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3年ぶりリニューアルオープンする横浜美術館で「横浜トリエンナーレ」が開催

タイムアウト東京

3年ぶりリニューアルオープンする横浜美術館で「横浜トリエンナーレ」が開催

2024年3月から始まる「第8回 横浜トリエンナーレ」の開催に先立って、総合ディレクターを務める「横浜美術館」館長の蔵屋美香らが登壇するオンライン記者会見が1月17日に開催された。

2001年にスタートして以来、国際性を強く打ち出してきたのが同芸術祭の特徴といえる。今回は地域性も重視し、横浜美術館などを主会場とする国際展「野草:いま、ここで生きてる」と、横浜駅から山手地区におよぶ広いエリアで開催される地域連携のプログラム群「アートもりもり!」の2本柱で展開することがアナウンスされた。

Photo: 蔵屋美香記者会見

今年は、これまでは連携しつつも独立していた「BankART Life」や「黄金町バザール」といった地域のイベントを「アートもりもり!」というプログラムにまとめ、横浜トリエンナーレの一部として開催するようだ。

「黄金町バザール」も「横浜トリエンナーレ」の一部に

横浜の独特なヴェニューを拠点に都市と芸術のプロジェクトを進めてきた「BankART1929」が、2004年の活動開始当初から横浜トリエンナーレとともに開催してきたBankART Life。今回は「再び都市に棲む」をテーマに、みなとみらい線の新高島駅構内の地下にある「BankART Station」ほか周辺各所で開催予定だ。

また、かつて非合法で売買春が行われてきた歴史を持つ黄金町などで展開される⻩⾦町バザールは、今年で15回目を迎える。「世界のすべてがアートでできているわけではない」と題して、作品展示を行うほか、黄金町のまちづくりの歴史にもフォーカスを当てる。そのほか、「象の鼻テラス」や「ニュウマン横浜」でも「アートもりもり!」として多彩なアートプログラムが準備されている。

Photo: 旧第一銀行横浜支店

リニューアルした横浜美術館で都市型芸術祭ならではの体験を

一方の国際展「野草:いま、ここで生きてる」は、中国・北京を拠点にするアーティスト、キュレーターのリウ・ディン(劉鼎)とキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)がアーティスティックディレクターを務める。横浜美術館のほか、2020年まで「YCC ヨコハマ創造都市センター」が入居していた「旧第一銀行横浜支店」および「BankART KAIKO」も会場となる。また、入場無料エリアとして「クイーンズスクエア横浜」とみなとみらい線の元町・中華街駅連絡通路にも作品が展示される。

画像提供:横浜トリエンナーレ横浜美術館 撮影:新津保建秀

特に、リニューアルを経て約3年ぶりのオープンとなる横浜美術館の新しい姿も楽しみにしたい。「エレベーターや多機能トイレを備えた新しい美術館の良さを生かして、都市型芸術祭ならではの、誰にでも楽しめる鑑賞体験を提供したいです」と蔵屋は話す。また館内には、子ども連れの客が気軽に休憩できるスペース「こどものアートひろば『はらっぱ』」が設けられ、ワークショップなども開催される。

社会の裂け目に生きるアウトサイダー

全体の統一テーマであり、国際展のタイトルでもある「野草:いま、ここで生きてる」は、「阿Q正伝」などの小説で知られる中国近代文学の祖、魯迅による散文詩集「野草」から採られたものだ。アーティスティックディレクターのリウとルーは、魯迅の人生に対する哲学に共感を込めて、同テーマについて「個人の生命の抑えがたい力が、あらゆるシステム、規則、規制、支配や権力を超えて、尊厳ある存在へと高められます。それはまた、自由で主体的な意思をもった表現のモデルでもあるのです」と説明する。

画像提供:横浜トリエンナーレ組織委員会 撮影:大野隆介左:リウ・ディン 右:キャロル・インホワ・ルー

既に発表されている第1弾アーティストの中にも、リウとルーの語る「個人を苦しめるシステムを密やかに解体しうる、社会の裂け目に生きるアウトサイダー」と呼ぶべきような作家が多く名を連ねている。会見では、スカンジナビア半島北部やロシア北部などをトナカイの遊牧をしながら暮らす「サーミ」の血を引くノルウェー出身のヨアル・ナンゴ(Joar Nango)や、ウクライナ・リヴィウの難民キャンプに逃れた市民に取材した作品を発表するコレクティブ「オープングループ」らについて、学芸員の片多祐子によって紹介された。

Photo: Marta Czyżオープングループ(ユリー・ビーリー、パヴロ・コヴァチ、アントン・ヴァルガ) 画像提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

スーザン・チャンチオロの新作や厨川白村も

現段階でアナウンスされている出展作家リストによると、67組のうち日本初出展が30組、新作出展は20組になるそうだ。ファッション分野を超えて広くDIY精神を体現した活動を見せるデザイナー兼アーティスト、スーザン・チャンチオロ(Susan Cianciolo)による新作にも期待したい。

また魯迅との関係からか、大正期に恋愛論ブームを巻き起こした文芸評論家の厨川白村の名前もある。国内においては「恋愛至上主義」のイメージのみが印象強いが、中国語圏においては今なお大きな影響を持つとされる厨川の思想が、芸術祭にどのように取り上げられるのかも気になるところだろう。

画像提供:横浜トリエンナーレメインビジュアル

会期は3⽉15⽇(⾦)〜6⽉9⽇(⽇)で、原則的に木曜日が休場となる。国際展「野草:いま、ここで⽣きてる」のみの鑑賞券のほか、「BankART Life7」と「⻩⾦町バザール2024」のパスポートがセットになったチケットも販売される。なお、18歳以下および高校生以下は無料。横浜市民を対象にした割引チケットもあるので、詳細はオフィシャルサイトから確認してほしい。

Time Out Tokyo Editors

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