お小遣いはどんどん「失敗」させなさい! 2027年「こどもNISA」開始前に親が教えるべき「一生もの」の金銭感覚
小学生のお小遣いは「失敗」こそが学び! 2027年創設予定の「こどもNISA」に備え、親子で取り組む資産形成術を解説。3つの貯金箱と満足度を記すお小遣い帳で育む金銭感覚と、ウェルビーイングを養う方法とは。「おこづかいちょう」の無料ダウンロード付き。
【画像を見る➡】ラクしてお金持ちになりたい小学生におくる「ゲゲゲの鬼太郎」名言子どもにお金の教育をするには、「お小遣い」からスタートを!ママ金融教育家の櫻井かすみ(さくらいかすみ)先生は、お小遣いは欲しいものを買うだけではなく、どう使えば幸せになれるのかを考えるツールだと説きます。
本連載では、価値あるお金の使い方を学んで、親子で幸せな人生の土台を作る資産形成術を紹介。2027年1月に創設予定の、「こどもNISA」についても解説していきます(全3回の第1回)。
お小遣いを始める前に考える「自分にとっての本当の幸せ」
2027年1月に創設予定の「こどもNISA」を前に、投資への関心がさらに高まっています。そこで力を入れたいのが、家庭でのお金の教育です。
また、近年では、身体的・精神的・社会的に満たされた状態を持続する「ウェルビーイング」という考え方にも注目が集まっており、櫻井先生はこのウェルビーイング向上のための金融教育を提唱しています。
先生は、わが子のお小遣いを検討する際、開始時期や金額よりも先に、「幸せな人生を送るためにお金とどう関わるか」という視点を持つことが大切だと語ります。
「実際にお子さんが自分でお金を出してものを買うのは、算数の計算ができるようになる小学生からが多数派です。
でもそこから初めてお金を使わせるのは、ボートを買い与えただけで、いきなり大海原へ放り出すようなもの。
海に出る前には、その大きさのボートでどんなところへ行けるか、どこへ行けばいいかを考え、目的地を決めることが必要です。
ですからお子さんへのお金の教育は、まずは親がどうやって買い物をしているのか、『現場』を見せることが出発点です。
『どうやらお金と引き換えに、ものを手に入れているらしい。それによって自分たちがどんな恵みを受けているか、どんな希望が叶うのか』を、お子さんに知ってもらうことから始めましょう」(櫻井先生)
値段が高くて近い店と安いけれど遠い店 どっちの店で買う?
家庭でお金のことを日常的に話すのも大切です。
「たとえば、同じ商品がA商店では100円で売っていたのに、B商店では150円で売っていたとします。そこで、『値段が違うのはどうしてなのか』ということを一緒に考えてみるのです。
原価は同じでも問屋さん(卸売業者)を仲介しているのか、直接メーカーから仕入れているのかなどの話を通して、売値が変わることに触れられます。
ほかに、運送費や人件費、お店の家賃なども入って価格が変わるんだね、という話ができたら、経済の仕組みにもっと興味を持ってくれるかもしれません。
また、買うものの値段が高くて、お小遣いが減っていけば、お子さんは払うお金を少しでも安く抑えようと工夫を始めるでしょう。
さらにたとえば、支払う額の損得だけでなく、安さを求めて遠くまで買いに行ったときの交通費と、それにかかる時間や手間をどう捉えるかも考えることができます。
メリットとデメリットを照らし合わせれば、どの店でいくらで買うのが最適かを自分で判断していく力が備わるのです」(櫻井先生)
実際の暮らしの中で親がどんなふうにお金を使っているかを体験することが、子どもにとって最高の教材になります。
お小遣いは失敗してこそ「本当の学び」
親御さんの保護下で与えるお小遣いは、お金を使う練習の場。将来、大損失や詐欺に遭わないためにも、子どものうちにどんどん失敗させて経験を積ませてあげましょう。
「後悔するようなお金の使い方をすると、悲しい、悔しい、つまらないなどの負の感情が伴います。だからこそ次は同じ経験をしないように、お子さん自身がポジティブなお金の使い方を考え始めます。
自分で考える力をつけていくためにも、小さなころからお金に触れ、少額でもいいから自由に使わせることが大切です」(櫻井先生)
小学生時代はどうやってお金を使えば満足できるのか、考える力を育てる時期と捉えて、将来の金銭感覚の土台を作っていきましょう。
お小遣いで社会勉強をしていく
「お小遣いは、上手にお金を使わせるための制度ではありません。お金を使う社会勉強の場なので、うまくいかなくても見通しを立て直す力を育てることに重点を置いてください。
ですから、お小遣いを使う用途は、親があれこれ口を挟みたくなりますが、そこはじっと“我慢”です。
あらかじめ計画を立てていても、お子さんは目の前にあるものが突然欲しくなることもあります。しかし、たとえ不本意なお金の使い方になったとしても、お子さんにとってはかけがえのない経験です。
失敗を重ねれば、『自分はこういうことで後悔する』とわかるようになり、『安さに気をとられて買ってしまう』『反射的に買ってしまう』などの癖を、お子さん自身が自覚できます。
