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土岐隼一さん 2ndフルアルバム「JUMBLE!!」リリース記念インタビュー|これまでの経験や、今やりたいことを詰め込んだ名刺代わりになるアルバム。各クリエイターの個性が輝く、タイトル通りの“ゴチャゴチャさ”が魅力

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

土岐隼一さんが1stアルバム「Good For」以来、約3年ぶりとなるフルアルバム「JUMBLE!!」を、2025年11月19日(水)にリリース!

オノシさん(24chocolate)、ヒゲドライバーさん、スカートの澤部 渡さんら豪華作家陣による個性的な楽曲、TVアニメ『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』OP曲「Another Birthday」のリアレンジバージョンなど、いろいろな楽しさや表情の10曲を収録した、タイトル通りの“ゴチャゴチャ”さが魅力の1枚となっています。

アルバムリリースに合わせ、土岐さんにインタビューを実施! 「JUMBLE!!」のコンセプトや収録曲の注目ポイント、そして2026年2月・3月に開催されるライブへの意気込みなどを語っていただきました。

 

 

【写真】土岐隼一 2ndフルアルバム「JUMBLE!!」リリース記念インタビュー

やりたいことをふんだんに詰め込んだ、名刺代わりになるアルバム

──約3年ぶりのアルバムになりますが、どんな想いで作られたのでしょうか?

土岐隼一さん(以下、土岐):3年ぶりだからというよりも、毎回アルバムやミニアルバムを制作する時は、「今までやってきたことをアップデートできたらいいな」と思いながら作っています。この3年で何か変わったのか僕自身はわからなくて、周りのスタッフさんや共演する声優さん、そしてファンの方から「ここが変わりましたよね」と言われて腑に落ちるタイプで。3年前にリリースした1stフルアルバム「Good For」から確かにどこかしら変化はあったと思いますが、僕が言語化するよりも、僕の音楽を聴き続けてくれたり、ライブに来てくれた皆さんがこのアルバムを聴いた感想を今はたっぷり飲み干したいです(笑)。

「おれサマー(おれパラPRESENTS ORE!!SUMMER 2020 Blu-ray DAY1)」で共演した小野大輔さんから「土岐君は曲ごとに表情がまったく変わるね」と言われて、方向性が少し決まった部分もあったし、人からもらったものが僕にとってはとても大切なので、この「JUMBLE!!」を聴いてくれた方からたくさんの感想や好きな曲を聞きたくてたまりません。それを僕の栄養にして、またステップアップしたいです。

 

 

──このアルバムを制作するにあたって挑戦されたことはありますか?

土岐:ミニアルバム「Another Birthday」の場合は表題曲がタイアップということもあったし、楽曲も初めましてのHANOのmidoさんと廣澤優也さんにお願いしたり、歌い方もいつもとは違うところにこだわりました。midoさんたちの音楽のイメージと僕のイメージを少しずつすり合わせながら作ったのは初めての挑戦でした。

その後にリリースした「Log.」というアニソンのカバーアルバムは先輩方の楽曲をお借りする形でしたが、ただのカラオケではない、モノマネではない歌い方に昇華させないといけないというテーマを自分の中で掲げました。そのうえで先輩方の表現の仕方も踏襲して、リスペクトの気持ちも忘れないようにしました。

そんな2枚を経てのアルバムだったので、新しい作家陣との出会いから得たもの、偉大な先輩方から得たものを踏まえて、現時点での僕の到達点を測る意味もありました。また今までのアルバムでは、僕が好きなアナログレコードのように、キャッチ―でテーマのわかりやすいA面と表題曲にはならないけれどやってみたいB面のようなイメージで分けて作っていましたが、今回は10曲トータルで考えて、自分がやりたいことをふんだんに詰め込みました。2019年に「約束のOverture」でデビューしてから、アーティスト活動も6年目に突入したタイミングで、やりたかったことや自分が今できることすべてがこの1枚に入っているので、「アーティスト・土岐隼一」を知るために最初に何を聴けばいいのか尋ねられたら、自信を持ってこのアルバムをオススメできる、そんな名刺代わりの1枚になったと思います。

