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【レビュー】風間俊介さん主演&庄司浩平さん共演のドラマ『40までにしたい10のこと』が描く「上司と部下」の大人の恋路|圧巻の演技で引き出される雀と慶司の魅力

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

風間俊介さん主演&庄司浩平さん共演のドラマ『40までにしたい10のこと』。原作はマミタ先生の同名漫画で、累計発行部数はついに100万部を突破。BLアワード2024総合コミック部門で堂々の1位を獲得した人気作品です。

アラフォー上司・十条 雀と密かに想いを寄せる部下・田中慶司が織りなす年の差オフィスラブを描く本作。放送の度にトレンド入りするなど大反響を呼び、続編を切望する声も届くなか、ついに最終話を迎えました。

10年以上恋人なしで、会社と家を往復するだけの毎日を送る雀。40歳の誕生日まであと3か月となり、ふと感じた焦りから「40までにしたい10のことリスト」を作成します。

誰にも見せるつもりのなかった秘密のリストを部下の慶司に偶然見られてしまい、思いがけずそのリストを一緒に叶えていくことに。2人は「タコパ」「デパ地下のケーキ全制覇」といったリストを進めるなかで、少しずつ心を通わせていきます。

本稿では、風間さん演じる雀と庄司さん演じる慶司の恋模様を辿りながら、多くのファンの支持を獲得した本作の魅力に迫ります。

※本稿には『40までにしたい10のこと』のネタバレが含まれます。

 

【写真】【レビュー】『40までにしたい10のこと』が描く「上司と部下」の大人の恋路

圧巻の演技で引き出される雀と慶司の魅力

 

幅広い役柄を演じ分ける実力派俳優の風間さんが雀役を、オーディションで150人以上の中から選ばれたという新進気鋭の庄司さんが慶司役を務める本作。風間さんの力量と庄司さんの際限のない可能性による化学反応が凄まじく、安定感と高揚感を同時に与えてくれるドラマでした。

部下の慶司にとって雀は尊敬する上司であり、ずっと先にいて全然追いつけない存在。皆に慕われているのにどこか“越えられない一線”がある雀の人物像を、風間さんは見事に捉えて体現しています。

実は私生活では可愛いものに囲まれていて、恋愛面においてはなんとも愛らしい反応が次々と飛び出してくる雀。指揮能力の高い頼れる上司と可愛さとのギャップがたまらなく魅力で、気持ちを伝える大事な局面では芯の強さも際立ちます。

恋に舞い上がる自分を抑えきれない姿から、内側の傷を上手に隠した振る舞いまで、心を包み隠す雀を繊細に表現。さらに注目したいのは、閉じ込めた本音が溢れ出す瞬間。ラーメンを食べてひっそりと溢す涙に、風間さんの凄みが詰まっていました。

一方で慶司は顔がよくて仕事もできて、1話の時点ではクールで格好良い部下。「あなたのこと余裕で抱けます」と言って、半ば強引に雀の“恋人”となってリストを一緒に叶えていくわけですが、回を追うごとに等身大の彼の真面目で誠実な内面がくっきりと見えてきて、ふと見せる年下男子の顔がまた愛らしい。

百戦錬磨のような風貌でありながら臆病なところがあって、本当に好きな人とこんなふうに向き合うのは初めて。雀への気持ちの伝え方や距離の詰め方に不器用さが垣間見えて、気づいた時にはもう慶司への愛おしさが止まらなくなっていました。

雀に向ける表情や視線は恋心を内包していて、先に進みたいけどグッとこらえて慎重に関係を進めていたり、雀の言葉に一喜一憂している姿にリアリティも。庄司さん演じる慶司からは雀への感情が溢れ出していて、自分から離れていく雀を繋ぎ止めようとする姿がいじらしく、どこまでも健気な慶司が心に焼き付いて離れません。

 

 

いつも始まる前に恋が終わっていた慶司×恋愛から遠のいていた雀

 

