【横須賀 イベントレポ】横須賀で義太夫と落語を楽しむ会 - 明治の寄席文化を体感!爆笑と圧巻のステージ
横須賀で明治時代の粋なエンターテインメントが蘇る――。
以前取材させていただいたイベントでの素敵なご縁があり、「今度はぜひ本格的な義太夫節を間近で体感してみたい!」と強く惹かれていました。
【横須賀 イベントレポ】浦賀の町家に響く民謡 - 国登録有形文化財で味わう唄と三味線2026年5月30日(土)、横須賀市浦賀にある国登録有形文化財『みそ工房 幸保六兵衛』にて、浦賀の町家に響く民謡が開催されました。様々なゲストを招いて日本の伝統芸能や地域文化を広く紹介していく新シリーズの第一弾です。風情ある浦賀の古い街並みを楽しみつつ、当日の様子を取材してきました!国登録有形文化財の町家と日本の伝統芸能会場の『みそ工房 幸保(こうぼ)六兵衛』は、関東大震災で倒壊した母屋の跡に1925(大正14)年に建てられた店舗付き住宅の典型的な町屋建築です。平成の時代まで米穀商を営まれていました。現在の...
湘南人
今回出演される鶴澤津賀花さんよりお声がけいただき、よこすか市民会議が主催する『横須賀で義太夫と落語を楽しむ会』に伺いました。
会場は多くの来場者で賑わい、墨亭右柳さんによる落語から、竹本京之助さんと鶴澤津賀花さんによる義太夫節まで、時を超えて愛される伝統芸能の魅力に包まれた素晴らしいひとときに。今回は、初心者にもわかりやすい解説付きで大いに盛り上がった当日の熱気あふれる舞台の魅力をお届けします!
明治時代の寄席エンタメを現代へ!「伝統文化学習鑑賞会」とは?
今回のイベントを主催したのは、地域に根ざした活動を続けるまちづくり文化ボランティアグループ「よこすか市民会議(YCC)」です。
よこすか市民会議が手がける「伝統文化学習鑑賞会」は、歴史ある優れた伝統芸能を身近に体験し、学び深めることを目的として開催されています。25回目を迎えた今回は、明治時代に横須賀の寄席で絶大な人気を誇っていた「女義太夫」と、親しみやすい「落語」の二本立て。伝統芸能と聞くと少し身構えてしまう方でも、気軽にその粋な世界を楽しめる工夫が凝らされていました。
会場には古くから女義太夫が親しまれていたとされる浮世絵や横須賀の寄席の資料などが展示されていました。
よこすか市民会議代表の吉田和枝さんによるご挨拶もあり、アットホームな雰囲気の中で会がスタートしました。
初めての方も楽しく「義太夫に親しむ」! 鶴澤津賀花さんによる義太夫節の解説
続いて舞台では、まずは女流義太夫三味線弾きの鶴澤津賀花(つるざわ つがはな)さんによる、義太夫節の解説が行われました。
鶴澤津賀花 プロフィール
女流義太夫の三味線方として、公演や講座、文化施設・学校・地域イベントなど多彩な場で義太夫節の演奏を行う。太夫の語りを支えながら、情景や心情の機微を繊細な音色で描き出すことを大切にしている。
女流義太夫公演に加え、博物館やホール主催のレクチャー付き企画、体験型プログラムにも数多く参加し、実演とわかりやすい解説を通じて、義太夫節の魅力と楽しみ方を次世代へ伝えている。
「義太夫節(ぎだゆうぶし)」と聞くと、伝統芸能に馴染みのない方には少し難しそうに感じられるかもしれません。しかし、津賀花さんの解説は初めて触れる参加者の目線に寄り添ったとてもわかりやすいもの!
