【大江戸散歩コース】皇居周辺〜諸国の有力大名が集まった江戸城の周辺部を歩く〜
大河ドラマの影響か、今にわかに注目を浴びている江戸時代。その江戸期の古地図(切絵図)を見ながらの東京散歩がとても面白いことをご存じだろうか? 今回は、慶応元年(1865)の「御曲輪内大名小路絵図」を手に歩く皇居周辺の散歩コースを紹介。タイムスリップを楽しむ特別な散歩体験を!
評定所及び伝奏屋屋敷跡(ひょうでんじょおよびでんそうやしきあと)
【皇居周辺の切絵図】
御曲輪内大名小路絵図
江戸城は太田道灌(どうかん)により長禄元年(1457)に築城。徳川家康が入府して以降も拡大整備され、徳川3代将軍家光の治世に完成したといわれる。江戸城を囲む濠の内側を内曲輪内といい、その中心にある御城内は記載に差し障りがあるため、切絵図には描かれていない。この一部が現在の皇居東御苑であり、同心番所や富士見櫓などが往時を偲ばせる。
江戸城東側は徳川家の家臣であった諸国大名の上屋敷が立ち並ぶ区域であった。千鳥ヶ淵近くに徳川御三卿の田安家、大手門には酒井家、この切絵図にはないが桜田門には徳川四天王に数えられた井伊家など精鋭の家臣を集め、その重要性がわかる。現在は大手企業が集まるビジネスの重要拠点だ。
※掲載の古地図は、江戸の町を32区画に分割して作った切絵図を使用。すべて、麹町にあった金鱗堂が出版したもので、屋号である尾張屋清七から「尾張屋板(版)」と呼ばれる。鮮やかな多色刷りが特徴。
※切絵図内の白色の部分は【大名屋敷などの武家地・御用地】、赤色は【神社仏閣】、灰色は【町屋】、黄色は【道】、青色は【海・川・池】、緑色は【山林・土手・馬場・田畑など】を示している。
【散歩コース】
スタート:桜田門駅は地下鉄有楽町線で有楽町駅から4分・180円、池袋駅から15分・210円。
地下鉄有楽町線桜田門駅→(2分/0.1㎞)→桜田門→(24分/1.6㎞)→同心番所→(徒歩すぐ)→百人番所→(5分/0.3㎞)→二の丸庭園→(11分/0.7㎞)→松の大廊下跡→(6分/0.4㎞)→天守台→(4分/0.3㎞)→北桔橋門→(6分/0.4㎞)→北の丸公園→(21分/1.4㎞)→将軍塚→(10分/0.7㎞)→評定所及び伝奏屋敷跡→(2分/0.1㎞)→JR・地下鉄東京駅
ゴール:東京駅からJR中央線快速で新宿駅まで14分・210円、JR山手線で上野駅まで7分・170円、渋谷駅まで26分・210円。
今回のコース◆約6.0㎞/約1時間30分/約8000歩
江戸城西の丸を守る城門「桜田門」
正式には外桜田門といい、防御性の高い外枡形という構造。現存するのは関東大震災後に再建されたもので、国の重要文化財に指定される。井伊直弼が水戸藩脱藩藩士により暗殺された「桜田門外の変」はこの近くで起きた。
「桜田門」詳細
桜田門(さくらだもん)
住所:東京都千代田区皇居外苑1-1/アクセス:地下鉄有楽町線桜田門駅から徒歩3分
大手三の門を警固した「同心番所」
園内に3カ所残る番所(警備詰所)のひとつ。江戸時代は大手三の門(現三の丸尚蔵館)より外にあり、江戸幕府の下級役人である同心が詰めて登城者の監視を行っていた。菊の御紋や葵の紋が記される瓦もある。
「同心番所」詳細
同心番所(どうしんばんしょ)
住所:千代田区千代田1-1/営業時間:9:00~16:30(季節によって異なる)/定休日:月・金(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄東西線竹橋駅から徒歩10分
幕府が編成した鉄砲隊の詰所「百人番所」
江戸城本丸への道を守るために設けられた。甲賀組、伊賀組、根来(ねごろ)組、二十五騎組という4組の鉄砲百人組が、昼夜交代で詰めていた。各組は20人の与力と100人の同心で構成されていたという。
「百人番所」詳細
百人番所(ひゃくにんばんしょ)
