アメリカ空軍博物館にも行ってきた! フライトジャケット塾・亀屋塾長とゆくアメリカA-2紀行【前編】
日本有数の軍服有識者、フライトジャケット塾・亀屋塾長とライトニングの自称・革の伝道師モヒカン小川が、アメリカへと旅立った。今回の目的は、「A-2と飛行機にどっぷり浸かる」こと。A-2をこよなく愛する二人が、本場アメリカで何を見てきたのか……その模様を、2回に分けてお届けする。1回目の今回の舞台は、オハイオ州デイトンにある、アメリカ空軍博物館。本場のミュージアムで、二人が見たものとは……?
人類の航空機の歴史はここからはじまった。
事の発端は、2024年の忘年会だった。私モヒカン小川のYouTubeチャンネル『モヒカン小川のレザーチャンネル』の企画で亀屋塾長と年末飲んだ時、酔いに任せて「アメリカに行こう!」という話になったのだが、モヒ小川と亀屋塾長は、実は30年近くの付き合い。モヒ小川がライトニングに入る前、航空系の出版社勤めだった頃からの付き合いなのだ。出会った頃は二人とも若く、まだペーペーだったが、気付けばお互い50を超える齢となった。
「そろそろ終活として、航空の聖地を回りたいよね」という亀屋塾長の言葉に促され、今回の旅が実現したというわけ。航空の聖地といえば、やはりアメリカ。自家用機として大戦機を持ってる人も多くいるし、何と言っても世界初の有人動力飛行を成功させたライト兄弟を産んだ国でもある。亀屋塾長が愛してやまないA-2も、アメリカ陸軍航空隊がなければ、生まれなかったのだ。
「せっかく行くなら、オシュコシュのエアショーも行きたい!」
「スミソニアンもいいですね」
「お宝のA-2に出会えるかも」
「ついでに海軍基地にも行っちゃいます?」
などと飲みながら盛り上がっていた話が、まさか実現するとは。このA-2紀行、今月・来月と2回に分けて紹介するが、今回紹介するのは、オハイオ州・デイトンにある「アメリカ空軍博物館」。デイトンとは小さい街ながら、航空ファンにとっては特別な場所でもある。なぜか。それはライト兄弟が経営していた自転車屋「ライトサイクル」があるから。
ライト兄弟がエンジンを搭載したライトフライヤー号で1903年に初飛行を行ったのはノースキャロライナ州キティホークだが、デイトンのちっぽけな自転車屋であるライトサイクルで飛行の研究を続けていたのは間違いない。近くにはライト兄弟の名を冠した「ライトパターソン空軍基地」があり、その横にアメリカ空軍博物館がある。まさに飛行機好きにはたまらない場所と言えるだろう。
アメリカ空軍博物館には、現在400以上の航空機やミサイルなどが室内に展示されている。そう、とんでもなくデカい建物なのだ。いや、格納庫と言った方が近いかもしれない。第一次大戦時の航空黎明期の実機から、ウォーバード、朝鮮戦争から近現代のマシンまで、空軍の歴史を彩った航空機たちが展示されている。宇宙系の乗り物も展示されているので、アメリカが辿ってきた航空宇宙の歴史を知ることができるのが魅力だ。
ただ、モヒ小川も亀屋塾長も、興味が偏っているので(笑)、最新鋭機や宇宙モノには全く興味無し。俺たちの興味は、第二次大戦時に活躍した、いわゆる「ウォーバード」なのだ。そこに行けば歴戦のA-2にも出会えるかもしれない……そんな期待を胸に、他のブースにわき目もふらず、第二次大戦ブースへと足を運んだのであった――。
ライトパターソン空軍基地から程近い場所にあるライトサイクル。現在はミュージアムになっており、入場料が必要。飛行機好きなら一度は訪れたい聖地だ
こちらがアメリカ空軍博物館。とんでもなく大きい建物なので、1日じゃ見切れないかも。入場は無料なので、デイトンに滞在して、数日かけて見学するのもアリです
