猫に『鼻くそ』ができる3つの原因 体に異常があるサイン?対処法まで解説
猫の鼻くそは「自然な防御反応」のひとつ
猫の鼻にできる「鼻くそ」は、基本的には体を守るための自然な反応です。
空気中のホコリや花粉、細菌などが鼻に入ったとき、粘膜がそれらをキャッチして固まることで生まれます。つまり、通常の鼻くそは健康な証でもあります。
人と同じように、猫の鼻も「フィルター」のような役割を果たしています。
たとえば窓を開けて外の空気を吸うと、見えない小さなチリが入ってきますが、そのチリをキャッチしているのが鼻の粘膜で、時間が経つと乾燥して黒っぽいかたまりに変わるのです。だから少量の鼻くそなら、基本的には心配いりません。
猫に『鼻くそ』ができる原因は?
1.空気の乾燥やホコリ
鼻くそが増える一番多い理由は「乾燥した空気」や「ホコリっぽい環境」です。
エアコンをよく使う冬や夏は、部屋の湿度が下がりやすく、鼻の中がカサカサになります。
乾いた空気は粘膜を刺激しやすく、鼻水が蒸発して固まることで鼻くそができやすくなるのです。
また、掃除の回数が少ない部屋や、砂ぼこりの多いトイレ環境も原因になります。
とくに猫砂を入れ替えるときに舞い上がる粉が、知らず知らずのうちに鼻に入り込むことも多いです。
対策としては、加湿器で湿度を40〜60%に保つことや、空気清浄機を使うのがおすすめです。猫の生活スペースを常に清潔にしておくことで、鼻くその量をぐっと減らすことができます。
2.鼻炎やアレルギーの可能性
鼻くそが頻繁に出る、または片方の鼻だけにたまるような場合は、鼻炎やアレルギーが隠れていることもあります。
鼻炎はウイルス感染や細菌感染で起こりやすく、風邪をひいたときや免疫が落ちているときに悪化します。くしゃみや鼻水、涙目が一緒に見られたら要注意です。
アレルギーが原因の場合は、「花粉」「ハウスダスト」「香水」「洗剤」などに反応して鼻が炎症を起こしている可能性もあります。
たとえば、部屋の掃除をしたあとにくしゃみが増える、鼻の中が汚れやすくなるなどの変化が見られたら、アレルゲンを疑ってみましょう。
症状が続く場合は、自己判断せず動物病院で診てもらうことが大切です。早期に治療を始めれば、慢性化を防げます。
3.呼吸器の病気が関係しているケース
長引く鼻くそや、悪臭を伴う鼻水が出る場合は、呼吸器系の病気の可能性も考えられます。
代表的なのが「猫ウイルス性鼻気管炎」や「慢性副鼻腔炎」などです。これらはウイルスや細菌が鼻の奥や喉に炎症を起こす病気で、放っておくと息苦しさや食欲低下を招くこともあります。
もし猫が口呼吸をしていたり、寝ているときに「ズーズー」と苦しそうな音を立てているなら、すぐに動物病院へ受診しましょう。シニア猫や子猫は免疫が弱いため、症状が悪化しやすい傾向があります。
普段から「鼻がいつもより汚れていないか」「片方だけ詰まっていないか」を観察することが、病気の早期発見につながります。
まとめ
猫の鼻くそは、ただの汚れではなく「体の調子を教えてくれるサイン」の一つにもなります。
乾燥やホコリが原因でできることもあれば、鼻炎やアレルギー、さらには呼吸器の病気が隠れていることもあります。
日常的に猫の鼻の様子をお手入れの際に観察しておくと、ちょっとした異変にも気づきやすくなります。
もし症状が長引くときや猫の様子に違和感を感じたら早めに病院へ相談しましょう。小さな変化を見逃さない飼い主さんの気づきが、愛猫の健康的な毎日につながります。
(獣医師監修:加藤桂子)