この物語で描かれるのは、会社の上司と部下である雀と慶司の恋の始まり。恋愛から遠のいていた雀と、いつも始まる前に恋が終わっていた慶司が一緒にリストを叶えていき、ささやかな日常のなかで幸せを実感しながら関係を育んでいきます。どこか諦めと人恋しさを抱いて生きていた大人の恋や葛藤を雀視点で描く作品ですが、密かに片想いをしていた慶司の恋物語でもあるわけです。

慶司は雀がゲイであることを知っていて、自身もゲイであることを雀に告白。「自分のセクシュアリティを恥じたりしていない」と話す慶司ですが、「そのことで周りに気を遣わせたくない」ため、彼女がいるとカモフラージュするほど念入りに隠してきました。

今までノンケしか好きになったことがない慶司の恋は、いつも始まる前に終わってしまい、先を望める人との恋愛は初めて。最初はあれだけ強引だったにも関わらず、雀との関係を慎重に進めており、これまでの人生でずっと叶うことがなかった今の幸せを大切にしています。

慶司はいろんなことを犠牲にして作り上げてきたものがあり、それが壊れないように慎重に守っていて、そのため雀に好意を寄せながらも以前は遠くから見ているだけでした。臆病になって踏み込めずにいた日々のなかで、「40までにしたい10のことリスト」を偶然目にした慶司は、雀が“恋人をつくる”という願いを抱いていることを知り、気がついた時には身体が勝手に動いていたといいます。

パートナーがいるかもしれないとも思っていた雀に今は相手がいなくて、しかも恋人を作ろうとしている。それを知った慶司が傍観していられるわけもなく、その余裕のない状況で必死に自分をアピールしていたのかと思うと、心から声援を送りたくなります。

だけど雀に向けて自分の魅力として提示したのは、効率の良さや安心といったメリットばかりで、肝心の“好き”の気持ちを伝えることはしていませんでした。バックハグし、さらには向かい合ってグッと抱き寄せて「あなたのこと余裕で抱けます」と囁いた慶司。好きな人に想いを告げたことがないのだとしたら尚更、この時の慶司にとって精一杯の行動と言葉だったのではないでしょうか。

とはいえ、慶司なりに少しずつ雀への想いを言葉にしていて、一緒にいるのは「気まぐれじゃない」と伝えていますし、「今の俺は十条さんがいいんです」とも告げています。恋愛から遠のいていた雀もまた、いつしかそんな慶司に強く惹かれていました。 

新しくできたカフェにいつか一緒に来てみたいなとか、慶司は何が好きなんだろうとか、そんな新鮮な想いが芽生えていく雀。世界ってこんなに綺麗だったんだと、街が煌めいていくほど、恋をするって美しくて尊い。2人で一緒にリストを始めてから日常が豊かになっていき、慶司の言葉に救われることもありながら、慶司と一緒にいるために変わりたいとさえ思えるようになります。

自分とは遊びなのかもしれないと不安になったこともありますが、雀が慶司のことを信頼できるのは、数年前から一緒に仕事をしてきて知り得た慶司の人間性を再認識しているから。時系列で言うと1話のずっと前から2人は信頼関係を築いていて、さらに一緒にリストを叶えるなかで彼の本気と誠意をちゃんと感じているからです。

 

 

雀との関係が壊れないよう必死に守ろうとする慶司

 

雀と慶司が順調にリストを叶えながら心を通わせていくなか、いつかは来ると思っていた辛い展開がついに訪れます。

街で偶然にも同僚の田中 颯(平井亜門さん)と遭遇した雀と慶司。2人の表情は一瞬にして凍りつき、この日を境に和やかな雰囲気から一変して地獄に突き落とされてしまいます。ここから我々は2人と一緒に試練と向き合い、乗り越えていくことに。

咄嗟に酷い言葉を発してしまったことを必死に詫びる慶司。対して雀の気持ちは複雑で、慶司の言葉に関しては本心でないことをちゃんと察しています。年齢も立場も忘れて舞い上がって、あんな風にバレたときのことを全然考えていなかったこと。そんな自分のせいで慶司にあんなことを言わせてしまったこと。そして、このまま関係を続けることで慶司が作り上げてきたもの全部を壊してしまうことが許せないのです。

