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【実録】エンジニアたちの後悔、やらかし、失敗談「ボトルネック」と呼ばれた経験から何を学んだ?

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【実録】エンジニアたちの後悔、やらかし、失敗談「ボトルネック」と呼ばれた経験から何を学んだ?

人間、誰もが必ず失敗を経験する。それは仕事であっても同じことだ。

スピードと正確性が求められるエンジニアにとって、失敗は命とり……と思う人もいるかもしれない。もちろん、しないに越したことはないが、その経験から何を学び、次へとどう活かすかでその後の成長は大きく変わるだろう。

誰もが知る著名な経営者や、第一線で開発に取り組むエンジニアも、かつては頭を抱えたくなるような失敗を経験している。今回は、3名の失敗談から、彼らが何を学んだのか明らかにしていこう。

目次

【田中邦裕】かつては「不機嫌な上司」だった【そば屋(ゆめみ・テックリード)】客先レビューでのホワイトアウトの怪異【iwashi】メンバーに言われた「岩瀬さんがボトルネックです」

【田中邦裕】かつては「不機嫌な上司」だった

高専在学中にさくらインターネットを起業し、日本のテクノロジー領域におけるインフラを支える企業へと成長させてきた田中邦裕さん。デジタル庁が募集した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に日系企業として唯一認定されるなど、圧倒的な信頼性を確立してきた手腕の持ち主だ。

かねてより「経営者やリーダーは機嫌を良くしましょう」というメッセージを発信し続けている田中さんだが、そんな彼自身も、かつては「不機嫌な上司だった」と回顧する。

田中さん:20年ほど前は会社が債務超過に陥っていたため、経営を立て直すため一睡もせずに働いていたので、ストレスが溜まってすぐに腹を立てたり、周囲にきつく当たったりしていました。その結果、人がどんどん辞めてしまい、まさに会社が傾いてしまった。

イライラを誰かにぶつければ、その瞬間は多少スカッとするかもしれませんが、中長期的に見れば何もいいことはない。自分の不機嫌な振る舞いが、いかに会社に悪影響かを痛感しました

この苦い経験以降、意識的に笑顔で過ごしたり、アンガーマネジメントを実践したりと、常に「機嫌の良い上司」でいられるよう心掛けているという。

「放っておくと組織は簡単に従来型の日本的文化に染まってしまう」と肝に銘じているという田中さんは、世に聞く「不機嫌な上司」に対して、次のように注意を喚起した。

田中さん:部下の意見や指摘に耳を貸さず、自分の考えを一方的に相手に押し付ける上司は組織の輪を乱す。エスカレートすると、相手を傷つけるような酷いことまで口に出すようになり、パワハラ上司と化していくのだと思います。

これらは、「不機嫌な上司」をテーマに掲げ、LINEヤフーの代表取締役会長・川邊 健太郎さんとの対談で語られた内容だ。日本を代表するテクノロジー企業の経営者である両名の言葉は、チームを持つリーダーや管理職者にとって多くの学びを与えてくれるだろう。

【川邊健太郎×田中邦裕】管理職の言動が組織を腐らせる?「不機嫌な上司」の弊害と回避術https://type.jp/et/feature/26332/

さくらインターネット株式会社
代表取締役社長
田中邦裕さん(@kunihirotanaka)

1996年、舞鶴高専在学中の18歳の時にさくらインターネットを起業。2005年に東証マザーズに上場し、現在はプライム市場。自らの起業経験などを生かし、多数のスタートアップ企業のメンタリングやエンジェル出資を行うほか、IPA未踏のプロジェクトマネジャーや神山まるごと高専の理事として、若手起業家や学生エンジニアの育成にも携わる。また、アイモバイルやi-plug、ABEJA等の社外取締役を務めるほか、ソフトウェア協会(SAJ)会長、日本データセンター協会(JDCC)理事長、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)副会長、関西経済同友会常任幹事などとして業界発展のためにも尽力。最近では、AI戦略会議構成員なども担う。現在は、沖縄に移住し、自ら率先して新しい働き方を実践中

【そば屋(ゆめみ・テックリード)】客先レビューでのホワイトアウトの怪異

経験したことがあるエンジニアも多いであろう、開発したアプリのお披露目会。自社サービスはもちろんのこと、客先に納品するアプリの場合は、なかなか緊張する瞬間だ。

この大切なシーンで身の毛もよだつ恐怖体験をしたと明かすのは、ゆめみでテックリードを務めるそば屋さん。

そば屋さん:数年前、VBでのデスクトップアプリ作成をしていた時の話です。その案件はデザインも要件もシンプルで、スムーズに実装を終えて納品を迎えました。そして実装したアプリを納品先のPCに入れて、20人くらいの前でお披露目会を行ったんです。