空軍博物館の第二次大戦エリア。誰もが知る有名な機体や、零戦などの日本軍機も展示してあった。映画で有名な「メンフィス・ベル」のB-17もここで展示されている
さあ、気になるウォーバードゾーンへ
亀屋塾長とモヒカン小川のお目当ては、第二次世界大戦で活躍したウォーバード……だったはずが、そのブースの入り口に、A-2の展示を発見。そこにはA-2だけでなく、空軍パイロットの装備品の変遷が展示されている。
「こういう装備品て、航空機の発達と密接に関わっているから、見ていて面白いよね」と亀屋塾長。確かに、黎明期のオープンコクピットの時代は、風邪と寒さにさらされるため、腰まで覆うあびえーターコートが主流だったが、クローズドキャノピーになったおかげでA︲2なども誕生したと言える。その展示ブースには、バックペイントが施されたA-2が多数展示され、亀屋塾長も大興奮。
「バックペイントって、軍にいた絵心のある人が描いていたと思うんですが、上手いものもあれば、ちょっと下手なペイントもある。でも、そこが面白いんですよね。味があって、当時の兵士の息遣いを感じられます」
確かに、アメリカ空軍博物館には、多くのA-2が展示されているが、お世辞にも上手いと言えないものも多い。でも、そのリアルさがこちらの胸を刺す。どんな想いでそのペイントを描いたのか、どんな気持ちをA-2に託したのか。ここにはA-2だけでなく、B-10などのコットンフライトのカスタムモデルも展示されていた。経年で、どんなふうに褪色し、革が割れ、プリントが掠れていくのか……この展示を見ているとエイジングの勉強にもなる。亀屋塾長も同じことを思ったようで、いろんな写真を撮っている。
「やっぱり、時間の経ったA-2って色気がありますよね。革のエイジングももちろんですが、ペイントの割れやリブの褪色、虫食いなど、時間でしか完成しない色香があります」
そう語る亀屋さんも、バズリクソンズのカスタムA-2を着ている。確かに展示物と比べればまだまだかもしれないが、それでもペイントが掠れ、革にはシボや皺が刻まれ、十分に色気を発している。フライトジャケット、特にA-2などのレザー製フライトジャケットは、着用者の形を記憶し、皺や傷というかたちで歴史を刻んでいく。亀屋塾長とモヒ小川は、長時間、戦士たちのA-2に見入った。
空軍博物館は、みんな飛行機を見にきているので、誰もこのA-2ブースには足を止めない。でも、それでいいのだ。ひっそりと目立たず、でも凛として戦争の記憶を伝えてくれる、誰にも気付かれずに。フライトジャケットとは、本来そういう“粋”な服なのではないだろうか。
アメリカ空軍の装備品の展示に魅入る亀屋塾長。さすが空軍博物館、あらゆる装備品の展示がされていた。ただ悲しいことに、我々以外、ほとんど誰も見てませんでした(泣)
空軍博物館のSHOPもすごい!
博物館の楽しみといえば、ミュージアムショップ。アメリカ空軍博物館のショップも、楽しそうなアイテムが勢揃い! 航空機に興味のない人でも、絶対楽しめるはず。もし空軍博物館に来る機会があったら、必ず立ち寄ってお土産を買っていこうぜ!
歴代のアメリカ大統領のポートレートがパズルになっていた。なんでもグッズにしてしまうのが、アメリカのいいところ。
アメリカ空軍博物館と言いながら、エアフォースの隣でU.S.NAVYのマグカップも販売。とにかく米軍のグッズの多さにはびっくり!
現行の書籍や写真集の他に、昔の雑誌や新聞の復刻が売っていた。興味津々で物色中の亀屋塾長。こんなショップ、日本にも欲しい!
パッチやステッカーもミュージアムショップの定番商品。アポロやNASAなど、宇宙モノも多かった。子供に人気なのだとか。
昔の戦闘機の写真が額装されて販売されていた。一見地味だけど、飛行機好きの友達のお土産には最適。モヒカン小川も購入。
後編もお楽しみに。