ちなみにアニメ・声優界では、僕は「おもちゃ好き声優」や「好きなものがめちゃめちゃ多い声優」として有名で……自分で言うのも何ですけど(笑)。「多趣味だよね」と周りからよく言われますが、それは食わず嫌いせず、まず体験してみることが大きいと思うし、すぐにいろいろなものが好きになってしまうため、出来上がったのがタイトル通りの“ゴチャゴチャ”CDです(笑)。僕の「好き」がそれぞれ全方位で別々に広がって突き進んでいった結果なので、みんなにも「自分にとっての好き」を1曲でも見つけてもらえたら嬉しいです。

 

各クリエイターの個性が輝く楽曲が集まり、タイトル通り“ゴチャゴチャ”したアルバムに

──表題曲のコンセプトやサウンド感、歌詞の内容とレコーディングで意識した点、お気に入りのフレーズなどをご紹介お願いします。

土岐:アルバムのコンセプトやタイトルを決めてから曲を発注したわけではなく、新録曲が6~7割出そろって、レコーディングする前にマネージャーと一緒に仮歌を聴いていて、「全然統一感ないね(笑)」と話していました。

──新曲を発注する時に土岐さんから各曲のコンセプトや曲調などのオーダーはされたのでしょうか?

土岐:僕からオーダーした曲もあれば、プロデューサーやディレクターがオーダーしてくれた曲もあります。僕の歌う曲を制作していくやり方は、みんなで相談していきながらアイディアを出し合って固まっていく形で、今回もそうでした。

例えば、「ラジオ番組(「Time with You」)のテーマ曲を新しくしたいよね」とか、僕が好きな曲を1曲入れるとしたらどんな曲にしようかなと考えた時、「ライブでタオルをブンブン振る曲がないから、そういう曲が欲しいな」とか言ったりすると、チームのみんなから「最近流行りのこういうのを入れてみたらどうでしょう?」とか「こんな雰囲気の曲はどう?」などいろいろな提案をしていただいたり、みんなでアイディアを寄せ集めた結果、今回はゴチャゴチャした感じになりました。

「今回はコンセプトがないね」と冗談っぽく話している中で、去年リリースした「Log.」のように、タイトルは1ワードでパンッ!と表現できないかなと思っていました。そして「ゴチャゴチャ」や「メチャメチャ」を表わす英単語ってないかなと探して「JUMBLE」という単語にたどり着きました。

──今年開設したファンクラブ「TOY BOX」にも通じるところがあるタイトルですね。

土岐:おもちゃ箱だけでなく、みんなのスマホやPCにある、お気に入りの画像リストとかプレイリストは意外とゴチャゴチャしていることが多いと思うんです。傍から見るとゴチャゴチャしているようでも、こだわりのタグを付けていたり、決まった条件や縛りがあったりして、自分の中で整理できているんですよね。統一感がないようで、その人にとってはちゃんとポリシーやルールがあって。そういうものと今回のアルバムはリンクしているんじゃないかなと思っているし、僕的には「いい極彩色だな」と気に入っています。

 

 

──アルバムを制作するにあたって、こだわられたことは?

土岐:このアルバムは統一感がないけど、実は隠れコンセプトはありました。今まで、初めましての作曲家さんに音楽を作ってもらう時は、歌詞はいつもお世話になっている方にお願いするという何となくのセオリーがあって。そういう時によくお世話になっているRUCCAさんはいつも素敵な歌詞を書いてくださるし、好きな作詞家さんです。

そしてアーティスト活動5周年の節目を迎えて、「今までにないことができないかな」と思うようになりました。曲調に細かいこだわりはありませんでしたが、ただ「自分らしくない曲を歌ってみたい」と。例えば2曲目の「オーダーメイドライフ」は作詞がつむぎしゃちさん、作曲が大沢圭一さんと夢見クジラさんというオール初めましての皆さん作ですが、今までだったら、作詞はRUCCAさんにお願いしていたと思います。でもRUCCAさんの歌詞で僕が歌うと、どんな曲でも “土岐隼一らしさ”がにじみ出る気がして。なので今回は「作詞と作曲をできるチームの方々なら0から100まで、その方たちに丸投げしたい」というオーダーをしました。「暮らすリズム」「Azalea」「夜のストレンジャー」も全部その形で作られていますが、クリエイターさん達がやりやすい形で、純度100%のおススメ曲が完成する気がしてお願いしました。

その結果、聴いていただいた通り、収録曲は「ゴチャゴチャ」な感じになりました。たぶんRUCCAさんに作詞をお願いしていたら、それぞれ曲調や歌詞の内容がバラバラでもどこかでまとまっていたと思います。そういう心地よさや安心感もいいんですが、今回挑戦したことで、何が起きるかわからない、ドキドキワクワク感が味わえたし、想像を超える曲たちが集まりました。

