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西村成忠×湯川ひな、広田亮平×黒河内りくにインタビュー! 開幕直前の舞台『BLINK』の見どころ、意気込みとは

SPICE

(左から)西村成忠、湯川ひな、黒河内りく、広田亮平

舞台『BLINK』が2022年6月24日(金)から、あうるすぽっとにて日本初上演される。
 
1977年生まれの英国の劇作家フィル・ポーターによる『BLINK』(瞬き、きらめきの意味)は、二人の登場人物が一風変わったラブストーリーを紡いでいく作品。2012年にロンドンで初演され、大ヒットを記録。日本初演となる今回、はかなく切ない青春を描いた本作にふさわしい、若手演出家・荒井遼と若手俳優4人による上演が実現した。
  
本公演では、西村成忠×湯川ひな広田亮平×黒河内りくのWキャストで上演となる。今回、SPICE編集部では、開幕を目前に控える4人にインタビューをした。

【あらすじ】
世間知らずで一途なジョナ(西村成忠、広田亮平)と、なかなか自分の存在を認められないソフィ(湯川ひな、黒河内りく)。二人は偶然にも同じような人生経験をしている。二人とも最近、親を膵臓がんで亡くしたのだ。自給自足の宗教コミューンで育ったジョナは、コミューンを抜け出し自立しようとする。父を亡くして一人ぼっちになったソフィは、悲しみを吹っ切ろうと父の部屋を改装して貸すことにする。やがてジョナがその部屋に引っ越してくると、二人の“出会わない”奇妙な関係が始まり……やがて惹かれあっていく……。

ーーお稽古の状況はいかがですか。

広田亮平(以下、広田):もうすぐ本番ですけど、やっと感覚が掴めてきたかなと。今までずっと「どうやって喋ろう」とか、お芝居の部分で迷っていたんですが、黒河内さんとのコミュニケーションが増えてきて、お互いの感情や動きを共有するようになってから、二人の場所というか二人のステージになってきたかなという感じがします。あとは本番にならないと。やはり稽古場と本番は違うと思うので、これからかなと思います。

黒河内りく(以下、黒河内):動きと台本がまだまだ変更しています。この後、劇場に入りますが、また変わってくると思うので、ますます気が引き締まる思いというか、頑張りたいなと思っています。
 
湯川ひな(以下、湯川):私たちは(演出の)荒井さんにずっと同じことを言われています。伝え合うとか、つながり合うことが足りないと。同じことを言われ続けているのに、昨日の昨日まで全然できなくて、私もちょっと意地張っちゃって、荒井さんに「どうすればいいんですか」とか言っちゃったんですけど……。
 
二人芝居なので、私たちがつながっていかないと、見せられるものにならないんだということが分かってきて。このタイミングでようやく希望が見えてきた感じです。
 
西村成忠(以下、西村):彼女の言う通りで、困難が目の前にあるんですけど、何に困っているか分からないみたいな状況が続いていました。自分を信じることだけでは不十分で、その場にいる相手を信じるところが抜けて落ちていて、だから相手の話も聞けていない。聞いているつもりになっているところが僕は多かったんですけど、本当の意味で相手とちゃんとつながって、相手のことを聴けるように段々なってきていると思う。
 
ここから絆を深めていくしかないなと思います。自分と相手を信じます。

西村成忠

ーージョナとソフィという役について。どういうところが難しいなと感じていたり、やりがいに感じていたりしますか。
広田:台本をいただいたときから、最近までずっとどうしようと思っていました。ジョナという、人物が全然掴めなくて。もちろん台詞上にある彼の生い立ちだったりとか、農場や宗教のコミューンなど狭い空間で育ってきた彼なりの孤独感とか、そういうものを拾おう拾おうとしていたんですけど、それも自分で表そうとすると、なんだか表面的なことになってしまって。
 
結局は、その場で、自分ひとりで練習したことを無視して、そのときに感じたことをやろうと思うようになっています。

ーーなるほど。ある意味ご自身で作られてきたジョナ像を削ぎ落とすような作業をされているんですかね。
広田:そうですね。例えば、自分では思っていない言い方をしてみたら、そこで新しい発見があるのかもしれないから。今、やっと余計なものが取れて、新しい動きや発見を経て、自分なりの表現が生み出されてきたかなという感じですね。