しかし、いざアプリを起動しても1mmも動かないという事態が発生。作った画面に遷移しようといくら操作しても動かず、挙げ句の果てには画面がホワイトアウトして何も表示されなくなる始末……。納品物のコードを見ても、バージョンを確認しても問題ない。原因が分からない中で「自分一人でこの場をしのぐしかない」と思い、冷や汗が滝のように出たことを覚えています。

「半泣きになりながら操作をした」というそば屋さんだが、ふと違和感に気付き……。ことの顛末は、ぜひ記事から確認してほしい。

そば屋さん:誰しもミスはしてしまうので、落ち着いて周囲のメンバーに状況を共有して、地道に対処していくしかありません。そして改善策をしっかり講じた後は、切り替えて次の仕事に向き合うこと。

大丈夫です、大体のことは時間が解決してくれますよ。それこそ、今回の私のようにいつかは笑い話にできますから。エンジニアの本当にあった怖い話「ヒヤリハット」から学ぶミス・トラブルの防ぎ方&対処法https://type.jp/et/feature/26387/

株式会社ゆめみ
テックリード
そば屋さん (

@sobaya15

)

2日酔い系Androidテックリード&DevRel。毎日二日酔いになっていたらテックリードになり、会社の経費でビールの食品サンプルを買ってもらった不思議な経歴の持ち主。最近はKMPにハマりiOS担当との戦いに燃えている

【iwashi】メンバーに言われた「岩瀬さんがボトルネックです」

NTTコミュニケーションズで「Generative AI プロジェクト」を率いるiwashiこと岩瀬義昌さんは、駆け出しEM(エンジニアリングマネジャー)だった当時に直面した失敗を共有してくれた。

エンジニアとして活躍してきた経験があるからこそ、EMになった当初も、以前同様の感覚で開発タスクを引き受けてしまうことが多かった岩瀬さん。しかし、EMの仕事は採用、評価、目標管理、チームビルディング、技術投資の提案など多岐にわたる。結果どうなったかは想像に難くない。

岩瀬さん:マネジメント業務に追われると、自分が取ったタスクを思ったように進捗させられませんよね。

すると、当然ながらチーム全体の仕事が滞る。でも、進捗管理をするのはEMである僕の役割。そんな状況で、メンバーから言われた一言を今でも覚えています。

岩瀬さんがメンバーに告げられたのは「岩瀬さんが、ボトルネックです」という言葉だった。「あの時勇気を出して言ってくれたメンバーには感謝している」と語った上で、この経験から得た学びを振り返った。

岩瀬さん:昔の感覚のまま「自分でも出来るだろう」と思ってタスクを引き受けていたけれど、EMの役割は自分が動くことではなく、「チームの方向性を定めて、ブロッカーを外し続ける」こと。この出来事からは、「本当に自分がやるべきことなのか?」 を常に考えるようになりました。

徒労、ストレスだらけのEMたちへ。iwashiの失敗談に学ぶ「仕事を好転」させる四つの打開策https://type.jp/et/feature/27960/

NTTコミュニケーションズ株式会社
『Generative AI プロジェクト』リードエンジニア | エバンジェリスト
ポッドキャスト『fukabori.fm』運営者
岩瀬義昌さん(@iwashi86)

東京大学大学院修士課程修了後、2009年にNTT東日本に入社。大規模IP電話システムの開発などに従事したのち、内製、アジャイル開発に携わりたいという思いから14年にNTTコミュニケーションズSkyWay開発チームに転籍する。20年には組織改善に尽力すべく、ヒューマンリソース部に異動。22年からは再び開発部に戻り、全社のアジャイル開発・プロダクトマネジメントを支援。現在は、同社のイノベーションセンター テクノロジー部門 担当課長として活躍。『エンジニアのためのドキュメントライティング』(日本能率協会マネジメントセンター)『エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか』(日経BP)など、数多くの技術書の翻訳に携わる。エンジニアに人気のPodcast『fukabori.fm』を運営

田中さん、そば屋さん、岩瀬さん。あなたはどの失敗談に共感しただろうか。多くのエンジニアたちが、さまざまな失敗を乗り越え、糧として成長している。彼らの経験から新たな気付きを得て、日々の業務に活かしてみてほしい。

文・編集/エンジニアtype編集部

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