お互いに好きでたまらないのに、一度離れることになる2人。「慶司の人生を背負う覚悟」という雀の言葉に対して、慶司の想いは「雀さんと一緒にいられればそれでいいのに」というのが全てです。慶司が今一番壊されたくないのは“雀との関係”なのに、雀はその一番大切なものを断固として解消しようとしていて、この行き違いがあまりにも悲しい。

慶司は過去の経験からもう後悔はしたくなくて、失いたくなくて、不器用ながら必死に雀を引き止めようとします。しかし、繋ぎ止める最後のカードとして絞り出した「リスト」も、殻に閉じこもった雀には届かず。慶司がすがるほどに雀の防御壁はますます頑丈に補強されていきます。

 

慶司の大切にしてきたものを守りたい雀

 

慶司への想いを自覚しているのに、雀は何故ここまで頑ななのか、筆者もしばらく考え込みました。しかし、自分と同期の黒木啓介(平子祐希さん(アルコ&ピース))を比べて自身の行動を振り返ったときに、年上かつ上司である責任感の強い雀が、部下の一人である慶司と付き合うということを深刻に捉えてしまうのも分かる気がします。

慶司の言葉や生き方が過去の経験から繋がっているように、雀の人物像や信念も彼自身の人生経験の積み重ね。原作2巻で雀は10年前に付き合っていた恋人と別れた理由を打ち明けているのですが、ドラマの雀も同じ設定なら“覚悟”の意味をさらに考えさせられると思うので、原作を読むのもオススメです。

ドラマのオリジナルキャラクターである黒木は雀の同期で、気心の知れた相手であり信頼も置いていますが、それでも雀の心には立ち入れない場所があって、これがまたしんどい。黒木もおそらくそれを分かっているのでしょう。それでも雀は心配してくれる黒木の優しさを受け取って感謝していて、この2人の距離感もこのドラマの楽しみのひとつになっています。

 

 

多幸感が止まらない最終話

 

雀から完全に拒まれたのにも関わらず、最終話でも諦めきれない慶司がどこまでもいじらしい。雀はというと、ためらいながらも意を決してリストを消していきます。思い出を逆再生にすることで慶司が雀から離れ、2人で過ごした日々が消えていき、なかったことのようになるのが悲しくも見事な演出でした。

しかしリストを削除したところで、慶司への想いは消えるどころか溢れるばかり。「これでいい」と自分に言い聞かせるのは、もうとっくに限界だったのです。最後は理屈抜きで「慶司がいい」という感情のみで慶司のもとへと走り出します。

雀の告白に嬉しさと安堵のあまり勢いよく抱きついて泣きじゃくっている慶司と、そんな愛おしい慶司の背中をポンポンしてあげる雀。このドラマでは“年の差”が壁のひとつとなっていましたが、最終話では包容力という名の萌えに昇華。

仕事では“上司と部下”、プライベートでは“年上と年下”の関係性としての演じ分け、稀に混ざる瞬間もこの作品の醍醐味です。

諦めにも似た日々から一歩踏み出して、雀と向き合って想いを伝え続け、初めて本気の恋が実った慶司。「リストが終わったら俺たちの関係はどうなるんだろう」と、ずっとリストだけで繋がっている関係に不安だった彼にとって、「リストがなくてもお前とだったら何でも楽しいから」と言ってくれる雀の言葉も救いとなったはずです。

最終話のED曲「まぼろし」が流れるタイミングが絶妙で、ラストに主題歌「菫」を持ってくるのも、原作表紙のオマージュも愛があって粋な演出。ドラマ本編の随所で原作がそのまま再現されているシーンが散りばめられ、このドラマの中で原作が生きているんだという感動を何度も噛み締めることができました。

何かあった時には「一緒に考えよう」とお互いに言えた雀と慶司。2人のこれからの物語が、いつかドラマでも描かれることを願っています。

 

 

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