中国の古典「経世済民」から見る日本経済の歴史とは?【眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話】
4:経済という語の語源は中国の古典「経世済民」
「経済」という言葉は、中国の古典にある「経世済民」からの用語です。本来は「世 (よ)を経(おさめ)、民(たみ)を済(すく)う」という意味でした。政治や行政などの公的統治によって民を幸せにすることが重視される趣旨だったのです。
しかし、現実の「経済」は、民を幸せにするどころか、資本主義の暴走という悪循環で民の格差を広げるばかりです。政治家も資本家も常に労働者を低賃金で働かせることに腐心するからです。「神の見えざる手」が公益をもたらすとしたアダム・スミス、「社会主義」で平等社会を目指したカール・マルクス、 「一般理論」で完全雇用政策を説いたジョン・メイナード・ケインズなどの経済学の泰斗たちはいずれも「民の幸せ」を導くべき考察で、「経世済民」の理想を追ってました。
しかし、日本経済の現状はそうした理論とはかけ離れ、資本家と結託した政策がてんこ盛りです。1986年の「労働者派遣法」で、一つの会社の中に「正規」と「非正規」の労働者を混在させます。 戦後禁止されてきた 「中間搾取」 を合法化し、「間接雇用」「有期雇用」を常態化、低賃金でいつ首切りされるか心配な不安定雇用を広げます。
89年には消費税を導入し、消費に罰金を課すようなしくみを広げ、可処分所得を減らします。
そして93年には「外国人技能実習制度」の導入で、転職を禁じた憲法違反の奴隷労働を普及させました。日本が97年以降デフレに陥ったのも、こうした低賃金・貧困化政策が影響しているはずです。低賃金では将来の年金が乏しく、生活保護に頼る人を激増させます。現在の生活保護の総支給額は約4兆円ですが、2050年には3倍の12兆円になる予想まであり、危機的状況なのです。
経済の語源⇔経世済民
→世を経め、民を救う
経…治める
世…世の中
済…救う
民…民衆
現実の「経済」は民を幸せにするどころか、民の格差が広がってしまっていることが問題となっています!
【民の幸せから遠のく日本経済】
・労働者派遣法の導入
・消費税の導入
・外国人技能実習制度の導入
・生活保護に頼る人の増加
「経済」の本来の意味とかけ離れた世の中になっている、日本経済の問題点を解消するのは急務です
【経済とお金の豆知識】
2023年の日本の就業者数6780万人のうち、役員を除く雇用者数は5750万人。うち正規雇用は3617万人、非正規雇用は2133万人(37%)。非正規雇用のうち派遣社員は149万人(約7%)です。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