夏希の行動によって、みんなの関係値や色合いがどのように変わっていくのかを見てほしい――『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』灰原夏希役・上村祐翔さんインタビュー
2026年4月2日からTBS、BS11、AT-Xにて放送中のTVアニメ『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』。
灰色の青春時代を過ごし、ある日タイムリープしてしまった主人公・灰原夏希が、2度目の高校生活を“虹色”のものにするべく奮闘する学園ラブコメ作品となっています。
今回、夏希を演じる上村祐翔さんにインタビューを実施! 夏希を表現する上で重要な要素の一つとなる「モノローグ」で意識したことや、上村さんから見たヒロイン・星宮陽花里の魅力、第3話までの収録を振り返って印象的だった出来事などを語っていただきました。
【写真】『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』灰原夏希役・上村祐翔インタビュー
夏希の行動によって新たな関係値が生まれていき、物語が色づいていく
ーー作品に初めて触れた際の印象や、魅力を感じた部分をお聞かせください。
灰原夏希役・上村祐翔さん(以下、上村):原作を読ませていただいた際、すごくテンポよくやり直しの学園生活が始まっていくなと思いました。突然、高校入学直前にタイムリープした夏希が、あれこれ考えるのではなく、「そうなってしまったのだから、これはもう突き進むしかない!」と切り替えて、ひたすら目の前の出来事に一生懸命に取り組む姿が見ていて気持ちよかったです。
そこから、他のキャラクターたちと掛け合いをしていく中で、かつての関係値とは違う、新しい関係が生まれていって。夏希がただやりたいようにやっているだけではなく、彼の行動を受けて、周りのみんなも変わっていくことで、どんどん物語が色づいていくのも面白かったです。
ーー続いて、夏希の第一印象や魅力、演じる上で心がけたことをお聞かせください。
上村:やり直しの人生をいいものにするために、やれることを全力でやるという意思があるのはもちろん、一つ一つの出来事に真面目に、誠実に向き合っているのが素敵だと思いました。
僕も演じるときに、狙いをあまり定めず、一つ一つの出来事に素直に向き合っていくことで、他のキャラクターが夏希に自然と惹かれていくようにしたいなと。「夏希としてこうあらねば」というよりは、他の演者さんと一緒に、現場の自然な空気感を大事にやっていこうと思いました。
ーー演技を固め過ぎず、ある程度柔軟に対応できるようにしたのですね。
上村:そうですね。座組的にも結構同年代で、一緒にやったらわりとすぐに空気感ができあがっていったと思います。もちろん、場面によっては「ここはこう見せたい」というディレクションをいただくこともありました。
とにかく、みんなが作ってきたキャラクターがすごく素敵なものだったので、物語が進んでいくうちに少しずつ変化していったら面白いのかなと、全員が同じ方向を向いていたと思います。現場自体が学校みたいな空気感で、楽しく収録しました。
“遊び心”も大切にしながら演じたモノローグ
ーータイムリープによって生じる、精神年齢のギャップについては、どのように演じていこうと思いましたか?
上村:第1話の冒頭は大人の状態から始まって、どこか陰鬱な感じというか、気だるく、覇気のない雰囲気だったので、かなり低いところからスタートしました。そこから青春時代に戻って、精神面はもちろん大人なのですが、高校生のグループで生活していくので、自然とちょっとずつ若返っていったのかなと解釈しています。
それに合わせて、モノローグの部分もちょっとずつ柔らかくなっていくようなグラデーションを付けられたらいいなと思ったので、スタッフさんともいろいろお話しつつ、演じていきました。
夏希がずっと気を張っていた序盤までは、わりと明確に差があるかもしれませんが、それ以降はちゃんとグループの一人として、声色なども少しずつ優しくなっていると思うので、そういった変化も楽しんでいただけたら嬉しいです。
ーーモノローグ自体、かなり多いキャラクターに感じました。
上村:いろいろな作品でモノローグをやらせていただきますが、夏希は冒頭からずっと喋っていて(笑)。彼を演じていく上で、モノローグでの変化をどう見せていくかは大切な要素の一つになるので、先ほどお話ししたように微調整していきました。
モノローグは普通のお芝居よりも振れ幅を大きくできる部分でもありますが、あまりに極端すぎると夏希っぽさがなくなってしまうんです。その中で、(星宮)陽花里たちにドキドキするモノローグなどでは遊び心も出したいなと思って。どこまで面白くできるか、といったことも考えました。
ーー冒険し過ぎてディレクションが入ってしまった場合もありましたか?
