政治資金規正法の改正案。「全部ダメ」も現実的ではない?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティーを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、6月10日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が登場、政治資金規正法の改正案について語った。
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「振り返るとまず衆議院での審議時間はわずか13時間ということで、リクルート事件を受けた30年前の政治改革のときと比べると7分の1となっています。参議院でも同じぐらいの審議時間と見込まれている、という記事もあります」
角谷浩一「誰が見込んでいるんだ(笑)」
鈴木「6月19日前後、可決成立か、という記事も見られます。中身は『検討』が多数で、政治団体献金の禁止を盛り込まず、政策活動費も廃止せず、10年後の領収書公開……。政治資金パーティー券購入者の公開基準額は結局、『20万円を超える』から『5万円を超える』に引き下げたものの、第三者機関設置は、具体的には『今後検討』となっています」
角谷「いま参議院で審議中だからザル法というのは失礼だけど、国民から見れば少なくとも衆議院でまとまったものはお話にならない、という感じがすると思うんですね。そもそもなんで今年になったのか、原因究明はどこに行ったのか」
長野智子「はい」
角谷「何に裏金が使われているのか。言えるもの、言えないものはあるかもしれない。でも言わなきゃいけないものもあるんじゃないですか、ということ。やっぱりどこが原始なのかと。『いやいや、パーティーで集めた金だから何に使おうが勝手だ』というのが通るんだったら、それは政治家の特権ではなく、『政治』という名の特権になる。私たちだって何に使ったと言いたくない、何に使うか隠したい、へそくりはとっておきたいと思うけど……そんなことを我が国の国税庁が許してくれますか、ということじゃないですか」
長野「本当ですよ。現状、審議されていることだって、なんでもできますよね」
角谷「だからどうしてもザルになってしまうんですね。参議院はそう簡単にいかないぞ、という態度で臨むでしょうけど、少し延長の議論をせざるを得ないんじゃないかと思っています。申し訳ないけど原因は立憲民主党にあるんですよ。立憲民主党は『全部ダメ』という厳しいハードルの改正案を出しました。全部ダメ、は一見格好いいけど現実的ではない」
長野「現実的ではない。どうしてですか?」
角谷「かかるものもダメですよ、ということ。全部廃止する、または全部オープンにする、というふうに立憲は言いました。『できれば結構ですよ』と。でもその間にも、やめるって言っているのに幹部がパーティーするとか。立憲の小沢一郎さんに言わせれば『警察が来るまで泥棒し続けていいのか』と。少なくとも『やめます』と党が機関決定したのなら、いまからでも私たちは実践します、というのが普通だろうと」
長野「本当ですよ」
角谷「もっと言うとオープンかつ政治のお金を透明化するというなら、立憲民主党が先に自分たちから透明化すればいいじゃないですか。自分たちの収支を自分たちのホームページにでも上げればいい。私はこうしています、これだけかかっています……。相手があるので言えないということでも、これだけかかっています、と数字だけ出せばいい。それには何か政治的なことがあったんだな、というぐらいまでは出せばいいじゃないですか」
長野「だから、どうせ通らないと思っているからいちばん厳しいものを出しているんだろう、と言われてしまう」
角谷「ある意味で与党に逆手にとられて、満を持して自民党に責められたと思っているんです。幹部がパーティーやるのはいいんですか、あなたたちは『やめる』って言っているじゃないですかといって、立憲は大揺れに。岡田(克也)さんは直前にパーティーを中止して。でもお金がかかるのは仕方ない、みたいなことを岡田さんも言う。じゃあやめるというのはおかしいでしょう。ハードルを上げすぎてグズグズになって、格好のいいことだけでは政治はできない、ということをある意味、自民党の証拠に使われてしまった」