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“次世代”の半導体戦争、スタートアップはどう戦う? │ TECHBLITZが選ぶスタートアップ5選

TECHBLITZ

経済産業省の言葉を借りれば、半導体はこのデジタル社会において「安全保障にも直結する戦略技術」。AI半導体や次世代パワー半導体といった成長分野に、米国や欧州、中国、韓国、そして日本などが国を挙げて巨額投資をしている現状は、まさに「次世代の半導体戦争」の真っ只中であることを物語っている。大規模な設備投資や商業化のタイミングなどに目が行きがちだが、AI半導体でNVIDIAの牙城を崩すことを試みるスタートアップや、次世代パワー半導体における新素材開発を進めるスタートアップなど、独自技術やユニークなアイデアを武器に戦うスタートアップにも要注目だ。

※TECHBLITZでは、次世代半導体関連の国内外のスタートアップを独自に調査。記事後半では、中でも注目の5社を紹介します。

<目次>
・AI半導体のスタートアップ
・半導体業界が注目する光I/O技術
・次世代パワー半導体向けの新素材
・TECHBLITZが選ぶ、次世代半導体関連スタートアップ5選
 1. Rebellions.ai(大韓民国)
 2. Ayar Labs(米国)
 3. Falcomm(米国)
・4. CrayoNano(ノルウェー)
 5. Kubos Semiconductors(イギリス)

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AI半導体のスタートアップ

 AI半導体で圧倒的なシェアを誇るNVIDIAの牙城を崩そうと、米国のCerebras Systems(グロック)やSambaNova Systems(サンバノバ・システムズ)、カナダのTenstorrent(テンストレント)などの有力スタートアップは、よりAI向けのタスクに特化した半導体を開発している。

 ここに食い込もうとしている韓国のスタートアップがRebellions.ai(リベリオン)だ。リベリオンは、機械学習向けSoC「ATOM」を開発し、2024年前半に量産化を予定。これとは別に、Samsung Electronicsと次世代AI半導体を開発するためのパートナーシップを締結しており、半導体生産で世界有数のSamsungと国内でエコシステムを構築できる点が強みとなっている。

image: Rebellions.ai

半導体業界が注目する光I/O技術

 AIや機械学習の普及でデータ処理量が飛躍的に増加する中、「光I/O」技術を開発するAyar Labsも業界から注目を集めている。光I/O技術は、データ伝送を銅線などを用いた電気ベースではなく、光の形に変えて行う技術だ。
 
 大規模言語モデル(LLM)のように複数のGPUに分散して計算する場合、ネットワーク間の通信遅延が重大なボトルネックとなるが、光でデータを伝送することでこれを解消することができるという。

 Ayar Labsには、AI半導体で世界的なシェアを誇るNVIDIAや、Intel、米国の半導体製造企業GlobalFoundriesなどが出資。このことからも、半導体業界での注目度の高さがうかがえる。

次世代パワー半導体向けの新素材

 パワー半導体に関しては、これまでの主流な材料だったシリコン(Si)から、より高い性能が期待できる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体へと置き換えが進んでいる。シリコンの電力効率の向上には限界があるため、電子の移動速度が速く、バンドギャップも大きい化合物半導体の開発によって性能向上を図るアプローチだ。

 京都大発スタートアップのFLOSFIAは、シリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)と比べて電力損失の大幅な低減が期待できる、「酸化ガリウム(Ga2O3)」を用いたパワー半導体の開発を進めていることで注目を集めている。同社には、三菱重工業も出資を行なっている。

関連レポート【半導体スタートアップ50選】NVIDIA(エヌビディア)など大手企業との協業事例も紹介

TECHBLITZが選ぶ、次世代半導体関連スタートアップ5選

「次世代」の半導体はエネルギー効率をいかに高めるかが1つの鍵。シリコンベースながら最大理論効率を超えたパワーアンプ半導体チップを開発したスタートアップや、ナノマテリアルとフォトニックデバイス技術を活用してエネルギー効率を高めた深紫外線LED (UV-C LED) 半導体パッケージ部品を開発したスタートアップなど、ユニークなアイデアであふれている。TECHBLITZ編集部が選ぶ、次世代半導体関連のスタートアップ5社はこちら。

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1. Rebellions.ai

Rebellions.aiAIモデルの計算処理を高速化するAIチップ設立年2020年所在地大韓民国 (韓国) ソウル Rebellions.aiは、AIモデルの計算処理を高速化するAIチップを開発。同社はAI向けの高性能チップとして、エッジコンピューティングに適した「ION」およびデータセンターをターゲットにした「ATOM」を展開。2024年1月、シリーズBで$124.0Mを調達。「ATOM」の生産増強 / チップの開発 / 雇用拡大に活用予定。image: Rebellions.ai

2. Ayar Labs

Ayar Labs次世代コンピューターに適した光チップ設立年2015年所在地米国 カリフォルニア州 エメリービル Ayar Labsは、次世代コンピューターに必須と言われる、高速でエネルギー効率にも優れた光ベースのチップを開発。シリコン処理技術により従来の銅を光I/O「チップレット」に置き換えると、データの移動のボトルネックが取り除かれ、チップのアイドル状態がなくなり、コンピューティングの処理速度とエネルギー効率が飛躍的に向上する。image: Ayar Labs

3. Falcomm

Falcomm高効率なパワーアンプ半導体チップ設立年2021年所在地米国 ジョージア州 アトランタ Falcommは、無線通信アプリケーション向けの高効率なシリコンベースのパワーアンプを開発。同社独自のパワーアンプ「Dual-Drive」は、パワーアンプの最大理論効率78.5%超を実現。28GHzでの実際の送信効率は、他の製品が30%前後であるのに対し、同製品は50%以上の効率を達成するという。image: Falcomm

4. CrayoNano

CrayoNanoUV-C LEDテクノロジーによる殺菌ソリューション設立年2012年所在地ノルウェー ​​トロンヘイム CrayoNanoは、ナノ材料とフォトニックデバイス技術を活用した、エネルギー効率の高い深紫外線LED (UV-C LED) 半導体パッケージ部品を開発。同社のCrayoLEDは、設置面積を抑えつつも (3.5 mm x 3.5 mm) 、100mW (350mA) でピーク波長275nmを発することができるUV-C LED半導体部品である。image: CrayoNano

5. Kubos Semiconductors

Kubos Semiconductors緑色を克服したLED発色技術設立年2017年所在地イギリス ケンブリッジ Kubos Semiconductorsは、緑色に対応したLED発光技術を開発。同社のキュービックInGaN / GaN LEDは、量子井戸を横断する電界が無く、量子閉じ込めシュタルク効果 (QCSE) の影響を受けない。そのため青色より長波である緑色以降も効率を保ったまま発光する。image: Kubos Semiconductors

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