上村:第2話で、「星宮かわいい……」というモノローグが何度かあったんですが、「生々しすぎる」という理由でリテイクを出してしまいました(笑)。精神年齢が大人過ぎる反応になってしまったので、再度、務めて爽やかに演じさせていただきました。
ーー第1話の収録で印象的だった出来事をお聞かせください。
上村:第1話ラストの「俺の“虹色青春計画”はここから始まるんだ!」と心の中で言うシーンは、当初は(精神年齢的に)少し落ち着いて言おうかなと思っていたんですが、音響監督さんから「ここは思い切りやってほしい」とディレクションをいただいて。なので、前向きなトーンで言い切った後に、キリっと振り返って「どうだった?」と(他のキャストに)ドヤ顔をしたんですが、鈴木崚汰(凪浦竜也役)に「こっち見んな」と言われました(笑)。
一同:(笑)
上村:そういうちょっとしたおふざけは結構やっています。一つ一つのお芝居に対して、後ろで見ているみんながリアクションしてくれるのが嬉しいし、いい現場だなと思います。
あと、夏希が高校に入る前の一か月間で体を絞るシーンも印象に残っています。モノローグの裏で流れる、ランニング中の声などの一連のアドリブを一回で録ったのですが、第1話は収録の時点で映像が出来上がっていたので、(キャラクターの)口に合わせてやる必要があったんです。しっかり準備して臨んだので、一発でOKが出たんですが、そのときはみんなも「おお~、すげえ」という空気になって。僕はまた「ドヤァ……」と(笑)。そんな感じで、楽しくやらせていただきました(笑)。
陽花里はもちろん、幼馴染ならではの空気感で進む美織とのやり取りにも注目
ーー夏希は様々なキャラクターと関わっていきますが、特に印象に残った掛け合いや関係性を教えてください。
上村:夏希との関係性がみんなそれぞれ違うので、演者もまた、それぞれ違った魅力的なお芝居をされていたなと。そのおかげで僕もすごく引き出していただいたと思います。
個人的にすごくいいなと思ったのは(本宮)美織との関係性です。幼馴染ということもあって、高校で知り合ったメンバーとは違う空気感だと思います。「虹色青春計画」についても、夏希はちょっと恥ずかしい気持ちはありつつも、美織には話すことができて、美織もなんとなくそれを分かっているからこそ、お互い協力者として一緒にいられる。あくまで友達として深まった絆だと思いますが、その幼馴染の空気感、ざっくばらんな感じを中村カンナさんとお互い出し合って、演じていきました。
ーー夏希の想い人である、陽花里の印象についてはいかがですか?
上村:「可愛すぎて近寄れない」という感じではない、陽花里の持つ柔らかい空気感にみんな惹かれるんだろうなと思います。夏希もそこにずっと惹かれていて、第1話で陽花里が登場したときに、彼の目の輝きが変わったというか。一気に青春時代に引き戻されたと思いますし、声色もそこで自然と若くなった感覚がありました。
演じている高尾奏音さん自身もすごく空気感が柔らかい方ですし、現場でもすごく朗らかで、その感じが陽花里に表れているなと思います。陽花里と話すときは、他のメンバーと違うドキドキ感というか、「なんて言おうか」という一瞬の間があるんですが、その空気感を高尾さんとの掛け合いで自然に出すことができました。
上村:全然タイプは違うものの、(佐倉)詩にはまた別のドキドキがあって。すごくストレートに好意をぶつけてきますし、精神的にも物理的にも近い距離で話しかけてくるので、詩との掛け合いが一番照れくさかったです(笑)。
ーー夏希以外のキャラクターで、本作をより楽しむために注目してほしいポイントを教えてください。
上村:先ほども少しお話ししましたが、美織のポジショニングが面白いと感じています。幼馴染の夏希と今後どうなるのかもそうですし、彼女が思いを寄せる(白鳥)怜太との関係性にも注目してほしいです。怜太もちょっと読めないというか、冷静で周りが見えている感じがありつつ、そこまで強く介入してこないところもあってミステリアスですよね。
内面という意味では、陽花里もまだ明かされていない部分が多いと思います。今は夏希視点から見た表面の部分しか見えていないので、陽花里自身がどういう考えを持っているのか、といった内側の部分も皆さんにもっと知ってほしいなと。
ずっと順調に“虹色”が描かれていくわけではないのが、この作品の面白さの一つ
ーー本作の中で、上村さんが友達になりたいキャラクターを挙げるならば誰でしょうか?
