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地に足ついたキャラクターたちの“半歩先”を描く。小林彩監督&白石プロデューサーが明かす、河原節をアニメに落とし込んだ『太陽よりも眩しい星』の映像作り【インタビュー】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『高校デビュー』『先生!』『俺物語!!(作画:アルコ)』などで知られる河原和音先生の最新作『太陽よりも眩しい星』がTVアニメ化! 2025年10月2日よりTBSにて放送開始です。

平均より少し頑丈な女の子・岩田朔英は、小学生の頃に恋した男の子・神城光輝が爽やかイケメンに成長したことで徐々に遠い存在と感じてしまいますが、とある出来事をきっかけに押さえ込んでいた恋心が再び動き出す。そして高校進学を機に、2人の距離は縮まっていき…。

アニメイトタイムズでは、本作を手掛ける小林彩監督、白石プロデューサーにインタビュー! アニメ化にあたっての河原先生からのオーダーやキャスティング、映像作りなど、作品に関わる裏話を伺いました。

 

 

【写真】小林彩監督&白石プロデューサーが語る『たまほし』の映像作り【インタビュー】

『たまほし』でも河原節は健在

──原作をご覧になった感想をお聞かせください。

小林:監督のオファーをいただいたタイミングで読みました。もともと河原先生の作品が好きで、『高校デビュー』は高校生の時に流行っていましたし、そのあと連載されていた『素敵な彼氏』は監督依頼される前から大好きで個人的に買わせて頂いてました。

そんな中、『太陽よりも眩しい星』を読んだら、初めて好きになった子を今でも好きという王道少女漫画で、河原先生はこういった作品も描くのかと驚きました。でも河原節と言いますか、キャラクターが地に足ついていて共感できるんですよね。「流石だな」と思いました。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──朔英が良い子だから、応援したくなる人が多いのではないかと思いました。

小林:そうですね。でも、作る側として見ると普通の女の子を主人公にしなくてはいけないんですよ。その反面、どこにでもいそうな子だからこそ、上手くマッチしたら多くの共感を得られるだろうなとも思っていました。

この作品で描かれるのはありふれた日々のドラマではありますが、ヒロインにとってはかけがえのない思い出とそれに対する想いが大事で、現状から一歩踏み出す物語であるととらえました。演出として、それを昇華させることができれば上手くハマるんじゃないかと考えました。

──白石さんは原作をご覧になっていかがでしたか?

白石:私も河原先生の作品は以前から存じ上げていて。監督もおっしゃっているように、幼馴染との恋愛は割とスタンダードであるものの、この作品はハラハラする展開がいい塩梅で散りばめられているんですよね。

あとは朔英ちゃんが魅力的だなと。彼女がいい子だからこそ周りの人が協力して、そこから友情が育まれていって。実は自発的なところもあって、その姿に周りの人は刺激を受けて、助けたいという思いが芽生えるのではないでしょうか。

──諦めかけていた神城のことを再び追いかける芯の強さがありますね。

白石:神城に対して独りよがりじゃないところも素敵だと感じました。朔英ちゃんはまだ10代ですから、自分の好きな気持ちを押し付けてもおかしくないのに、ちゃんと相手のことを思いやっていて。そういった面も応援したくなる魅力のひとつなんじゃないかなと思います。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──アニメ化にあたっての決め手はどこにありましたか?

白石:恋愛以外にも友情がしっかりと描かれていて、キャラクターたちの個性が立っているところです。これは群像劇として見せられるのではないかと考え、そこから集英社さんに提案させていただきました。そしてアニメ化の許諾をいただき、アニメ制作のスタジオKAIさんにお話させていただいたという経緯です。

アニメ化が決まった後はスタッフたちと河原先生のもとに伺ってご挨拶もしました。そのおかげもあって、スタッフ同士のコミュニケーションや立ち上がりに関わる部分はスムーズに進んだと思います。

──河原先生からオーダーなどはありましたか?

白石:アニメにはアニメのクリエイティブの大変さがあることも理解してくださっていて。だからこそ、基本的にお任せいただきましたし、原作内のあるシーンのキャラクターの心情を伺った際は丁寧に教えていただきました。

──監督はオファーを受けた際、どんなことを考えましたか?

小林:演出家として、監督業は目指すところのひとつだったので、ぜひ挑戦してみたいなと。自分なりにこの作品の良さを作品に昇華できる手ごたえがあったので、その気持ちも引き受けた要因のひとつです。

 

尺を食うのは朔英ちゃんが朔英ちゃんたる所以!?

