”ジャパン”の名にふさわしい、硬派な5代目スカイライン
ジャパンは改造車ベースとして人気を博したが、それゆえ、多くの個体が後世に残ることなく潰されていった。 そのような状況の中、本個体は奇跡的にサバイブした1台。オリジナルのまま現存すること自体が珍しいジャパン。その凛々しい姿を瞳に焼き付けていただきたい。
丸目四灯を引き継ぎ、正常進化したエクステリア
’77年8月、スカイラインはフルモデルチェンジで5代目に。当時のCMキャッチコピーから「ジャパン」の愛称で親しまれた。
時代背景を反映して先代よりもスクエアなデザインとなり、サーフィンラインはごく浅いプレスラインとなる。それでも先代で採用された丸目四灯のテールランプを継承するなど、「スカイラインらしさ」を随所に残すデザインとなった。
同じくスカイラインの伝統である6気筒搭載のロングノーズモデルはジャパンにもラインナップされ、インジェクション化されたL20型エンジンが搭載された。またモデル末期にはスカイライン史上初となるターボエンジン搭載モデルをラインナップ。ターボエンジンの高性能ぶりを大衆に知らしめることで、R32から始まる第二世代GT-R登場のきっかけとなったといえる。
車両は埼玉県の水上自動車工業が所有する、前期型最終となる’79年式のGT-E・L。この年に行われるマイナーアップデートによって角形異形ヘッドライトとなるため、GTとしては最後の丸目ヘッドライト仕様となる。ジャパンは改造されているケースが多く、オリジナルのまま現存する車両が少ないが、このクルマは純正のスティールホイールを履く、珍しくスタンダードな個体だ。
1979 NISSAN SKYLINE 2000 GT-E・L(HGC211)|前期型最終となる’79年式のGT-E・Lのディテールを詳しく拝見!
エンジンは電子制御インジェクション化されたL20型直列6気筒2000ccを搭載し、130馬力を発生。翌’80年にはターボモデルも登場する。
ダッシュ周りはボディライン同様に直線的でモダンなデザインになった。各メーターは指針が9時の位置からスタートするデザインに統一された。
ステアリングは革巻きの3本スポーク。
タコメーターは6300rpmからレッドゾーン。スピードメーターは自主規制により180km/hスケールとなった。
車両図を使って視覚化されたワーニングランプ。
ステアリングコラム右側にはミラーの鏡面調整用レバーが備わる。
トランスミッションは5速マニュアル。
AM/FM ラジオと8トラックが装着される。
ヒートプレス成型のドアパネル。
リアシートも前席と同様に綺麗な状態を保つ。
ステアリング中央のSマークや、シフトノブのパターン表示は、GTゆえに、ケンメリまでの法則に則ってブルーとなる。
ホイールはセンターキャップ周囲がブラックとなるスティール製の飾りホイール。センターキャップはSマーク。
【SPEC】
●全長:4600mm ●全幅:1625mm ●全高:1390mm ●ホイールベース:2615mm ●車両重量:1190kg ●エンジン形式:L20E型(直列6気筒SOHC) ●総排気量:1998cc ●最高出力:130ps/6000rpm ●最大トルク:17.0kg・m/4000rpm
取材協力:水上自動車工業