キャンピングカー横転、その理由と防止策 ― “旅先”も“公道”も安心して楽しむために
キャンピングカー旅を満喫するために、ぜひ押さえておきたいのが「横転事故」。普通の乗用車とは走行や荷物管理などが異なるからこそ、ちょっとした油断が大きなリスクにつながります。
本稿では、実際の事故例を交えながら、なぜ横転しやすいのか、どう予防すればいいのかを整理しました。旅を快適に、そして安全にするための知識として、ぜひご一読ください。
楽しいキャンピングカーライフを送るためにも、事前知識はしっかり身につけておきましょう。
キャンピングカーの横転リスクは意外と高め?
結論として、キャンピングカーの横転事故のリスクは他の乗用車よりも高いです。
普通車と同じ感覚で運転すると、車高・車幅・積載荷重などの面で予想以上にリスクを抱えています。実際に、2019年の動画配信者グループの事故(横風による横転)や、2024年に家族が旅行帰りに起こしたタイヤトラブルによる事故などが報告されています。
「横転=大事故」と聞くと不安になりがちですが、事前のチェックと運転意識で十分に防止可能です。
これから横転しやすい理由や対策を紹介するので、参考にしてください。
キャンピングカーが横転しやすい3つの理由
キャンピングカーが横転しやすい理由は、主に3つです。
事故はさまざまな原因が重なって起きるものですが、基本的にキャンピングカーの事故は「急ハンドル」が原因になっています。
普通車よりも急ハンドルせざるをえないケースが増えるため、事前に知って対策しましょう。
風を受ける面積が大きいため、横風に弱い
キャンピングカーは居住スペースを備え、いわばトラックに近い形状。そのため風を受ける面積が大きく、横風の影響を受けやすい設計です。実際、横風単独では転倒に至らないケースがほとんどですが、風にあわてたハンドル操作がきっかけとなって横転へつながることがあります。
車体が大きいため、死角が増える
コンパクトキャンピングカーも増えていますが、一般の乗用車と比べると車体は大きめです。車両横や車輪付近の死角が生まれ、障害物や他車に気づきにくくなります。気づいた時に慌てて急ハンドルを切ることで、転倒リスクが高まるケースもあります。
急ブレーキ、急なハンドル操作に対応できない
キャンピングカーは「居住空間」が優先されており、荷物も積み込みやすい構造ゆえに、ブレーキ性能・ハンドリング面では普通車より余裕が少ないことがあります。積載過多だったり、運転に慣れていなかったりすると、「制動距離が足りず急ハンドル」→横転、という流れになり得ます。
いつもより、安全運転を心がけて乗るようにしてください。
「走行前チェック」で備えるべき5項目
キャンピングカーが横転しないためのチェック項目を解説します。
繰り返しになりますが、横転しやすいと言っても事前に対策して走っていれば問題ありません。
これから紹介する注意事項を守って、安全運転につなげましょう。
積載量の順守
キャンピングカー旅では、荷物がどうしても多くなりがちです。寝具、キャンプギア、冷蔵庫、ポータブル電源など…。しかし“積載可能量”を超えると、ブレーキや車体の安定性に影響が出ます。取扱説明書や車両登録証明書に記載された「車両総重量」「車両重量」から、最大積載量=車両総重量-車両重量=荷物+乗員数で管理しましょう。
例:「総重量3,000kg-車両重量2,500kg=積載500kg」
などを想定し、荷物・人数を含めてチェックしましょう。
重心管理(荷物の上部・下部)
車両上部に重い荷物を置くのはNG。
上部にシフトがあるほど車体が揺れやすく、横転リスクもアップ。可能な限り、重い荷物は低位置・床近くに置き、上部は軽めの荷物(衣類など)に抑えましょう。
タイヤ空気圧の確認
タイヤのパンクやバーストは横転事故の原因になりやすいです。
キャンピングカーは重量・荷重が大きいため、タイヤへの負荷も普通車以上。空気圧が低かったり、指定荷重を超えていたりすると非常に危険。出発前には必ず空気圧チェックをしましょう。
タイヤの劣化(使用年数・状態)
空気圧が適正でも、タイヤ自体が劣化していれば意味がありません。
使用頻度に関わらず、一般的には「3年ごとに交換を目安」としたいところ。
メンテナンス履歴チェック
キャンピングカーは車体が大きく、サスペンション・ブレーキ・タイヤ等にかかる負荷が大きいため、消耗・劣化も進みやすいです。
走行前に「最後にいつ点検したか」を確認。点検から時間が経っている場合は出発を控え、メンテナンスを受けるのが安心です。
キャンピングカーの運転で注意すべきこと
キャンピングカーの横転事故は、ドライバーが気をつけることでほとんどが未然に防げます。
運転中に注意すべきことを紹介するので、知識を身につけてから出発しましょう。
安全速度の意識
車速が高いと、横風の影響を受けやすく、カーブ走行・ブレーキ効き・車体挙動の安定性に影響します。
一般道ではもちろん、高速道路でも例えば「80km/hあたりを意識して走る」といった抑制が安全につながります。
車間距離の確保
キャンピングカーのブレーキ性能は、総重量もあることからそこまで高くありません。
そのため、ブレーキ時の衝突事故にもつながりやすいので、車間距離は注意しながら走りましょう。
普通車とはブレーキの感覚も違うため、十分に注意してください。
夏場・連続走行の回避
真夏の道路はタイヤを含め車体への負荷が高まります。
特にキャンピングカーは“長く・重く”走るシーンが多いため、2時間以上の連続走行は避け、適宜休憩を入れましょう。
悪天候時の運転判断
強風・雪・豪雨といった悪天候時は、そもそも走行を見合わせる選択肢も重要です。
特にキャブコンのような風のあおりを受けやすい車種は注意が必要です。
経験があっても、荷重・車体形状・風圧など複数条件で不安定になりやすいため、安全第一で判断をしましょう。
まとめ
キャンピングカー旅には、普通のクルマ旅にはない“移動空間+滞在空間”という魅力があります。その分、安全運転や事前準備には一歩踏み込むことが求められます。車体構造・荷物管理・タイヤコンディション・運転意識のいずれもが「横転しない旅」を支える大切な要素です。
レンタルからでも始められる今だからこそ、まずは“試乗・短距離から慣れる”、そして正しい知識をもって安心の旅を楽しんでください。