そこから曲順をどうしようかと思った時、これも僕が決めるよりもチームのみんなが曲を並べてくれることでどんなストーリーが生まれてくるのか、聴いてみたくなったのでお任せしました。ただ「ブン回センセーション」だけは、「JUMBLE!!」というアルバムタイトルとすごく親和性があって、トップバッターにふさわしいと思ったので、「この曲を1曲目に置いていいですか?」とお願いしました。

 

 

今の自分のスキルをすべて注ぎ込んだ「トイ・フレーム」。ライブでの爆発力に期待

──MVもある「トイ・フレーム」が、このアルバムのリード曲という認識でいいんでしょうか?

土岐:このアルバムには絶対的な主役がいなくて、全曲が主人公の1枚になりました。その中でも「トイ・フレーム」は、「今の自分のスキルをすべて注ぎ込んで作ったらどうなるのかな」というところから作られた曲で、収録曲の中でも一番派手なので、一応リード曲になっています。

──どんなオーダーをされたのでしょうか?

土岐:自分のスキルをすべてぶち込むことができて、ストリングスが入っている僕が好きな雰囲気で、ハーモニーも厚くて。でも疾走感のあるロックの要素もあって。おしゃれではあるんだけど、王道のコード進行にも聴こえる、という難しいお題でオノシさん(24chocolate)にお願いしました。何度もやり取りをしたので、今となっては僕がどこを直してもらったのかも覚えていません(笑)。そんな僕のお願いをオノシさんがブラッシュアップして作ってくれました。

──何かが始まりそうなワクワク感のある音色が厚いイントロから、A、Bメロはさわやかに、サビではロックで、しかもコール&レスポンスのポイントもあって。新たなキラーチューンが生まれたなと。

土岐:僕も曲が届いた時、ライブ映えしそうだなと思いました。でもこの曲に限らず、このアルバムの曲たちは今までの曲と相性がいいと思うし、シナジーが感じられるので、ライブのどこに置いても粒だってくれて、ライブ映えするんじゃないかなという手応えがあります。

 

 

──おもちゃ箱だと思っていたら実は宝石箱だった、みたいな。

土岐:アルバム最後の曲が「Time is Jewel」で、うまく締まりましたよね。でも宝石箱って大人の宝物みたいなイメージがあって。宝物というのは人それぞれ違うと思っていて、僕にとってはおもちゃだけど、皆さんにとっては美しい宝石や大切な人からの手紙かもしれません。「Jewel」という言葉の上に自分の好きなものをフリガナで入れれば、何でも成立すると思います。

また、この曲の中で「小さな宇宙の宝石箱みたいだ」と歌ったり、「大きな未来の玩具箱みたいだ」と歌っていますが、いつも応援してくれる皆さんと一緒に過ごすライブやラジオの時間と空間も僕にとって、とても大切なんです。そんないろいろな想いを歌詞にしてくれたRUCCAさんはやっぱりさすがです。

──この曲を聴いていると、昔、友達と過ごした時間や出来事はかけがえのないもので、いつまでも大切にしなきゃと思わせてくれました。

土岐:メッセージ性が強い曲ですよね。「忘れてないかい?」という歌い出しから始まって、ラスサビが「泣いた日も笑った日も「明日」へ繋ぐ鼓動」と、今もまだ走り続けているよという雰囲気が最後まであって、エネルギーがずっとあふれているというか。

なので完成したMVも、すごいパワーやいろいろな空気感を感じられる映像になりました。歌っていても聴いていてもエネルギーやパワーが満ち溢れているので、「ライブで歌った時、どうなるんだろう?」と思うほど爆発力がある曲です。

──今を懸命に生きる人の心に刺さる曲だなと思いました。

土岐:「トイ・フレーム」に限らず、すべての人たちの心に寄り添える楽曲になっていると思っています。ただ、聴いてくれる人に「もっと頑張ろう」と思ってほしいわけではなくて、むしろ寄り添って、起爆剤やガソリンみたいになってくれたらいいなと思いながら歌いました。歌に引っ張られたことは僕自身もありますし、100%頑張っている人たちがあとほんのちょっと、101%でも102%でも頑張れるようになってもらえたら、みんなの生活の一部になったらいいなと思っています。

──MVはバンドと一緒に歌うライブシーンから始まって、土岐さんが子供の映像を観ているシーン、そして都会の夜のビル群を背に歌う映像になっています。

土岐:監督が「トイ・フレーム」を聴いてイメージしたコンテを作ってもらい、僕がそれを表現しています。MVのストーリーが大好きで、昔を懐かしみながらも前へ進もうというメッセージ性が映像からも伝わってきて。僕も頑張ってカッコつけたかいがありました(笑)。

 

「ブン回センセーション」は今までになかったタオル曲。「暮らすリズム」は休日の土岐さんを見るような感覚!?