──制作にあたってのテーマやコンセプトをお聞かせください。

小林:この作品は朔英ちゃんが“なにを考えて、どう見て、行動するのか”が丁寧に描写されているので、それを鮮明に映すとともに、神城くんとの思い出が如何にかけがえのないものなのかを演出していくことがテーマでした。特に、朔英ちゃんにとって大事な回想シーンは特別な撮影フィルターを使って、ほかの作品とは一味違うテイストになるように表現しています。

白石:すごく映像にこだわってくださいました。モノローグや回想シーンはお芝居や音楽だけではなく、映像でもわかりやすく表現されていて、より作品の解像度が上がっています。

私としては、この作品は嫌なキャラクターがいないし、ハラハラする展開はあるもののノンストレスで読めるので、アニメでもその雰囲気を大事にしたいなと考えました。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──実際にキャラクターを動かしてみていかがでしたか?

小林:誤解を招く言い方になるかもしれませんが、朔英ちゃんは尺を食うんですよ……(笑)。例えば、なにかを言われて考える、そしてなにを発言するのか考える、みたいに。

──間が長くなって全体のテンポ感に影響しそうですね。

小林:でも、これは朔英ちゃんが朔英ちゃんたる所以だから変えられないんです。一方で、視聴者に飽きられないための工夫も必要だと考え、その結果、朔英ちゃんの周辺をコンパクトにすることに注力しました。

中でも、場面転換はワイプを使って、すぐに教室から外に移り変わるようにしたり映像のセオリー的には、場面転換する時にどこにいるのかちゃんと映すんですけど、今回は様々な段取りを省いてすぐに次の展開に移ることを意識しました。

──神城は動かしてみてどうでしたか?

小林:実は私、神城くんを理解するために丸々12話を使った気がしていて。というのも、原作の構成的に神城くんはなにを考えているのか分かりにくいようになっています。シナリオ会議では私だけが彼を理解できていない感じがして、皆さんに沢山助けてもらった記憶があります(笑)

──王道の王子様に見えるけど、アニメキャラクターとしては扱いが難しかったと。

白石:王子じゃないですよね(笑)。

小林:結論、そうなりました(笑)。見る方にとってミステリアスな人物にすることで話を引っ張ってもらわないといけないんですけど、それこそ白石さんがおっしゃったように、キャラクターたちはいい子に見せたいので、そのバランス調整が難しかったです。

──ほかのキャラクターたちも、朔英や神城に負けないくらいの個性派が揃っています。

小林:朔英ちゃんを取り巻く女の子は“よく喋って明るい子”として翡翠ちゃん、と“ちょっと変わってるけど芯がある子”ということで香川さん。二人とも朔英ちゃんとは違う面を持っている子なので、朔英ちゃんが停滞している時に所々で良いアクセントになってくれました。アニメならではという点では、3人が仲良くなる過程は原作よりもっと段階を踏んでいて、第2話から第4話くらいにその要素を詰めているので、よりキャラクターの理解が深まると思います。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──原作を忠実に再現しつつ、そういった場面でオリジナル要素を加えているのですね。

小林:そうですね。過程を踏むことでより多くの共感が得られると思います。あとは、構成的に原作通りにはいかないところもあったので、そこは別の場面で補完したり、足したりして補っています。

──制作にあたって印象的な出来事はありますか?

白石:原作以上にコメディの比重を増やしていることが印象深いです。これによって映像のテンポのバランスがよくなり、男女関係なく楽しめる作りになったんじゃないかなと。アフレコ中もスタッフとキャストから笑いが起こっていたので、私としてもいい作品になったと感じました。

──ギャグシーンはキャラクターが猫目になったりと特徴がありますね。

小林:そうですね。ギャグ絵は原作の時点ですごくかわいいので、そのまま猫っぽく描いています。ただ、なかなか原作に近しいデザインが仕上がらず、そのたびにアニメーターさんたちを誘導するのは大変でした。

その他に大変だったのは構成ですね。先ほどもお話しましたが、今回は朔英ちゃんの身に起こる出来事を全て詰め込もうとしたんですけど、やってみると思った以上に大変で。基本的にお任せいただいたのですが、河原先生は1話目だけは原作通りを希望されていたので、時にはオープニングを削ったり、それでもダメな時はアイキャッチや予告に詰め込むなりして対応しました。

 

 

主役のやりやすさを重視したキャスティング

──キャストについても伺えればと思います。朔英役の藤寺美徳さんは当時高校生でしたが、キャスティングにはどんな思いがあったのでしょうか?

小林:オーディションは不安もあったんですけど、藤寺さんは作り込みがすごく、一言目からぞわぞわしたことを覚えています。オーディションまでに自分なりに朔英ちゃんを解釈してきたことがすごく伝わってきて、この子しかないと確信しました。

白石:私もスタジオオーディションを鮮明に覚えています。当時の藤寺さんは高校生だったんですけど、誰よりも演技に芯があり、度胸もあったんですよね。緊張はしていたと思うんですけど、それを感じさせず、スタッフ一同、満場一致で藤寺さんに決めました。

でも、最初は大変だったと思います。この作品はほとんど朔英ちゃんが喋りますし、モノローグも非常に多く、藤寺さんも苦労しただろうなと。だからセリフとモノローグは別で録ったりと、こちら側でも工夫していたりします。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──藤寺さんにインタビューした際、モノローグには苦労したとお話していました。

白石:子供の頃も、高校生の頃も、全部ひとりで演じていますからね。声のトーンだけではなく、その時の成長度合いに応じた心情を反映させないといけないので尚更大変です。

──演じるにあたって監督からどんなディレクションを?