上村:美織ですかね。夏希とのやり取りを見ていて、自分をちゃんと持っている子で、頼りがいがある、背中を押してくれるようなキャラクターだなと感じました。
あとは(七瀬)唯乃もいいですね。序盤はまだ、つかみどころがない子ではあるんですが、陽花里に対しての距離感が面白いなと。あと第3話のカラオケでの夏希の歌や選曲に対し、「推せるわね」と言ったところで、ちょっとオタクなんだなと分かって、少し親近感が湧きました(笑)。
ーー第3話のカラオケシーンで、夏希は歌が上手いことが明かされました。収録で意識したことをお聞かせください。
上村:アフレコとは別日にレコーディングさせていただきました。原作の雨宮和希先生からも「上村さん、夏希は歌が上手いんですよ。よろしくお願いします!」と言われて(笑)。
第3話のときは、夏希にとって久しぶりの、しかも一人カラオケではなく詩と一緒に歌うことになるので、最初は緊張してのびのびと歌えていない状態を意識しました。そこから合いの手が入ってきて、少しずつ自信を持ち始める、という変化を持たせたいと僕のほうから提案させていただいて、レコーディングに臨みました。
実は今後も夏希は結構歌うんです。歌唱資料をたくさんいただいて、「こんなに歌うのか!」と驚きましたし、カバー曲というプレッシャーもありましたが、毎回丁寧に収録していたので、、今後も楽しみにしていただければと思います。
ーー本作では夏希が青春時代をやり直しますが、上村さんがもう一度やり直したい、挑戦したいことはありますか?
上村:大学受験ですかね。勉強自体は好きで、学校の先生も大好きでしたが、真面目にやった結果、本番でちょっとガス欠気味になったというか。当時は、休み時間も勉強に充てていたのですが、そういった時間で友達ともっと話せばよかったなと思います。
受験に集中して周りが見えなくなっていたところがあるので、もうちょっと広い視野を持って、心を開いて、みんなに甘えればよかったなと。でもそこでの失敗も今に活きていたりするので、「果たして本当にやり直したいか?」と言われると怪しいというか、正直もう一回受験勉強はしたくないという気持ちもあるんですけど(笑)。
ーー最後に、本作の今後の見どころをお聞かせください。
上村:夏希が掲げる「虹色青春計画」は順調に進んでいるように見えて、全てが上手くいっているわけではないことが徐々に明らかになっていきます。彼の中で正しいと思ってやったことが、立場を変えて見るとそういうわけでもない、ずっと順調に“虹色”が描かれていくわけではない、というのがこの作品の面白さの一つだと思います。
夏希がやり直しの高校生活をただ謳歌するわけではなく、実はみんなそれぞれ、いろんなことを考えていて。それぞれの想いが重なっていくことで虹色になりそう!という予感がするような、一人ひとりの微妙な変化が、観ていて面白いポイントなのかなと思います。夏希の行動と、それに対するみんなの反応が、かつてのものとは違うものになっていく様子や、みんなの関係値や色合いがどのように変わっていくのかを見ていただきたいです。
[インタビュー・撮影/篭法]