──土岐さんがこだわった1曲目の「ブン回センセーション」は、ライブの始まりからライブ本番での姿を表しているような曲で、ファンとタオルを思い切り回し合おうという曲になっています。

土岐:今までの僕の曲には、頭を空っぽにしてタオルを回す曲がなくて。ヒゲドライバーさんはそういう曲を作る天才だと思っていたので、今回お願いしました。

──土岐さんがこういう曲を歌うイメージがなかったので、聴いた時は驚きました。

土岐:僕を何から知ったのかで、この曲を歌う僕の印象が違うと思います。『A3!』の瑠璃川役で知った方なら「土岐さんならこういう曲もあるよね」と思うでしょうし、僕への解像度の深さがわかると思います。僕を大人っぽい役を演じる人と思っていたり、かわいい役を演じる人と思う人など、いろいろな捉え方があるように、このアルバムでも「ブン回センセーション」が僕っぽいと思う人もいれば、「Azalea」かもしれないし、「希望光度」かもしれないし。だけどどの曲も僕なので、先入観やフィルターを一度取っ払って聴いてもらうと楽しいかもしれません。

──アーティスト活動の初期の頃、子供の頃から音楽や楽器が身近にあって、国内外の音楽をたくさん聴いてきた土岐さんらしさが、歌う楽曲から感じられましたが、このアルバムもそんな土岐さんの音楽の多様性が見えたような。

土岐:僕はいろいろな音楽を聴いているし、好きなジャンルもバラバラですが、表現できるかどうかは別の話で。例えばラップをよく聴く人でも上手に歌えるとは限りません。このアルバムは「ゴチャゴチャ」な曲ばかりで、数年前の僕だったらスキルが足りなくて歌えなかったかもしれません。「Another Birthday」や「Log.」を経て、自分の中の引き出しが少しずつ増えてきて、自分がやりたいことや歌いたい曲を表現できるようになったことで、今の自分をすべて詰め込めたのかなと思っています。

 

 

──土岐さんの歌のスキルや想いを注ぎ込んだ、個性的で存在感が大きい曲たちが揃っていますね。

土岐:すべての曲に作曲家さんのカラーや世界観が出ていて、例えば大沢圭一さんと夢見クジラさんに作ってもらった「オーダーメイドライフ」は、今のトレンドの疾走感のあるロックテイストの曲です。僕自身は前からそういう曲を聴いてはいましたが、歌ったことはなくて。

また、今までチルい曲をいろいろ歌ってきましたが、宮野弦士さんに作っていただいた「暮らすリズム」は歌詞がゆっくりと聴こえてきて、「忙しない日々を忘れて過ごす そんな1 日にしてもいいんじゃない?」という歌詞のように、何もせずにダラっとしている時に聴くのにちょうどいい曲で。僕の曲は聴いてくれる人を元気に励ましたり、チルい感じの曲でもそばで寄り添っている曲が多かったと思いますが、「暮らすリズム」は一番動きが少なくて、じっとしながら聴いていられる曲はこれまでなかった気がして。なので、今までしたことがなかった歌い方もできたし、このアルバムの中で特に新しい歌い方をしている曲なのかなと思います。

──歌い出しの「窓から差し込む太陽」からラストフレーズの「また明日歌の中で会おうよ」まで、土岐さんがリスナーのそばで寄り添っている感じが心地よくて。

土岐:僕的には寄り添うというよりも、SNSで何気なく「休み」と書いたら「私も」と共有し合って、「休みなんだ?」とみんなでだべっている感じで。僕が休んでいるのをみんなが見ている感覚なので、共感してくれる人はいると思うけど、メッセージ性は強くなくて。音楽は「このタイミングで聴いてください」と強要するものではないので。曲を聴きたくなるタイミングはそれぞれ違うと思うので、「暮らすリズム」に限らず、お好きな時間やタイミングに聴きたい曲を見つけて、楽しんでいただけたらと思います。

