自ら小麦を育てるパン屋さん「ブーランジュリー麦星」【福岡県糸島市】
福岡で10年以上パンブログを続け、2020年には城南区別府にパン喫茶をオープンさせた「pantiki」さん。毎日をリープアップしてくれる福岡のパンを、「ひとぱん入魂」の気持ちで1つずつご紹介いただくこちらの連載。60回目の今回は、福岡県糸島市にある、ブーランジュリー麦星(ぶーらんじゅりーむぎぼし)です。
糸島に新しいパン屋さんが誕生!
糸島に、美味しいパン屋さん、出来てます!!
「糸島にパン屋さん、多いですよね?」と言われる方も多いのですが、個人的にはそんなに多いかなぁ?と。
あの土地の広さ、糸島ブランドの人気ぶり、観光客の多さ、にしては、少ないくらいではないかしら、とも思います。
あとは、糸島と言えば絶景ドライブスポット!
たまのドライブで訪れる方にとっては、その日に行ける数軒を絞り込まないといけないので、糸島のパン屋さんを一気にリストアップしたりして。そうすると、わわ!こんなにあるんだー1日じゃ周りきれないよ!となるので、パン屋さん多い印象になるのかもしれないなぁと(^^)
『ブーランジュリー麦星』さんは、そんな糸島に9月9日にオープンされたばかりの新店。
新店にして新星。筆者の糸島パン屋さん巡りには、欠かせない存在になりそう、、、そんな嬉しい予感がしています。
『自ら麦を育てるパン屋さんが出来るらしい』そんな嬉しい噂が、パン好きさんたちの間で囁かれていた。
しかも、*スペルト小麦(古代小麦)とな!?
※「スペルト小麦」とは、現在広く利用されているパン用小麦(普通小麦)の原種にあたる古代穀物です。「スペルト小麦」は遺伝子操作はもとより、人工的な品種改良が殆ど行われていません。古代小麦はもともと強健な植物で、極端な天候異変及び土壌条件に対処することができます。特徴的な厚い皮殻が汚染物質や昆虫から内部の穀粒を守ってくれるため、化学肥料、除草剤、殺虫剤や農薬を殆ど用いることなく栽培することが可能とされています。しかし、現代の小麦の約半分くらいの収穫量となり、生産性が著しく低下してしまうため、作ろうと考える生産者が少ないのも実情です。しかし、その滋味溢れる味わいと、栄養豊富、アレルギー発症しにくい等の健康面でも現在注目されています。
小麦以外も、奇跡のりんごから起こした酵母、お水や卵、あんこに使う小豆、、、etcも、全てにおいてこだわりと優しさが満載の麦星さん。
そのこだわりをここで私が書き尽くすのは無理。中途半端になっちゃいます。
ですので、お店のインスタグラムに書かれている、ひとつひとつの項目を、ぜひ熟読して頂きたいです。
ひとつだけ、私が感じたことを(素人の感想ながらも)申し上げて良いならば、スペルト小麦って「過去、現在、未来を結びつけてくれるような存在なのだなぁ」ということです。
過去からずっと変わらずにあって、今も、そしてこれからも、同じものをその時代の人が作り繋いで、食べ繋いでいく。
いつもよりちょっと「真顔」な感じのコラムになってますね らしくない?苦笑
いや、麦星さんと、その想いがね、眩しくてつい、、、(^^)
では、ここからはいつも通り!オタク目線のパンの実食に参りましょう。
スペルト小麦を使った新感覚のパン
諸事情によりまだ、「自家製」スペルト小麦ではないそうです。九州でのスペルト小麦栽培は、とても難しいそうですね、、、今は長野県のスペルト小麦を使用。
でも、今後自分たちの小麦で作りたいのはこういうパンなんです!と仰っていた『スペルトグラハム100』を購入させて頂きました。
焼き戻すと、カリッとする表面、モロっとする食感は、うんうん、スペルト小麦のパンだよね、と嬉しくなって、にっこりしてしまいます(^^)
と。ここで終わらないのが、こちらのお店のすごいところ!
カリッモロっ、だけではなかった。今まで食べたスペルト小麦のパンとは、、、違った、、、!
薄めのスライスにも関わらず、外皮と内生地との対比に驚く。
カリカリッ、モロっ、からの、
ねっとり、、、
え!?なんか、感覚としてお肉食べてるみたいなんですけど。
香ばしいカリッと感と、ねっとりと、、、
レアに焼かれたステーキ食べてるみたいな。だから「肉汁的」にも感じるのでしょうか、旨みがすごい。
ルヴァン種なのに酸味が無い(これも個人的にめっちゃすごいと思う)、かつ、前述の粉の旨みに溢れていて。
つまりは、甘味というか滋味深さの塊。
この塊を噛み締めるたびに、
滲み出るんですよ、ジュワッて。
スペルト小麦の美味しさって、これなんだ、、、と訴えかけるような、、、たまりません。
今思うと「やや高温で強めの焼き戻し」
これも功を奏していたように思います。
外側がしっかり目に焼かれて、内側はレアというか蒸された感じになっていた。
友人たちに説明するのに「畑のお肉のレバーパテ」という、謎のワードを連呼してしまいました。
でもこれって、結構ゼツミョーな例えだと思う(食べたらわかります!笑)
対して「手混ぜ」というワードが気になった麦星バゲットは、最近食した中では1番軽い?くらいの軽やかさ。これは意外でした。
バゲットサンドにしてちょうど良い位の、カリパリッと弾けるクラスト(外皮)エアリーなクラム(内生地)。無塩バターでいけちゃう、程よい塩梅。
いやはや、スペルトグラハム100は、最近出会ったパンの中でも、1、2を争う衝撃。そんなパンは嬉しくなって、ついつい友人知人に配ってしまいます。
そして、渡した方々もれなく皆様、この出会ったことがない美味しさに驚かれる。
オープン記念に配っていらした、平飼いたまごの美味しさを伝える為の『アイスクリーム』も、驚きの美味しさで、、、
こちらは「平飼い卵の純生アイスクリーム(216円)」として現在お店で販売しているそうです!
あんバターや、他のパンたちも全て、食べてみたい。
『麦星さんのこだわりと情熱』を、余す所なく食べたいと思いました。
そしていつか、ご自身の手で栽培されたスペルト小麦のパンを、食べることができたなら、、、
過去・現在・未来をつなぐパンを焼いて下さる新星、麦星さん。そんなお店ができたことに、心から感謝です。
店舗情報
ブーランジュリー麦星(ぶーらんじゅりーむぎぼし)
住所:〒819-1128 福岡県糸島市篠原東1丁目1−43 [map]
営業時間:8:00〜15:00
※パンが売り切れ次第閉店
定休日:火曜日、水曜日、木曜日
駐車場:あり
Instagram:@boulangerie.mugiboshi
https://www.instagram.com/boulangerie.mugiboshi/