団はOSKしかありません。「桜パラソル」は観ていてもすごく楽しいですし、キラキラしていて。そんな「桜パラソル」が似合う男役をどんどんつなげていきたいと思います。男役として思うのは、空間の捉え方です。男役ならではの全身を使ってお届けするということを、今後もどんどんつなげていけたらいいなと思います。

――続いて、千咲えみさんからのご質問です。「伝統ある男役さんの群舞の何を先輩方から教わって、さらに下級生の男役さんにお伝えしていきたいですか」。

私自身が下級生の頃は、前にいらっしゃる上級生の方にカウントも振りも合わせることを心がけていましたが先日、愛瀬(光/まなせひかる)さんから「合わせるというより、上級生の方の空気に乗る、乗せていただく」というお言葉をいただきました。本当におっしゃる通りだなと思います。上級生の方は舞台の前に立って、一番近くでお客様の空気を感じています。そうしてショーの雰囲気を作ってくださっています。だから先輩方の雰囲気とノリについていくとその景の情景が分かるので、本当におっしゃる通りだなと思います。だからもし、今の下級生のなかに「合わせなきゃいけない、間違っちゃいけない」と思っている子がいたら、「ちょっと考え方を変えてみると良いよ」いうことを下級生に伝えていきたいです。

椿りょう

――前回の舞美さんと千咲さんのインタビューで、椿さんの黒燕尾の着方がすごく美しいというお話になりました。尻尾の先まで綺麗に見えていて、見せ方にこだわりがあるのではないかとお二人がおっしゃっていたのですが、もしおありでしたら教えてもらえませんか。

以前自宅で燕尾を着て、どう見せたらかっこよくなるかと考えたことがありました。その時、燕尾の先にコインをつけて踊ってみると、重りがつくことによって燕尾の尻尾が綺麗に動いたのです。そのことに気づいて、次はコインつけずにやってみようと。そして、燕尾は背中から尻尾までつながっているので、背中から意識することが大事だと分かりました。もちろん上級生の方から気づくこともたくさんありますが、自分でも着てみてそういうところに意識するようになりました。なので、分からなくなったらいつもコインをつけています。確かに、そういうこだわりはありますね。ただ、この自主練は誰にも見せません(笑)。

椿りょう

――その努力が他の人とは違うという印象になるのでしょうね。

なのかな……?(笑) でもそういうことも伝えていきたいですね。

――では最後に、『OSK Star Keisho』の最終回に登場される登堂結斗(とうどうゆいと)さん、天輝レオ(あまきれお)さんへのご質問をお願いします。それぞれでもいいですし、共通のご質問でも構いません。

はい。登堂さん、天輝さん、おふたりとも長身で、スタイルもめちゃめちゃ良くて、憧れの的です。舞美さんと同じようなご質問になりますが、「自分たちがこだわっていることで、100周年以降も引き継いでほしいことはありますか?」でお願いします。

椿りょう

取材・文=Iwamoto.K 撮影=高村直希

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