Yahoo! JAPAN

「釜石観光ガイド会」発足20周年 震災後の経験を糧にさらなる釜石発信へ

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 釜石市の釜石観光ガイド会(三浦達夫会長、会員27人)は本年3月で発足20周年を迎えた。東日本大震災による被災、橋野鉄鉱山の世界遺産登録、ラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催などで同市への来訪者はこの10年で大幅に増加。同会へのガイド依頼も急増し、歴史、文化、自然、防災と多様な分野での同市発信に会が果たす役割は大きい。会では今後もガイド会員の増強、スキル向上を図りながら、観光振興の一翼を担っていきたい考えだ。

 同会は2002年3月27日発足。前年に市などが開いた「観光ガイド養成講座」の受講者18人で「釜石観光ボランティアガイド会」として立ち上げた(18年に現名称に改称)。観光コースの検討やシナリオづくり、モデルツアーなどを行いながら体制を構築。近代製鉄発祥150周年も好機としてガイドの機会を増やしていった。

タイの大学生らに東日本大震災の被災状況を説明=2014年6月、鵜住居町


 11年の震災以降は被災地視察や復興支援ツアー、防災学習旅行などのガイド対応に奔走。12、13年の受け入れ人数は1万3300人台に達した。13年の「三陸ジオパーク」認定、15年の「橋野鉄鉱山」世界遺産登録、19年のラグビーW杯釜石開催などを追い風に、ガイド需要は好調を維持。震災復興後の本格観光を見据え、会の機能強化を図ろうとした矢先、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落とす。コロナ禍のこの2年は観光客が激減。同会も緊急事態宣言によるガイド活動の休止、団体ツアーの受け入れ減など大きな影響を受けてきた。

コロナ禍で予定を変更し釜石を訪れた県内の修学旅行生を案内=2020年9月、橋野鉄鉱山


 そして迎えた20周年―。会は記念事業として、新たな「観光ガイド資料集」と直近10年間の活動を記録した冊子「平成24(2012)年から10年の歩み」を各70部作成した。資料集は会員のガイド力向上を目的に、釜石観光物産協会の協力を得て編集。全348ページに及ぶ“バイブル”は津波や艦砲射撃、製鉄に代表される同市の歴史、郷土の偉人や文化、自然、イベント、特産品などあらゆる分野を網羅。必要な情報をすぐに取り出せる仕様となっている。10年の歩みは活動状況の写真と略年表で構成した。

20周年記念事業で作成した資料集(右)と直近10年の歩みを記録した冊子


 4月27日、ガイド会の三浦会長、藤原信孝事務局長、観光物産協会の澤田政男会長、和田利男事務局長が市役所を訪問。野田武則市長に20周年を報告するとともに、作成した資料集などを贈呈した。三浦会長は震災後を「激動の10年間だった。被災地の案内を通じて会員個々のスキルも上がった」と振り返り、「今までの蓄積を生かしながら、次の10年を作っていきたい」と決意を示した。

20周年を報告した三浦達夫会長(中央)、藤原信孝事務局長(右から2人目)、観光物産協会・澤田政男会長(右)


 野田市長は20年にわたる会の運営、交流人口拡大への貢献に感謝。「ガイド活動で得られた知見、経験は何事にも代え難い。釜石はオープン・フィールド・ミュージアムとして新しい観光の未来像を掲げる。ガイド会の一層の活躍を期待する」と述べた。

 同ガイド会は依頼を受けてのツアーガイドのほか、橋野鉄鉱山インフォメーションセンターに毎日常駐してのガイド対応、大型連休やSL運行日に合わせたまちなかガイド(釜石駅前発着)など精力的に活動。新人ガイドの養成、会員の研修にも力を入れる。


 三浦会長は釜石が誇る製鉄の歴史を重要視。「世界遺産・橋野鉄鉱山をもっと盛り上げていくべき。積極的にPRする行事、イベントを企画して人を呼び込まなければ先細りしてしまう」と提言し、地元の住民組織、行政と一体となった取り組みを望んだ。

【関連記事】

おすすめの記事