「駅チカ&電車で手軽に!」2025年鮎(アユ)釣りおすすめ河川:酒匂川
酒匂川は神奈川県西部を流れる二級河川。富士東麓と丹沢西南部を水源地し、静岡県御殿場市、小山町、神奈川県山北町、開成町、南足柄市、松田町、大井町、小田原市を流下して、相模湾へと流入する。静岡県内では鮎沢川と呼ばれる。
鮎釣りとしての酒匂川
同川は昔からたびたび水害が発生しており、暴れ川としての一面がある。2006年8月には御殿場市、小山町での集中豪雨、2007年9月の台風9号、2010年9月の台風9号、2019年10月の台風19号と繰り返し水害に見舞われている。
そのため、川相もそのたびに変化し流れは一変する。好ポイントが陸になったり、大トロができたりと川底が安定しないのが同川の特徴だ。
ただ、悪いことばかりでもない。同川は東名高速大井松田ICから車で5分の距離にあり、都心から90分とアクセスは抜群だ。加えて川沿いにはJR御殿場線と小田急小田原線が通っており、各駅から川への距離も短いことから電車釣行も可能。
ポイント紹介
釣り場は大別して、山北地区、松田地区、小田原地区。漁協権が設定されているのは、本流筋の鮎沢川が清水橋より下流、支流の河内川で神崎堰堤より下流。この辺りは山間の渓流の川相で、川石が大きく水質もいい。
魚止めの山北堰堤より上流部に位置するため、天然遡上はない。放流魚主体の釣りとなる。川西橋下流辺りからローリングダム間は、水温が高いためか、解禁当初から良型が釣れる。大口橋から200mほど下流は大石もあり、適度な流れのポイントがある。大口橋周辺は、日照りが続くと、減水で釣りにくいことも多い一方、出水後は残りアカを狙って好釣りができる。
松田地区
松田地区は、御殿場線松田駅、小田急新松田駅から川までが近いので、電車釣行に向いている。オトリ店も3軒あり、人気の釣り場だ。
この地区は、東進していた流れが南へと進路を変える場所に位置するため、過去には台風により十文字橋が流されたり、周辺の住宅が浸水したりと水害が繰り返されている。久しぶりに釣行すると、川相がまったく変わっていたなんてことも少なくない。
それでも比較的石が大きく、好ポイントが点在する。やぶした、十文字橋周辺、足柄大橋周辺と瀬ありトロありの流れが続く。また、この辺りは送電線が川を横切っている場所があるので、感電には注意のこと。
小田原地区
小田原地区は、電車釣行では、小田急の栢山駅、富水駅、蛍田駅の3駅が使える。オトリは、報徳橋下流左岸の漁協事務所で購入できる。ここまでくると川石は小さくなり、流れも緩やかになる。
底止めブロックなど人工物によって流れが変化するので、少しでも流れが変化する場所を選んでオトリを入れよう。ただ、時には水深10cmほどの超浅場で目印が吹っ飛ぶので、川へのむやみな立ち込みは禁物だ。同地区では静かに釣ることが一番だ。
狩川
そのほか、同水系の一大支流である狩川でもアユ釣りが楽しめる。遡上の多い年には底が見えないほどに真っ黒な塊が上流を目指す光景が見られる。コロガシ釣りが中心の釣り場だが、上山下橋上流から大泉河原橋間はトモ釣り専用区となっている。
比較的川の規模が大きく水量もあるので、当たれば大釣りが期待できる。また、最近流行始めたアユルアーを使ったアユイングは、狩川で楽しむことができる。
放流に期待
アユの天然遡上だが、今年はあまり芳しくないとのこと。同川漁協の今年の放流計画は海産系人工アユを4000kg。稚アユが6~8gだと想定すると、50~65万尾程度だろうか。状況に応じて追加放流もおこなっているので、堅調に釣れてくると思う。
同川に望むことは、大水が出ないこと。水深が比較的浅いため適度な出水は必要だが、大水が出ると増水と濁りで、1カ月以上も入川できないことも多い。それだけは避けてもらいたい。
<週刊つりニュース関東版APC・藤崎信也/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関東版』2025年5月23日号に掲載された記事を再編集したものになります。