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日本屈指のシルバースミス「Larry Smith」林田吉史さんの、一生手放せないヴィンテージ。

Dig-it[ディグ・イット]

ヴィンテージという言葉が広まる以前から、そのカルチャーに没頭し、人生のほとんどを捧げてきたコレクターたちがいる。彼らが集めたアイテムは、今や“スーパーヴィンテージ”と呼ばれる価値を持つものとなった。もはや単なるコレクションではなく、文化遺産ともいえる存在だろう。ここで紹介するのは、そうした遺産を守り、未来へと継承しようとしている人々である。今回紹介するのは本場のネイティブアメリカンからも評価される日本屈指のシルバースミスでもある林田氏。氏が大切にしているヴィンテージは、多くのインスピレーションを得た米国先住民のアーカイブと、自身の創作活動に欠かせないツールが中心となっている。その朽ちることなく、今も現役で使われている道具たちは、独特な色気を放っている。

人の知恵や想いを感じるプロダクトを大切にしたい。

米国先住民の伝統的な技法を駆使し、モダンな感性で作り上げるLARRY SMITH。代表であり、シルバースミスでもある林田氏の手放せないヴィンテージは、タフなメイドインUSAのワークウエアから、ネイティブアメリカンの希少な伝統工芸品まで多種多様なラインナップだ。

「シルバースミスという仕事をする上で、劇薬や火、金属の粉から身を守るためにタフなワークウエアが欠かせません。大切なものですが、本来の用途としてハードに使うことに意味があると思っています。長く使うにはシンプルに耐久性が必要ですし、そのために当時の作り手が知恵を出し、想いを込めていたものに自然と惹かれるのかもしれません」

知恵や想いという意味では、ネイティブアメリカンのアーカイブに関しては、より強いものがあるだろう。また和物や北欧のプロダクトが入っているので、氏の視野の広さを感じる。

「ネイティブアメリカンの文化や伝統には大きな影響を受けましたし、モノ作りのヒントを多くもらっています。だが真似するのではなく、あくまでも自身の価値観や感性を入れることが、彼らの敬意を払うということなんです」

「自身の創作に欠かせない道具と文化遺産」

オレンジに染色されたウールの仕様から、大衆向けに広まった1960-’70年代のヴィンテージナバホラグだと推測。「当時のSMITHという文字織りがシンプルに良い点と現在の特注ラグプロジェクトのヒントになりました」

1930〜’40年代製の伝統的なジオメトリックデザインのラグ。染色にこだわった白人トレーダーが管理していたガナードトレーディングポストのクラゲトースタイル「本国のミュージアム関係者が大切に保管していたラグ」

ホピ族が信仰する精霊カチナの版画が施された80sのChampionのTシャツ。「個人がハンドクラフトで作ったものでしょうね。現代アーティストでも版画を得意とする先住民がいるので、取り組みを考えています」

林田氏の故郷である長崎にて、江戸時代に創業し、311年の歴史を持つ老舗の江崎べっ甲店。2020年に惜しくも閉業してしまった。「少し変化球ですが、べっ甲という希少な素材と歴史も踏まえて、手放せない」

サウスウエストスタイルと呼ばれるコンチョベルトは、1920〜’30年代のナバホ族のヴィンテージ。コインシルバー特有の鈍い光沢感もたまらない。「ベースのベルトは旧くないですが、コンチョは歴史を感じる作り」

フレッドハービースタイルのメディスンバッグは、1950年代。ショルダーにはカウントアップで当時のリバティコインを使用。「現在は収集するにも難しいコイン。当時の装飾方法がそのまま残り、文献としても興味深い」

当時のシルバースミスが知恵を絞り、労力を掛けたナバホ族ヴィンテージ。「ホールマークの入っていないヴィンテージは作家の想いに視点を巡らせることができ、製作環境を研究するには打って付けの題材です」

GEORGE SCHERR COというNYのメーカーが出していたメカニック向けのツールチェスト。1949年のカタログに掲載されている。「トランクショーを開催する際に、ジュエリーボックスとして活用しています」

渋谷にあったアメリカン衣料の名店であるバックドロップに飾られていた雑誌LIFEの実物。業界人が大きな影響を受けた。「縁があって譲ってもらったもの。大切に飾っており、当時の状態を保っています」

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