創業から45年、パンを通して山梨の美味しい食と文化を伝える【ベーカリー ルーブル】(山梨県・南アルプス市)
国産小麦100%でパンを作るお店と聞いて伺ったのは「ベーカリー ルーブル」さん。
お店のある山梨県南アルプス市は山梨県の西側、南アルプスの裾野に位置していて、美しい自然に囲まれた地域です。
お祖父様の幸男さん(山梨県出身)が渋谷区で「笹塚丸十製パン」を経営、そこから独立してお父様の崇さんが1980年に山梨県の現在の場所に開いたお店で、今年で創業45年の老舗ベーカリーです。
今回お話を伺った芦沢素征シェフは、お祖父様の代から数えると3代目にあたります。
パン職人として世代を超えて受け継がれる技術と想いが、4代目となる息子さんに現在引き継がれているのでしょう。
以前は外国産の小麦を使っていましたが20年前から徐々に国産小麦に移行。
およそ15年前には国産小麦100%でパンを作るようになりました。
外国産小麦を使っていたときはアレルギーがでたこともあったそうで、私も他のお店のシェフから「国産小麦に変えたら小麦アレルギーが治まった」という話をお聞きしたことがあります。パンの種類は食パンなどの食事パンからバゲットやカンパーニュなどのハード系、さっと食べられる惣菜系や菓子パン系まで幅広いラインナップで、どれを買うかとても迷いました。
『やまなしのおいしい実りを、パンでお伝えしたい』をコンセプトに、山梨県産小麦や地元の野菜や果物を使い、パンのネーミングも山梨を感じられるよう考えられています。
気になったパンを実食
パンのサイドに「Mt.KITADAKE」の文字が彫られています
◆北岳カンパーニュ
国産小麦、北海道・庄司農場さんの全粒ライ麦を3割使用。
北岳は富士山に次いで2番目に高い山であり、その雄大な姿をイメージさせる重厚感とパリッと立ったエッジがかっこいいですね。
濃い焼き色から放たれる、深く香ばしい香りがたまらない一品です。
むっちりとしたクラム、トーストしてバターを塗ることで、珈琲のようなクラストの焼きのほろ苦さをミルキーなバターが優しく包み込みます。
濃厚な味わいが印象に強く残るこのカンパーニュは、バゲット同様レストラン等に好まれて卸している商品なのだそう。
◆櫛形山あんぱん(粒あん)
ふんわりと甘みのある生地に、豆の皮が気にならないさらりとした粒あん入り。
焼き印で標高まで表しているのは、地元への愛情を感じさせますね。
◆ラヴィちゃんぱん
山梨で出土し、国の重要文化財にも指定されている土偶「子宝の女神 ラヴィ」がモチーフのパンです。
ラヴィちゃんの顔に大豆、エゴマ、小豆を使用。これらは縄文時代にも食べられていたとされる食材です。
白あんと甘さ控えめの生地の組合せはさっぱりと食べられます。
山梨を知れて歴史の勉強にもなって、パンから学べるってすごい!
◆クリームパン
ちょっと甘いものが食べたいなというときにぴったりの商品。
自家製カスタードクリームはミルキーさと卵の風味が絶妙なバランスで、どこか懐かしさを感じる味わい。
あんぱんと同じふんわり甘みのある生地が優しくクリームを包み込んでいます。
◆鳳凰(山型食パン)
山梨県の南アルプス北東部にある地蔵岳・観音岳・薬師岳、三山の総称として呼ばれる鳳凰三山をかたどった食パンです。
山梨県産小麦「ゆめかおり」(愛称「かいほのか」)に自家製粉した全粒粉を配合。
噛みしめるほどに甘みが広がります。
クラストは歯切れよく、トーストするとカリカリ、サクサクと小気味いい食感になり、香ばしさが一層引き立ちます。
店内には地元の商品や、体にいい商品を並べたスペースもあり、私のようにパン旅で来る人には自宅へのお土産選びにも使えますね。
素材選びにこだわり、地元の方との繋がりを大切にされている「ベーカリー ルーブル」さん。
お祖父様の代からの懐かしさを感じる商品から、北岳カンパーニュのように味にうるさい方々を唸らせる商品まで、実直さとしなやかさを併せ持つお店でした。
ルーブルさんはNHK『家族に乾杯』で鶴瓶師匠が訪れるなど、メディアに取り上げられることも多く、店頭のベンチには番組出演者のサインがあるのでさりげなくチェックしてみてくださいね。
SHOP INFORMATION
【店名】ベーカリー ルーブル
【住所】山梨県南アルプス市小笠原1654-4
【電話番号】055-284-0252
【営業時間】9:00~19:00
【定休日】日・祝祭日
※写真の商品の種類、価格は、2025年6月現在の情報となります。
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗もしくはSNSなどでご確認ください。