小林:最初は自分の人生を俯瞰した感じで演じてほしいと伝えました。ただ、朔英ちゃんが再び走り出す過程を描いた作品なので、俯瞰しすぎもよくないんですよね。そこは都度、吉田音響監督と白石プロデューサーと相談しながら進めていきました。

──密にディレクションしていたのですね。

小林:第1話で掴んでからはそこまで時間が掛からなかったです。まだ経験が少ないということだったので、アフレコ時間を早めに設定して、トコトン藤寺さんがやりきるまで付き合う気持ちでいたんですけど、それも最初だけで…。彼女は世話を焼く前に巣立っていきました(笑)。

──(笑)。神城光輝役の小野友樹さんについてはいかがでしょうか?

白石:一言で言うなら、意外性でしょうか。小野さんはがむしゃらな男子とか大人の男性役のイメージだったんですけど、小野さんの神城は少年と青年が上手く混ざっていたんですね。少し身勝手さがある男子高校生感も自然で、オーディションでは逆にびっくりしました。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──小野さんもあまり演じないタイプだとお話されていました。

白石:当初は藤寺さんと同じくらいの年代の方を考えていたんですけど、そこは気にせずにお芝居で選ばせていただきました。逆に、藤寺さんが新人だからこそ周りは安定のキャストで固めようと。藤寺さんが先輩たちに導いてもらえたらいいなという思惑もありました。

小林:白石さんもおっしゃっているように、経験の少ない藤寺さんに対応できる方として選ばせていただきました。オーダーとしては神城の年齢感があまり高くならないようにとお伝えています。

──そんな藤寺さんを軸としたアフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?

小林:やはり主役のやりやすさを重視していたので、みなさんのおかげで上手くハマりました。

 

地に足ついたキャラクターたちの“半歩先”の日常を構成する

──お気に入りのキャラクターをお聞かせください。

小林:井沢(優心)は変化球を投げたり、話を締めてくれる存在なのでお気に入りです。話を締めてくれる存在としては香川(美織)さんも重宝しました。本編をご覧いただければ、このふたりのシーンは結構遊んでいることがわかるんじゃないかなと思います(笑)。

白石:私は原作を読んだ時から鮎川(陽太)がお気に入りです。応援したくなるんですよね。

──鮎川はミステリアスですが、知れば知るほど魅力が増すキャラクターですね。

白石:そうですね。最初はミステリアスに見えますが、実は淡々といいことを言っているんですよ。

小林:たしかに。アニメの鮎川くんは序盤から出番を増やして、ちょっとでも印象に残るように調整していたりします。

白石:そこはアニメ化の段階で気にしていたところですね。言葉数が少ないキャラクターなので、気づいたら喋っていないことが多々あったので、少し扱いに気を付けました(笑)。

 

(C)河原和音/集英社・「太陽よりも眩しい星」製作委員会

 

──改めて本作の見どころをお聞かせください。

小林:河原先生にご挨拶した時、アニメ化にあたって気にしているポイントを伺ったら“日常のあるある”を大事しているとお話されていて。つまり、(映像化においては)地に足ついたキャラクターたちの“半歩先”の日常を構成していくことが大事だと私は受け取りました。

アニメではそういった河原先生が大事にしていることを重視しつつ、漫画にはない彩りや音を加えて、小林なりの解釈を表現しています。アニメを見て、原作を読んで、と2倍楽しめる作品になったのではないでしょうか。

白石:シリアスなシーンはシリアスで見どころがあるんですけど、コメディは原作から、さらにパワーアップしているんですよね。そのおかげで男女、年代問わずに見やすくなっているんじゃないかなと。

あとは、朔英ちゃんがときめくシーンの演出にも注目していただきたいです。漫画からアニメにする時、通常なら線を減らしたりするんですけど、この作品はその流れに逆行していて。作画はもちろん、撮影など、小林監督をはじめとしたスタッフ陣が頑張ってときめくシーンに仕上げてくださいました。

──監督は映像から芝居まで、作品に付きっきりですね。

小林:そうですね。監督をやるとたくさん苦労があります(笑)。

──最後に、放送を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

小林:原作にある朔英ちゃんの魅力を全部取り入れようとした結果、収まりきらずに苦労しましたが、様々な手段を使って詰め込んでいます。本編が終わった後の提供画面まで見ていただけると幸いです。

白石:今回、映像はもちろん、音楽にもこだわりが詰まっています。オープニングの秦基博さん、エンディングの和ぬかさんは、おふたりとも原作を読み込んで曲を作ってくださいました。映像や歌詞との一体感をぜひ確かめてほしいです。

 
[インタビュー/MoA]

 

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