会場では、今回の演目の背景や複雑な人間関係がひと目でわかる、竹本京之助さんが描いた「相関図」や「詞章(台本)」が配布されました。
明治時代には横須賀の寄席でも「女義太夫」が絶大な人気を誇り、現在のアイドルさながらに街の人々を熱狂させていたという歴史の裏話なども飛び出し、会場からは感嘆の声が。これから始まる演目をより深く楽しむための見どころや聴きどころを丁寧に紐解いてくださり、一気にその世界観に引き込まれていきました。
会場中が爆笑の渦に! 墨亭右柳さんによる落語「大山詣り」
続いて高座に上がられたのは、落語家の墨亭右柳(ぼくてい うりゅう)さん。
墨亭右柳 プロフィール
首都圏を中心に年間百席前後の高座に上がる社会人落語家。古典落語を中心に、市民寄席や公民館主催の催し、学校や地域イベントなど幅広い場で口演している。
川崎・習志野・墨田・江戸川など各地の定例寄席や落語会にレギュラー出演し、社会人落語界の「大御所」としても知られる存在。軽妙な語り口と、古典の味わいを大切にした高座で、老若男女を問わず親しまれている。
この日披露された演目は、横須賀のお寺も話にでてくる古典落語の名作「大山詣り(おおやままいり)」。
当時は一大イベントだった「大山詣り」を終えた長屋の男たちが、道中の禁を破って酒を飲み、喧嘩をした挙句に、一人の坊主頭をめぐって繰り広げる愉快な仕返し騒動を描いた滑稽噺です。
本題前の小噺の段階から軽妙な語り口でグッと心を掴まれ、物語が始まると会場からは絶え間なく笑い声が響き渡り、まさに「爆笑の渦」に包まれました。
登場人物たちのコミカルなやり取りや、滑稽ながらもどこか愛らしい人間の姿が生き生きと描き出され、落語にあまり馴染みのない方でも大笑いできる楽しさ!最後の落ちまで、時を忘れて噺に引き込まれる時間となりました。
太夫の語りと三味線の響きに圧倒! 義太夫節「妹背山婦女庭訓 金殿の段」奥深い魅力を体感
そしていよいよ、本日の真打ちとも言える義太夫節の演奏へ。太夫の竹本京之助(たけもと きょうのすけ)さんと、三味線の鶴澤津賀花さんの登場です。
竹本京之助 プロフィール
女流義太夫の太夫として、公演や講座、学校・地域向けプログラムなどに幅広く出演。物語としての義太夫節の魅力に着目したわかりやすい解説と、情景と心情を丁寧に描き出す語りで、初心者や子どもたちにも義太夫節の世界を伝えている。
古典の公演のみならず、各地の文化施設が主催する体験型イベントや普及事業にも積極的に参加し、義太夫節の継承と発展に取り組んでいる。
入鹿の館(金殿)を舞台に、恋する人を一途に追いかけてきた町娘・お三輪の狂おしいほどの嫉妬や悲劇的な運命を描いた名作、「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 金殿の段」が披露されました。
津賀花さんの力強くも繊細な三味線の音が響き渡り、続いて京之助さんの深い「語り」が重なります。
お三輪の恋心や苦悩といった感情の機微が事前に配られた詞章や相関図のおかげで、「今どんなシーンなのか」「誰のどんな感情が語られているのか」が手に取るように伝わってきました。一言ひと声に込められた凄まじい迫力と、会場全体を包み込む三味線の美しい響きに終始圧倒されっぱなし。まさに時を超えて生き続ける伝統芸能の凄みを、肌で体感する至高の時間となりました。
まとめ
落語で会場が笑いに包まれ、女義太夫でそのダイナミックな迫力に圧倒されるという、とても贅沢なイベントでした。
歴史ある伝統芸能と聞くと少し身構えてしまいがちですが、寄り添った丁寧な解説や相関図などの資料があったおかげで、当時の人々が寄席で熱狂した理由が心から理解できた気がします。こうした素晴らしい世界へと導き、今回のご縁を繋いでくださった鶴澤津賀花さんには、心より感謝申し上げます。
また、地域に息づく文化を身近に体験できる機会を提供してくださる、よこすか市民会議の活動の意義深さも改めて実感した一日でした。
皆さんもぜひ、時を超えて地域で愛され続ける伝統芸能の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
第25回伝統文化学習鑑賞会 横須賀で義太夫と落語を楽しむ会
開催日時
2026年7月12日 14:00〜16:00
開催場所
横須賀市生涯学習センター5階大学習室
住所:神奈川県横須賀市西逸見町1丁目38−11
駐車場:あり
参加費
大人2,000円 高・大学生1,000円 小・中学生無料 ※未就学児は入場不可
主催
まちづくり文化ボランティアグループよこすか市民会議(YCC)