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井上芳雄「許される限りやり続けたい」~ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』が開幕へ

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(左から)上白石萌音、井上芳雄、坂本真綾

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』が2025年12月12日(金)から東京・日比谷シアタークリエで上演される。
2012年の初演以来、13年、14年、17年、20年、22年と再演を重ねてきた本作は、知的で紳士だけれど一風変わった若き慈善家のジャーヴィス・ペンドルトンと、孤児でありながら溌剌として聡明なジルーシャ・アボットとの心温まる恋の物語。今回は、初演よりジャーヴィスを演じる井上芳雄と、ジルーシャ役は初演から同役を演じてきた坂本真綾、2022年より参加の上白石萌音のWキャストで上演される。
初日を前に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)と初日前会見の様子を写真と共にお伝えする(この記事では、ジルーシャ役は上白石萌音)。

上白石萌音

井上芳雄

坂本真綾

ーー初日を迎えるにあたっての、今のお気持ちや気持ちの高まりなどを教えてください。
井上芳雄(以下、井上):大好きな作品なので、もうとにかくいつでもやれるのは嬉しいですし、今回はジルーシャが2人いますので、まあ、豪華というか贅沢というか、申し訳ないなという気持ちでやっています。
坂本真綾(以下、坂本):私にとってはちょっと久しぶりで5年ぶり。初演のときのような、本当に新しい気持ちで向き合えていて、すごく刺激がいっぱいで楽しい稽古時間を過ごしてきました。萌音ちゃんと一緒にステージに立つことができないのが、Wキャストとしては本当に残念なんですが……本当に心の友がもう一人増えて、心強い気持ちでいっぱいです。
上白石萌音(以下、上白石):今のお言葉を聞いて、幸せな気持ちでいっぱいでして。 私はお二人がずっと守ってこられたこの作品の大ファン。なので、開幕するということがいちファンとして本当に嬉しいですし、真綾さんのジルーシャにお客様が会われるのは久しぶりだと思うので、それもすごく興奮しますし、私もしっかりこの素晴らしい作品を、素晴らしいキャラクターのままで届けるように頑張ろうと思っているところです。
ーーこの作品は二人の登場人物しかいませんし、しかも出ずっぱりですね。
井上:年々集中力が切れてきて、大変なことをやっていたんだなと思うんですけど(笑)、でも最後に至る喜びがますます回を重ねるごとに増していくので、幸せな作品だなと思ってやっています。

初日前会見の様子

ーー坂本さんは5年ぶりということですけれども、どうですか?
坂本:初演が10年以上前で、ずっとやってきたし、「関係ないよ」と言ってくださる人もいるんですけれども、やっぱり年齢を重ねましたので、「18歳に見えるかな」とか、そういう不安があります(笑)。でもそれはさておき! 今も自分にしかできないものもあると信じて頑張っています。
井上:いや、(坂本さんは)変わらないなと思って! なんか不思議な薬でも飲んでる? と思うぐらい(笑)。でもやっぱ深みというかね、同年代なので。同年代でやる喜びがありますし、一方で萌音ちゃんとはまた設定に近い関係性でやる喜びがあるので、どちらも全然違う喜びがありますね。
ーー上白石さんは坂本さんの大ファンということですが、一緒にお稽古されていていかがでした?
上白石:本当にやっぱり日々真綾さんはたくさん考えていらっしゃる。その場の心に任せて生み出されるものが本当に魅力的で、もうすぐ真似したくなってしまうのを堪えるのが大変でした。 なんとか私も自分のやり方を探してやらなきゃ……という中で、本当は全部全部真似したいです(笑)。それくらい魅力的で、本当に大好きなジルージャを目の当たりにできて、本当に幸せです。たくさん勉強させていただきました!

初日前会見の様子

ーー毎日愛を伝えているそうですね?
上白石:はい。「戻ってきてくださって、ありがとうございます」というのを毎日、全国のファンの皆さんの声を代弁していました(笑)。
坂本:5年ぶりでただでさえ不安な中で、稽古で私の出番が終わって帰ってくると、「素敵でした」みたいな。仕事していて褒めてもらえるって、あんまりないじゃないですか。
井上:確かに。しかも仲間うちにね。
坂本:そう! だから心の支えでした。本当に萌音ちゃんがいなかったら、もうステージに立てないぐらい! 本当に感謝しています。
ーー再演を繰り返している作品ですが、井上さんは今回また新たに何か発見したことや感じたことはありますか?
井上:そうですね、(演出の)ジョン(・ケアード)は毎回変えるので、その都度新しい気持ちでやっていますが……「チャリティ」という歌を歌うんですけど、誰かを助けるということはどういうことなのか、毎回すごく考える。 今回も、今の自分の年齢で考える、助ける/助けられる、与える/与えられるということをすごく身に染みて感じていますね。