 

 

土岐さんが好きな音楽のテイストを巧みに盛り込んだ「Another Birthday」のリアレンジバージョン

──新録曲や4thシングル「SCIENCE」(『月刊モー想科学』ED曲)が並ぶ中、ミニアルバムの表題曲であり、『ループ7回目の悪役令嬢は元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する(ルプなな)』のOP曲だった「Another Birthday」を、今回リアレンジして収録することになった理由を教えてください。

土岐:これはプロデューサーから提案していただきましたが、その時の率直な感想は「できるのかな?」でした。タイアップ曲を制作する時はその作品の雰囲気をすごく大切にしていますが、この曲は『ルプなな』の世界観が中世のヨーロッパのような雰囲気だったので、曲もストリングスなどクラシカルな音楽観を全面に出した、かなりトンガった曲になっています。なのでリアレンジできるのか半信半疑でした。

 

 

──アッパーな曲ならアコースティックにしたりできますが、「Another Birthday」はオリジナルがもう完成形で、リアレンジするのが特に難しい曲だと思ったので驚きでした。

土岐:うちのチームはたまに既存曲をリアレンジしていますが、この曲は今までの中で一番オリジナルから180度雰囲気が変わったアレンジになっている気がします。

今回リアレンジしてくださった藤代佑太郎さんは、ずっと僕のライブでギターを弾いてくれているバンドマスターということもあって、僕がどんな曲やアレンジが好きなのか、どこでどんな音をあてたら僕が喜ぶのかをたぶん一番わかっている方だと思うんです。なので、うまくリアレンジしてくれて、オリジナルはあんなにもクラシカルだったのに、まさか現代風のポップスに生まれ変わるとは、とビックリしました。素晴らしいテクニックや音楽観を持っていて、僕を熟知している藤代さんでなければ、こんな素敵なアレンジにならなかったと思うし、オリジナルを作曲してくださったmidoさんと廣澤優也さんはどう感じるのかなと反応を知りたくなりました。

──このリアレンジを聴けば、土岐さんの音楽の好みも理解できるので一石二鳥ですね。

土岐:僕が好きな音楽のテイストと藤代さんの音楽観がうまく混ざり合って、違う姿の「Another Birthday」になりました。皆さんの感想も早く教えてほしいです。

──1枚を通して聴いてみた感想はいかがですか?

土岐:意図していないのに1つのドラマを観ているような感覚になりました。派手で元気な「ブン回センセーション」の勢いそのままに、2曲目の「オーダーメイドライフ」、3曲目の「トイ・フレーム」とアッパーな曲が続いた後にチルい曲の「暮らすリズム」になって。次の「SCIENCE」でピリっと、「Azalea」ではちょっと妖艶な感じになり、「夜のストレンジャー」で夜が深まって、「希望光度」で朝を迎える、みたいに振れ幅が大きくて。チルい曲の「希望光度」や「夜のストレンジャー」、「暮らすリズム」がまとまっていてもいいけど、あえて散らしているのがおもしろいなと。

取材の撮影中なども、アルバムの曲を流してもらっていましたが、僕ですら「トイ・フレーム」から「暮らすリズム」に変わった瞬間、「!?」となりました(笑)。急な変化だけど、違和感なくすっと体に入ってきて。いろいろな曲を楽しんだ後、最後にRUCCAさん作詞の「Time is Jewel」という、エンディングクレジットのような楽曲で締めるという。

レコーディング中は正直、「こんなにゴチャゴチャでいいのかな?」と思いながら歌っていました。毎回あまりにも違う雰囲気の曲を歌っていたので、僕の体がビックリして風邪を引いちゃうかもと心配になったくらいで(笑)。

でも曲順が決まって、1枚のアルバムにまとまったものを聴いた時のリスニング感はすごく心地よくて。1本の映画を観終わったような爽快感がありました。

──最後にしっかり着地したのはすごいですね。

土岐:曲がバラバラすぎたけど、チームのみんなが最後までこだわりながら、悩みながらも正解にたどり着いたような、奇跡のバランスだなと思っています。「この10曲の中でいい緩急が付いているな」と思わず自画自賛してしまいました(笑)。1曲目の「ブン回センセーション」から「オーダーメイドライフ」、「トイ・フレーム」と盛り上がった後に「暮らすリズム」が来る流れは、感情や情緒のアップダウンがありながらも、ほっとできるポイントが至るところに用意されているのがいいなと思いました。曲調だけではなく、歌い方もそれぞれ違うし、歌のアルバムなのにサントラ盤を聴いているような気持ちで楽しめました。