お金は、『何に使ったか』ではなく『お金を使ってどう思ったか』が大切です。失敗から得た感情が、ハッピーになれるお金の使い方につながり、人生を満たしていける練習になります」(櫻井先生)
定額制・都度制・MIX制はどれが正解? お小遣いの渡し方
お小遣いの渡し方にはいろいろな方法がありますが、櫻井先生が考える渡し方は次の3つです。
(1)一定の金額を毎月渡す定額制
(2)お金が必要なときに、親が相談を受けてから必要な分を渡す都度制
(3)定額制と都度制を組み合わせたMIX(ミックス)制
MIX制は、たとえば「お菓子やマンガなどの日常的な支出」は定額の部分で子どもにやりくりさせて、「特別なイベントの支出」のみ、親が相談を受けてからお金を渡す方法です。
計画性を育てるなら定額制、ムダ使いを抑えたい場合は都度制、計画性と柔軟性を同時に育てたいならMIX制といえますが、厳密にこれが正解だという渡し方はありません。
櫻井先生は、「大切なのはお小遣いを通して何を育てたいか」だと語ります。どの方法で渡すのかは、ご家庭に合うものを、下図のメリットとデメリットを参考に選んでみてください。
『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』を参考にコクリコ編集部で作成。
一生モノの考える力が身につくお小遣い管理術「3つの貯金箱」
お小遣いの渡し方が決まったら、次に考えたいのがどう管理するかです。そこでぜひ取り入れてほしいのが、「3つの貯金箱作戦」です。
お小遣いを入れる貯金箱は中身の見える透明な容器を3つ用意し、祖父母などにお札でお小遣いやお年玉をもらった場合でも、硬貨に交換して10円や100円、500円など、全種類の硬貨を扱えるようにします。
櫻井先生のお宅では、スケルトンの箱を用意して穴を開け、お子さんにデコレーションさせてオリジナルの貯金箱を作成。中身が見えるので、増えたり減ったりする様子を眺められるのもポイントです。 写真:櫻井かすみ氏提供
「お小遣いは、3つの役割に分けて管理させます。
(1)自分のために使うお金
(2)将来のために貯める&増やすお金
(3)人のために使うお金
『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』を参考にコクリコ編集部で作成。
お金の仕分けは上の図のように役割とメリットを考慮して、親がリードして一緒に行います。
たとえば、300円のお小遣いなら均等に100円ずつ、または割合を5:3:2にして150円・90円・60円としても構いません。目的によって、配分を変えます。学年が上のお子さんなら、割り振りを任せてもいいでしょう」(櫻井先生)
お小遣い帳を使ってお金を管理しよう
お金は使うだけでは学びになりません。使った経験を活かすために役立つのが、お小遣い帳で振り返ることです。
櫻井先生の考案した「おこづかいちょう」は、収支以外にも満足度とひとことメモを記入するのが特徴です。
櫻井先生考案の「おこづかいちょう」。使ったお金に対する満足度を星で表現して、感情を可視化します。記事の最後に無料ダウンロードあり。 画像:櫻井かすみ氏提供
「ひとことメモには『お金を使ってどんな気持ちになったか』、ものを買ったときの感情を記入します。星の数は、使ったお金に対する満足度です。
お金を使うたびに、お小遣い帳を開いて過去の気持ちを振り返れば、星一つの買い物をなるべく減らして、星三つの買い物を増やしていこうと思えるでしょう。
こうして可視化することで、お子さんは満足できるお金の使い方ができるようになっていきます。
お子さんがガチャガチャにたくさんお小遣いを使ったとしても、親は黙って見守ります。お子さんがお小遣い帳をつけて気持ちを記録したとき、『★がひとつだね』『お金がもったいないね』と親はいう必要もありません。
残念な部分を指摘するよりも、『どうしてそう感じたんだと思う?』と聞いてあげてください」(櫻井先生)
貯金箱でお金の使い方を考え、お小遣い帳で実際の使い方を振り返る。
この2つを繰り返すことで、子どもは自分で判断し、よりよいお金の使い方を選べるようになっていきます。お金を使う経験を通して、どんな使い方をすると幸せになれるのかを子どもは学んでいくことでしょう。
次回は、キャッシュレスへの対応を紹介。見えないお金との正しい付き合い方について解説します。
取材・文/石牟礼ともよ
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◆櫻井 かすみ(さくらい かすみ)
ママ金融教育家。株式会社トウシナビ代表、投資の学び舎スクールを経営。ファイナンシャルプランナー、小学校教諭免許状保有。「ファイナンシャル・ウェルビーイング向上のための教育プログラム」を研究し、初心者から上級者まで幅広い層に投資を教えている。お金の守り方と増やし方をこれまでのべ3000人以上に指導した実績がある。著書は『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)、『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)。