上白石萌音

井上芳雄

坂本真綾

ーー作品が再演されること、そしてまた役をご自身が演じることができるというのは、どんな心境なのでしょうか?
井上:役や作品は自分のものではないと思っているんですけど、この作品に関しては、許される限りやりたいなと思うくらい、大好き。まあ、2人とも同じ気持ちかなと思います。
坂本:改めてこの作品の素晴らしさ、役者にとってこの作品と巡りあえた幸運を感じます。本当にラッキーだったなとありがたく思う日々です。 と同時に、この幸福感をより多くの素晴らしい俳優の人たちに味わってほしいという気持ちもあったりして……自分たちで独り占めしていいんでしょうか?
井上:いや~! でも、できる限りは!(笑)
坂本:この作品に巡りあえた幸運を本当に感謝しています。
上白石:私は可能な限り見続けたい作品……!
井上:いや、出てるし(笑)。
上白石:必要なときに呼んでいただけたら、いつでもやれます! と言える状態にしておきたいと思っています。
ーーこの作品では「手紙」がキーワードですが、皆さんは最近どなたかに手紙は書かれましたか?
井上:子どもの担任の先生に息子のことを書きました。 ちょっと怪我をしていたので、怪我の様子とご迷惑おかけしてます、と。手紙で知らせなきゃいけないっていうシステムで……(笑)。
坂本:最近は芳雄さんにはお伝えしてなかったんですけど、ちょっと萌音ちゃんと交換日記を始めました。
井上:ええ! 蚊帳の外!(笑)
坂本:本番が始まると、(Wキャストだと)なかなか会えなくなるので。同じ役を演じる仲間として一言伝えたりしてます。
上白石:もうそれを読むのが日々の楽しみです。持って帰りたいぐらい!

(左から)上白石萌音、井上芳雄、坂本真綾

ーー手紙にまつわることで何か思い出深いエピソードがあったらお伺いしたいです。
上白石:自分には文通している友達がいて。たまになんですけど。もちろんメールなどでも繋がっているんですけど、たまに伝えたいことがパッと溜まったときに5、6枚手紙を書いて、切手を貼って、投函することをやっている友達がいます。
ーーやはりそれはデジタルと手書きで違いはありますか?
上白石:あります。 なんか不思議と手紙で書いていることと、メッセージでやり取りすることは全く別なんです。手紙のことにメッセージで触れたりしないんですよ。 全部すみ分けている。 (手紙は)より本音を書いたり、長さを気にせず書き殴ったり、自分のために書くみたいな側面もあって……すごく豊かな時間です。
坂本:私は今3歳の子どもがいるんですけれども、将来子どもが大きくなったときに読んでほしいなと思って、手紙を書いてためてあります。思いついたときに、年に何回か。「こういうことがあったよ」とか、「こういうことができなかったのごめんね」とか、なんかいろいろと書いてるんですよ。
ーー最後に観客の皆さんへメッセージをお願いします。
井上:とにかく一人でも多くの方に見ていただきたい作品なので、心を込めて私は毎回お届けします。 今回は3人で届けられることをとても嬉しく思っておりますので、ぜひ楽しみにして劇場にお越しください。

▼ゲネプロレポート


ゲネプロ(ジルージャ・アボット役は上白石萌音)を観た。

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

孤児院に暮らす18歳の少女ジルーシャ・アボットは、ある夜、「大学への進学と勉学を保証する」という思いもよらない手紙を受け取る。条件は月に一度手紙を書くこと。手紙の送り主は、その夜に見た車のヘッドライトに照らされる足長蜘蛛“ダディ・ロング・レッグズ”のような影。影でしか見たことのない相手だが、ジルーシャは心を躍らせ、手紙を送り続けた。影の正体であるジャーヴィス・ペンドルトンもまた、知性ある手紙を送ってくれる彼女に惹かれていく。そして、ついにジャーヴィスは、影の正体であることを隠して、ジルージャの前に現れて——というストーリー。

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

舞台上には、上手と下手に大きな窓が二つ。そして中央奥には蔵書がずらりと並ぶ本棚と机がある書斎。トランクなど小道具の活用はあれど、大きな舞台転換はない。物語もほぼジルーシャが“ダディ・ロング・レッグズ”に宛てた手紙の内容だけで進んでいく。

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

たった2人の俳優がおよそ2時間40分(途中休憩あり)にわたって物語を紡ぐ。そのシンプルさゆえに、観客はジルーシャやジャーヴィスの言葉や感情の揺れに集中できるし、まるで自身が手紙を受け取ったかのように、想像力を刺激されるのだろう。全体的にリプライズがよく効いた楽曲は、美しく耳心地が良いものばかり。大人数で合唱的に歌ったり踊ったりする大ナンバーも豪華でいいが、旋律と俳優同士の阿吽の呼吸を味わえるシンプルなナンバーをこれまた高い歌唱力で聴く贅沢さがある。

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

井上芳雄のジャーヴィスと上白石萌音のジルーシャ。会見の中で井上本人が話していたように、設定に近い年齢差の2人。その年齢差がいい意味で物語にリアリティを生み出した。井上のジャーヴィスは初演時からハマり役だったが、より円熟味が出てきたように感じる。最初はジルーシャの手紙を“大人の楽しみ”として読んでいたのに、気がつけば嫉妬したり、彼女を操りたいと思ったりと心乱される様は何とも滑稽で、可愛いらしい。上白石のジルージャは、まさに等身大のジルージャといった感じで、孤児院にいた彼女が学びを深め、少女から大人へと変わっていく様は非常にナチュラル。もともと本作の大ファンだったという上白石だが、上白石にしかできないジルージャ像を見つけてきたのではないだろうか。

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』ゲネプロより

東京公演は2026年1月2日(金)まで。ぜひお見逃しなく!

取材・文・撮影=五月女菜穂

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