住所:千代田区千代田1-1/営業時間:9:00~16:30(季節によって異なる)/定休日:月・金(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄大手町駅から徒歩7分
6月のハナショウブが美しい「二の丸庭園」
徳川3代将軍家光の命により、小堀遠州が造ったという庭園があった。現在の庭園は、1964年に、9代将軍家重の頃の回遊式庭園を基に復元。
「二の丸庭園」詳細
二の丸庭園(にのまるていえん)
住所:千代田区千代田1-1/営業時間:9:00~16:30(季節によって異なる)/定休日:月・金(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄大手町駅から徒歩11分
『忠臣蔵』はここから始まった「松の大廊下跡」
本丸の大広間と将軍の対面所を結ぶ廊下があった場所。浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が吉良上野介(きらこうずけのすけ)に斬りつけた刃傷事件が起きたところとして知られる。
「松の大廊下跡」詳細
松の大廊下跡(まつのだいろうかあと)
住所:千代田区千代田1-1/営業時間:9:00~16:30(季節によって異なる)/定休日:月・金(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄大手町駅から徒歩13分
金の鯱が象徴の五層の天守閣跡「天守台」
万治2年(1659)に築かれた天守台。家康入城以降、三度天守が建てられたが、明暦の大火により焼失。再建されることのないまま、天守台だけが残った。
「天守台」詳細
天守台(てんしゅだい)
住所:千代田区千代田1-1/営業時間:9:00~16:30(季節によって異なる)/定休日:月・金(祝の場合は翌)/アクセス:地下鉄東西線竹橋駅から徒歩7分
本丸裏手を守る仕掛けのあった門「北桔橋門(きたはねばしもん)」
皇居東御苑北側の内濠に架かる橋のひとつで、太田道灌の時代にはこの付近が城の正面であったといわれる。江戸時代には、有事に備えて橋が跳ね上がる仕組みになっていたという。現在は冠木門と橋だけが残る。
「北桔橋門」詳細
北桔橋門(きたはねばしもん)
住所:千代田区千代田1-1/営業時間:見学自由/アクセス:地下鉄東西線竹橋駅から徒歩6分
四季の草花が咲く自然豊かな公園「北の丸公園」
江戸城北の丸があった場所。明治時代以降は旧日本陸軍の宿舎が建てられ、戦後に森林公園として整備された。田安門や清水門は国指定重要文化財となっている。
「北の丸公園」詳細
北の丸公園
住所:東京都千代田区北の丸公園1-1/営業時間:入園自由(22:00消灯)/アクセス:地下鉄東西線竹橋駅から徒歩5分
東京随一のパワースポット「将門塚(まさかどづか)」
神田明神の祭神であり、平安時代中期の豪族・平将門の首を供養する。かつては酒井雅楽頭の上屋敷があり、歌舞伎『先代萩』で知られる伊達騒動で伊達安芸と原田甲斐が殺害された場所でもある。
「将門塚」詳細
将門塚(まさかどづか)
住所:千代田区大手町1-2-1/営業時間:見学自由/アクセス:地下鉄大手町駅から徒歩2分
勅使・院使の接待の場であった「評定所及び伝奏屋屋敷跡」
老中や勘定奉行などが集まり重要事項を裁決した評定所であり、朝廷の勅使・院使などが江戸に出向いた際に宿泊施設として使用した伝奏屋敷があった。赤穂藩3代藩主浅野内匠頭もここに務めていたという。
「評定所及び伝奏屋屋敷跡」詳細
評定所及び伝奏屋屋敷跡(ひょうでんじょおよびでんそうやしきあと)
住所:千代田区丸の内1-4/営業時間:見学自由/アクセス:JR・地下鉄東京駅から徒歩2分
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『古地図であるく 大江戸散歩地図』より