「女性アクション映画は、男性の場合ほどゴーサインが出ないんです」シャーリーズ・セロンが苦言、男女で異なるリスク管理
『ワイルド・スピード』シリーズや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2016)『アトミック・ブロンド』(2017)など、数々のアクション映画で主演を張りつづけてきた女優シャーリーズ・セロン。最新作『オールド・ガード2』(2025)がで配信された今、ハリウッドの映画スタジオに対する大きな不満を明らかにした。
それは、女性主人公のアクション映画がいつまでも増えてこないことだ。米のインタビューでは、「(男性のアクション映画よりも)作られにくいことは周知の事実」と語っている。
「女性主役のアクション映画は、男性の場合ほどゴーサインが出ないんです。私が腹を立てているのは、男性が何もせずに有利な立場に置かれていることです。そして、女性主人公の映画がうまくヒットしなかった場合、同じようなチャンスを再び得られるとは限りません。」
『オールド・ガード』(2020)を製作したNetflixは、同作が優れた視聴回数を記録し、作品の評価も高かったことから早々に続編の製作を承認。セロンも「私たちに大きな注目が集まっていたことは自覚していました」という。一方で、映画スタジオは「このようなリスクをあまり冒そうとしない」と指摘した。
たとえばライオンズゲートの場合、もともと『ジョン・ウィック』シリーズとは無関係だったオリジナル脚本を改稿し、アナ・デ・アルマス主演のスピンオフ映画『バレリーナ:The World of John Wick』を製作したという経緯がある。これは独自の女性アクション映画を作ろうとする試みではなく、むしろそのリスクを下げながら既存フランチャイズの拡大をはかるもので、スタジオとしての優先順位は明らかだ。
またスタジオが企画を受け入れるケースが少ないためか、女性アクション映画は配信サービスのオリジナル作品となるケースも多い(『オールド・ガード』もそのひとつだ)。ただでさえ男性主人公より本数が少ないうえ、「劇場ではなく配信で観るもの」というイメージが定着するリスクもあるだろう。
しかし、男性俳優の場合は必ずしもそうではない。セロンは「男性の俳優がヒットしなかったアクション映画に繰り返し出演していても、(スタジオは)何度もリスクを冒しますよね」という。すべての出演作品をヒットに導ける俳優などほとんどいないとしても、課せられているハードルに違いがあるのではないか、というわけだ。
これまでに何度も負傷を経験しながら、何度もアクション映画に挑戦してきたセロン。(MCU)への本格参戦も期待されており、いずれMCUで主演映画が製作される可能性もある。女性アクション映画の最前線を、今後も彼女はひた走ることになるのかもしれない。
「ダンスは好きですが、ダンサーに戻ることはできないでしょう。アクション映画が、私に再び身体で表現するチャンスをくれたんです。自分の身体でストーリーを語る機会を」ともセロンは言っている。
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