 

ライブ会場を「JUMBLE!!」のように楽しさが詰まった空間と時間にしたい

──初回限定盤、通常盤、きゃにめ豪華盤の3種類がありますが、それぞれのジャケットのコンセプトを教えてください。

土岐:僕もわかりません(笑)。いろいろなジャンルの曲たちがギュっと詰まっているので、ジャケットもいろいろな僕が見られるものになったのかなと。ただ言われるがままにいろいろなところで撮られて、合成したりして楽しかったです。

その後、スタッフの皆さんにいいなと思う表情を選んでいただいて、「JUMBLE!!」のジャケットとして何が合うのかを選んだ結果、こういうジャケットになりました。なので僕がこんなジャケットになったのを知ったのも事後でした(笑)。でも、僕の中でも納得がいくジャケットになっていますし、それぞれのブックレットにも写真が使用されているので、お気に入りの僕を見つけて楽しんでください。

──この夏の「Harezaの日」出演から、10月に初のファンクラブイベント開催、12月7日に「Shunichi Toki Lunch & Dinner Show ~ Spécialité ~」、1月10日と11日にリリースイベント、そして2月28日と3月14日にライブと、目まぐるしい日々が続きますね。

土岐:僕自身もビックリしています。まさか、こんなにいろいろなことをやるとは思っていなくて(笑)。もちろん、いろいろなことをやらせてくれるスタッフさんと来てくれるみんなには毎回、感謝の気持ちでいっぱいです。イベントやライブをするたびに、みんなの中に一つでも「楽しかった」を記憶に残してもらいたいと思っているので、楽しみにしてくれているみんなにも安心して待っていてほしいです。みんなに会える、どの機会も最高の時間、最高のショーを必ずお見せします。

──土岐さんがおもちゃ箱を上からひっくり返したら、たくさんの「楽しい」が散らばった、みたいな。

土岐:皆さんには「楽しい」が詰まった宝箱を見つけてほしいです。僕は「楽しい」がたくさんありすぎて、つまずいたりケガしないようにしないと(笑)。

──少し気が早い気がしますが、2月と3月のソロライブはどんなステージになりそうですか?

土岐:(取材時点では)もうすぐファンクラブイベントで、12月のディナーショーさえも何も決まっていない状態で、今は頭の中がパンクしそうなので、ファンクラブイベントが終わったらゆっくり考えます(笑)。

──「ブン回センセーション」があるということは、ライブでは特にタオルは必需品ですね。

土岐:きっとタオルをぶん回すんでしょうね。でもセトリは有限ですからね。多く歌って20曲だとすると、現状40曲くらい持ち歌があるので、「JUMBLE!!」の中からは数曲しか歌えないことになります。そこでどの曲を選ぶのか、ですよね。「ブン回センセーション」を歌ったら盛り上がるでしょうね……僕も歌いたいですよ! できることなら「JUMBLE!!」の曲を全部歌いたいけど、どの曲を歌わせるのかはプロデューサーやスタッフ陣の思惑もあるでしょうし、「ブン回センセーション」と「夜のストレンジャー」は一緒にいてはいけない気がするし。

ただここで「ブン回センセーション」を歌う、と宣言してしまうのは違う気がして、できることならライブに来てくれるみんなには開演までワクワクを取っておいてほしいんです。でも、ライブに参加したら汗もかくでしょうし、タオルを用意しておいてもいいと思う(笑)。

──このアルバムは、ライブでどんな演出をするのか想像するとワクワクする曲ばかりですね。

土岐:僕もスタッフの皆さんがどんな演出をするのか聞くのがとても楽しみで、ライブのたびに好きな瞬間でもあります。過去の僕のライブでは砂時計をひっくり返す演出があったり、「歌っている途中に後方でこんなことが起きていたのか!?」と僕自身が驚くことも多いし。

お客さんが楽しめるライブにするために皆さんが頑張ってくれると思うので、僕もやりたいことを上乗せして、より楽しいライブができれば、皆さんにも楽しさが伝わると思います。僕とみんなでライブの会場を「JUMBLE!!」のように楽しさが詰まった空間と時間にしたいです。

 

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