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MAYSON’s PARTY、36本に及ぶロングツアーのファイナルも明るく楽しくみんなのためのパーティーに

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MAYSON’s PARTY

『Let’s “GO” MAYSON’s TOUR 2025』2025.10.11(sat)渋谷WWW X

コロナ禍という、ライブハウスにとっての空白時間は、その後のフロアに悪い意味での混沌を残した。コロナ禍以前は“常識”として捉えられていたことが、通用しづらくなってきたのだ。この状況を抜け出すための解決策はそう簡単には生まれない。国内の多くのバンドが苦慮しているところだ。

そんな中で、7人組スカパンクバンドMAYSON’s PARTYは健全なフロアを作り上げているバンドのひとつ。それはこの日の開演前から感じた。会場内はいい具合に賑やかで、客入れBGMとして流れていたハイスタ「MOSH UNDER THE RAINBOW」の下で、数名が輪っかになって肩を組んで楽しそうに回っていた。

MAYSON’s PARTY

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このピースフルな雰囲気づくりに一役買っているのは、MAYSON’s PARTYがライブ会場限定で販売しているラバーバンド。これを身に着けてさえいれば、あなたもMAYSON’s PARTYのファン、つまりCLUB PATISTAの一員として認められるのである。それだけではなく、MAYSON’sからPATISTAに求めるときもあれば、PATISTAからMAYSON’sに求めるときもある。ファンクラブまではいかないこの一見緩いつながりが、バンドとファンの間を強く結びつけているのではないだろうか。

もちろん、MAYSON’sは他のバンドとのつながりも日々強固にしている。この日の対バン相手は打首獄門同好会。彼らもMAYSON’sにシンパシーを感じているバンドのひとつ。彼らは、11月にMAYSON’sを迎えて2マンを行う予定になっている。相思相愛だ。

うまい棒を観客一人一人に配るところからはじまった打首のライブは非常に楽しいものだった。客にスクワットをさせたり、マグロがフロアを飛び交ったり、飛び道具だらけではあったけど、もはや打首のライブにおいては平常運転。それでいてやっぱりスリリングなのは、メタリックなヘヴィサウンドがバンドの根幹にあるからだ。そして、打首の姿勢として非常によかったのは、ガチッとした対バンは初めてと言いつつも、MAYSON’sのライブの性格をよくわかっていたからか、両者ともハッピーという点で親和性が高いからか、はたまた何も考えていなかったか、自分たちの色をしっかり出しつつも、結果的に本日の主役へ見事な橋渡しをしたところだ。言葉にせずとも、両者の友情が透けて見えた。

MAYSON’s PARTY

MAYSON’s PARTY

これ以上ないお膳立てでステージに登場したMAYSON’s PARTYの7人は、最新作『GO』のオープニングナンバー「COUNT DOWN」をSEに登場し、それが終わるやいなやアルバムと同じ流れで「La-La-La」へとなだれ込む。YANOK (Dr./Cho.)とTSUKASA (Ba./Cho.)以外の5人がステージ前方で横一列に並び、SAKI (Tp./Vo.)の「歌えるかー!?」に続いて、フロアが一斉にシンガロング。「今日しかない特別な1日、みんなで楽しんでいこうぜー!」というAYATOMO (Vo./Gt.)の呼びかけは、なんてことないひと言ではあったが、なぜか心に響くものがあった。それは彼の真摯な姿がそう感じさせたんだと思う。

続く「TRY and TRY」では、MOE (Tb.)、PON (T.Sax)、SAKIのホーン隊による、シャープな演奏が冴えていた。いい感じにキレている。このあと、「Super Fly High」「RIDE THIS WAVE」とノンストップで続いていく。この流れは、36本に及ぶツアー中に何度となく繰り返してきたものなんだろう。一挙手一投足に無駄がなく、耳と脳の気持ちいいところに音が刺さってくる。最終日にしてピークを突いてきている感じがする。MAYSON’s PARTYというバンドの肝は、ライブ開始10分弱という短い時間で十分に伝わってきた。ツアー以外にも、今年の夏フェスにおける経験もきっと彼らの糧になっていることだろう。

MAYSON’s PARTY

MAYSON’s PARTY

フロアも、ステージから放たれる熱量を真っ向から受け止めている。「Yummy Yummy」では手を口に見立ててパクパクさせたり、「Apple Orange Banana」では歌詞に合わせて両手でフルーツの形を作ったり、「Let me go」ではフロアが小刻みに揺れるほどのスカダンスをしたり、「Whiskey Boy」ではスクワットをしたり。しかも、バンドに言われてというよりも、能動的に遊んでいる感じがする。どこかのライブハウスで見たことがあるようなシーンはないし、間違いなくMAYSON’s PARTYの現場にしかない空気だ。危険な匂いは一切ない。しかしそれは、馴れ合いということではない。両者の関係性が健全なバランスで保たれている。結成初期から積み重ねてきた、忠誠心の高いPATISTAとの絆はこういったところで見えてくる。それは感動的ですらあった。

こういったフロアが生まれるのは、サウンドによる部分も大きい。エッジの立った演奏だが、攻撃的かと言われるとそうとは言い切れない。バンドの切り込み隊長的な立ち位置にいるのはSAKIだ。突き抜けていくような演奏も、曲によって変化する歌も、キレのある動きも、鋭く耳を突き刺す煽りも、気持ちいいくらい快活で、ジトッとした部分が微塵もない。そして、それをAYATOMOのフロア全体を包み込むような優しさで中和している。このバランスがすごくおもしろい。MIKI (Gt./Vo.)のギターもやたらと前に出てくるのではなく、時にはYANOKやTSUKASAと同じように縁の下の力持ち的な役割に徹している。なおかつ、存在感はしっかりある。パンクロックは攻撃的でなんぼ、みたいなところがあるが、MAYSON’sはそれには当てはまらないし、だからといって弱くもない。芯の強さがある。

MAYSON’s PARTY

MAYSON’s PARTY

ライブを観ていてなんとなく肌で感じていたことを、AYATOMOが終盤のMCで語っていた。MAYSON’s PARTYには「みんなのためにパーティをする」というスローガンがあるという。明るく楽しく、嫌なことがあっても忘れられるような空間を作りたい――話を聞きながら頷くしかなかった。その目標はしっかり達成されているし、今後もさらに熱と力を帯びたものになっていくという確信すらあった。「これからもMAYSON’s PARTYをよろしくお願いします!」と呼びかけたあとにプレイした「ONE」は、より一層力強さを感じさせた。

最後は、来年1月と2月にデジタルシングルをリリースすることと、3月21日に初のワンマンをLIQUIDROOMで開催することを発表した。このあと、彼らは「Daydream Believer」と「Going Home」をプレイしてステージを降りたのだが、これで終わりではなかった。彼らはすぐにホールへと移動し、すでに長蛇の列を作っている観客一人ひとりにワンマンのチケットを手売りし、メンバー全員のサイン入りフライヤーをプレゼントしたのだった。宣伝にSNSが欠かせなくなった今、面と向かっての交流を大事にするMAYSON’s PARTYのやり方は大正解だと思う。音楽はもちろん、こういった姿勢は、バンドをもっと遠くへと連れて行ってくれるだろう。

取材・文=阿刀"DA"大志 撮影="SUGI" Yuya Sugiura

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