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約3人に1人が“通院ワーカー”。医療にかかる前に「不調」をライフログデータとAIで管理する時代へ

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約3人に1人が“通院ワーカー”。医療にかかる前に「不調」をライフログデータとAIで管理する時代へ

近年、ヘルスケア市場が急成長を遂げている。くしくもコロナが後押しする形で、健康意識が向上し、体重管理や運動習慣記録のアプリが増加しているのだ。そうやって、さまざまなデバイスを介してインプットされたライフログから、自身のコンディションを可視化できるようになった。

 

食事や体重、運動習慣など自身のライフログ以外にも、気候などの外的要因が体調に影響を与えている可能性もあり、気圧や湿度、天気などの変化を知らせてくれるアプリを入れている人も少なくない。自身のコンディションが、一体何に影響されて変化しているのか、見極めが必要になる。

体調管理のヒントを得られるアプリ「you'd」は、ライフログに加えて外的要因などさまざまな情報を取得し、解析アルゴリズムが多角的に分析。体調や不調症状に加え、睡眠や体重といったその人が気にしていることに影響していそうな要因を表示するというものだ。開発したヴェルトの代表取締役・野々上仁氏に、データサイエンスがもたらす健康領域でのイノベーションについて話を聞いた。

INDEX

限られた医療資源を本当に必要な人に届けるために体調や不調に関係しそうなヒントを計算する仕組みづくり人とAIのすみ分けは? 健康をデジタルがアシストする世界へ

限られた医療資源を本当に必要な人に届けるために

スマートフォンやスマートウォッチなど、デジタルと人のタッチポイントが自然と多いデバイスには、歩数や心拍数などが自動的に記録されている。

 

「今後も増えていくヘルスデータを、そのデータの持ち主の価値に変えて行きたい」という思いから、you'dは始まった。そこで着目したのが“通院ワーカー”だった。

 

「内閣府によると約3人に1人が通院しながら働いていることが分かっています。そういった人たちが可能な限り自分の力で体調をコントロールできれば、日本も変わるのではないか。コロナのタイミングで人々の健康に関する不安や意識が高まったこともあり、医療崩壊を防ぐためにも、また、適切に医療資源を行き渡らせるためにも、医療にかかる手前のコンディショニングを目的として開発しました」(野々上氏)

 

人生100年時代、健康寿命への興味関心ニーズが高まるとともに、必要以上の危機感を抱いている人も少なくないという。こうした背景から、すでにあるヘルスデータに加え、手動で入力したライフログや、気温などの環境データなどを活かしたアプリ開発を進めていった。

体調や不調に関係しそうなヒントを計算する仕組みづくり

自動で吐き出された情報はもとより、手動で入力した情報は人によってばらつきがある。インプットする情報の種類が偏っていたり、情報の記録にムラがあったり。そのようなデータを、you’dのアルゴリズムはどのように取り扱うのだろうか。

「一般的にAIはクリーンな状態のビッグデータがあって初めて学習することができます。一方、個人のライフログやヘルスデータは、スモールデータで、欠損も多いのが通常です。ただし、ヘルスデータは時系列で連続しているものが多く、変化や傾向を捉えて分析することがしやすいと言えます。さらにクラウドにデータが貯まると、そこでは、AIが使いやすい環境になりますから、連携して処理を行えば精度が上がるという仕組みです」と野々上氏。

 

「you'dは今の気分や症状を記録する項目があるのですが、それがどの要因に紐づいているかを知るためには、さまざまな情報があった方が面白い気付きを得ることができます。ある人はお酒の種類と回数を記録していたのですが、赤ワインを飲んだ翌日が一番調子がいいことに気づいたそうです」(野々上氏)

 

また、世界で最も古くから出版されている医学辞典『MSDマニュアル』と連携しているため、継続的な不調に対して該当する症状のMSDマニュアルのページを表示する仕組みがある。

 

ある不調症状が続いた場合、ユーザーは病院に行くべきなのだろうか? 

「当社が、通院しながら働いている人を含んだ対象者にアンケート調査をした結果、最も欲しい機能として上がったのが、なんらかの症状があった際に病院に行くべきか知ることができる機能でした。

 

you'd では、MSDマニュアルとの連携で、経験している症状がどういった病気につながるのかを知ることができます。場合によっては、早めの受診で事なきを得ることもあると思いますので」(野々上氏)

 

病院に行くかどうか、行動変容を促すのには自らの納得感が必要だ。このアラートが判断材料の一つになるのだろう。いずれにしてもライフログなどのデータや不調症状の記録がないとなんらかの発見ができないのが前提としてある。まずは、関心がある項目以外にも複数の軸でライフログを継続してインプットすることが重要なようだ。

人とAIのすみ分けは? 健康をデジタルがアシストする世界へ

体調管理をする上で、AIで判断を完結できるシーンはあるのだろうか。人をアシストする使い方こそ効率的・合理的な点について、野々上氏は次のように話す。

 

「人間は、選ばなかった選択肢に対して想像することができます。例えば『煙草を吸い続けていたらどうなっていただろう』のように。そしてその理由を考えることができます。

 

動物は、本能的に大きな音がしたら危険を察知して逃げることができますが、『逃げなかったらどうなっていたのだろう』と想像することはしません。これは今のAIにも言えることで、起きていない事象に対する推定や因果関係の推論に関しては、まだまだこれからの領域です。

 

つまり、人間は想像も含めて広範囲で判断をしているということです。ですから体調管理においても、AIが完全な判断を下すわけではない」(野々上氏)

 

人間の想像力があることで、不調に関するあらゆる可能性や課題発見につながるようだ。AIも可能性は提示できるが、想定外のことまではフォローできない。ではAIの役割は一体なんだろうか。

 

「想像力とは人間が人間たる証。AIはこの想像力をアシストしていくべきだと思っています。人間が普段自覚し、処理しているデータはあまりにも大量で、そのすべてをAIにフィードすることは難しいでしょう。一方で自覚できないデータ、例えば心拍変動や血中酸素飽和度等は、ウェアラブルやAIによって初めて活用可能になっています。

 

我々は、今まで取得できなかったが、AIで扱うには未熟な領域にアプローチし、それらのデータから、個人と企業双方に、新たな価値を提供できるようyou'dのテクノロジーを活用した新たなソリューションを用意しています」(野々上氏)

 

AIが解を出せるのはある程度データがあるものに限られる。本当にその解だけで良いのか、それ以外の解はないのか。ここを模索するのがAIに課せられた新たな命題のようだ。

 

ヴェルトは、このAIの仕組みを活用してさまざまな企業とのコラボレーションに取り組んでいる。企業とyou'dの知見が合わさって起きるイノベーションにより、新たな課題発見と解決へのアプローチが提案できるようになる。AIの可能性拡大につながる手がかりは、すぐそこにありそうだ。

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