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インド人急増の町 競走馬産地を支える新たな担い手

TBSラジオ

きょうは北海道のある町のお話です。「浦河町(うらかわちょう)」。地図でみると札幌から見て南東、太平洋に面したこの人口1万人あまりの町に、数年前からインドの方が急増しているそうです。

<浦河町の場所>

どこに行ってもインド人

いったい何が起きているのか?浦河町でインド人に大人気というインド料理店を開いたオーナーに電話で話を聞きました。「バハラットレストラン」の森本 敏正さんです。

「バハラットレストラン」オーナー 森本 敏正さん

増えましたね~本当にびっくり。今400人ぐらい、インド人。お店行ってもスーパーのスパイスの棚が増えてたりとか、必ずと言っていいほどインド人はいる。とにかく田舎で、「なんでこんなところにお店があるんだ?ってよく言われるんですけど、あくまでも「インド人がたくさん住んでいる場所だけ」に特化して、レストランを始めた。

1万1千人の町にインド人が360人以上!2014年はゼロだったのに、町の3%がインド人というちょっと不思議な地域なんです。

<森本さんのお店では、カレーやビリヤニなど故郷の味を提供しています(バハラットレストランのHPより)>

競走馬の産地を支えるインド人

でも、なぜこんなにインド人が増えているのか?実は森本さんにはもう一つの顔があるんです。

「バハラットレストラン」オーナーであり、「森本スティーブル」の森本 敏正さん

競走馬の育成業をやってる。馬に乗って、馬を調教する人間がどうしても必要。そこで目をつけたのがインド人。インドは昔イギリスの植民地だったこともあり、競馬が盛ん。そこで入れ始めたのが、一番最初の経緯。この間、「ロイヤルファミリー」っていうドラマやってたと思うんですけども(全部見た)、まさにあのまんま。最初、競馬場のトレーニングセンターに入るまでの間、育てていくっていう仕事をやってます。馬に乗れるだけで全然意味は違ってくる。日本人だとしても、普通に馬に乗れるようになるまで3年はかかる。まずは「馬に乗れる」ことが即戦力ですね。

<イメージ>

実は、日本国内のサラブレッドの98%が北海道で誕生していて、浦河町を含む日高地方は一大産地。ただ、労働力不足で馬に乗って調教する「乗り役」が足りない状況が続いていました。

そこで10年ほど前に受け入れを始めたのが、インドの北西部・ラジャスタン州出身の方々です。1人迎えたのがきっかけで、今では森本さんの牧場だけでも30人を雇用しているそうです。

母子の困りごとに寄り添う

今では、地域全体に欠かせない存在になったインドの方々ですが、一方で、実はあまり目を向けられていないのがその家族。というのも彼らの「技能ビザ」は家族も一緒に来日できるため、妻や子どもと一緒に暮らしている人も多いそうです。

でも、日本語ができないまま来日するため、日常生活で困ることも多いようで、現地でヒンディー語の通訳士をしている稲岡 千春さんにどんな課題があるか聞きました。

ヒンディー語・通訳士(合同会社クッシー・プランニング) 稲岡 千春さん

最初の年の最後ぐらいに知らない方から電話がかかってきて、「妻が非常に苦しんでいるので来てほしい」と。ずっとお腹が痛い、3日前からお腹が痛い状態っていうことで、私は頼まれてそこに行ったんですね。で、その方を病院に一緒に連れて行った。彼女は110番に電話するっていう知識もなかったですし、ご主人もそうなんですけれども、ここには少しなんか介入していかなきゃいけないなと。母子支援、そこにいる母子を支援していこうっていうことを一番大きい柱にして活動を始めました。

稲岡さんは、もともと東京でインド料理店を経営していた方。インド人スタッフと働く中で、ヒンディー語を独学で習得。2019年ごろ、浦河町から「インド人が増えて困っている」と依頼を受けて、この町にやってきました。

病院への同行や予防接種の手続きなど、インド人女性たちの駆け込み寺のような存在で、今では「おばあちゃん」と呼ばれ、頼りにされているそうです。

生活のガイドブックを製作 馬産業の背景に目を向けて

そうした中で、町も動き始めています。日本語教室を開いたり、役場にヒンディー語の通訳士を常駐させたり。受け入れ体制を整えてきたんですが、ただ、稲岡さんは今、もっと身近な部分にも力を入れているそうです。

ヒンディー語・通訳士(合同会社クッシー・プランニング) 稲岡 千春さん

町民の方は私が通訳やってるってことを知られちゃってて。ある時年配の女性がすごい勢いで「近くにインド人引っ越してきたのよ、どうしたらいいの?」と訴えかけてきた。でもその気持ちも非常によくわかる。なので、例えば引っ越しの挨拶カード作ったりですとか、今そういう生活のガイドブックを会社で製作中、3月に完成予定。

競馬って好況だと思う、馬産業がとてもいい時代、とても栄えてると思う。この馬に関心ある人が、馬がどこから来たのか、馬はどのようにして育ってきたのか、ぜひそこで働いている人にも関心を向けてほしい。

引っ越しの挨拶、ゴミ出しのルール、災害時の対応。地道ですがこうした日常の小さな積み重ねをこれからも続けていきたいと話していました。

働く人を受け入れれば、その家族の生活のサポートも必要になる。企業や個人に任せきりじゃなく、自治体や国の支援も不可欠です。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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