ーー同じジョナ役の西村さんはどうですか。
 
西村:ジョナという役は、すごく無邪気でピュア、そして素直に相手を愛する気持ちがあるんですけど、それらがずっと僕の中でスタックしていて。相手を慮ることができても、好きな気持ちだからこういう行動になるというのが、どうしても僕は理解できなかった。頭で考えているところでスタックしていたので、そこが一番難しいことだなと思っています。
 
今は、自分の中にあるものではなくて、ちゃんと相手との関係性の中で生まれるものを大切して、やっていく感じです。自分の中にひきこもらない。好きという気持ちを思っているだけでは相手には伝わらないから、ちゃんと口にする。その理解にだいぶ時間がかかりましたね。今も苦労はしているんですけど。
ーーソフィ役の黒河内さんと湯川さんはいかがでしょう。
 
黒河内:ソフィのキャラクターについては、最初に台本を読んだときから、ソフィの孤独感だったり、大切な人を失ったときの喪失感だったり、共感できる部分が多かったので、自分に感情を落とし込むことはそんなに苦ではなかったんです。それよりセリフの多さとか、やることの多さばかりに気を取られて、それが純粋に苦しくて。
でもみんな大変だと言っていたので、すごい大変な芝居なんだなとちょっと安心している自分もいます(笑)。
 
広田:分かるよ。いまだに動き、増えるしね(笑)。
 
黒河内:ちゃんとセリフも入ってきたあたりで、(ペアを組む広田さんと)二人で話し合ったんですけど、やることが多くて、どうしても自分の世界に入ってしまいがちだよね、と。自分ひとりでやろうとしてしまうから、二人のストーリーだから二人でちゃんとやっていこう、と。それをちゃんと意識していけたら、新しい世界が見えるのではないかということで、そこからまた段階が上がった気がしました。
  
湯川:会話になるところが少ないですよね。もともと私は人と交わることが苦手なので、こういう台本の形態だと、余計に閉じこもりがちで。孤独を表すというのは得意な部分だけど、「ジョナを好き」というのを表すことに苦戦しています。

でも、二人で作り上げていくものだから、自分の中に好きを探すというよりは、もっと相手を見ていくことが重要なんだと気づき始めています。

湯川ひな

ーーペアを組む相手を俳優としてどうみていらっしゃるか、ぜひ教えてください。
 
広田:なるべく稽古の最初からコミュニケーションを取ろうと思っていたんですけど、お芝居の面でもメンタル面でも、本当に頼りにしています。帰り際に「今日はこうだったな〜」と反省していると、「大丈夫ですよ、広田さん!」と言ってくれたり、「これからまた良くなるっていうことじゃないですか!」とかね(笑)。とても頼りになる存在です。
  
黒河内:初日の顔合わせのときに、私が勝手にイメージしていたジョナだなと。雰囲気から直感的に思ったんです。「この人とならうまくやれそうだな」と思いました。自分のことで精一杯で、やることが多くて混乱していた私に、(広田さんは)すごく寄り添ってくれて、いつも話しかけてくださって。「これは二人で作る作品だから」と言ってくださった。すごく愛に溢れている方だなと思います。

西村:僕は舞台が初めての経験なので、分からないことが多い中、空回ったり、全然違うことを連発したりして、初歩的なことがなっていないことが多かったんです。自分のやり込みの浅さを恥じることが多かったんですけど、そういうときも、彼女は僕を突き放すことはなく、「こうしてみたら」とかアドバイスをしてくれたり、「帰り一緒に話してみようよ」と提案してくれたり。
 
彼女が積極的に言ってくれたので、僕の方が年上ではあるんですけど、完全に引っ張られていて。ありがとうを言いたいです。僕のつらさがMAXになったときも、彼女と話すと気分が楽になったりして。すごく感謝しています。
 
湯川:(西村さんが)初舞台だからこそ、自分ができることはしなくてはと思って、結構いろいろなことを言ってしまったんです。自分自身で見つけていくこともきっとあるはずなのに、それを待たずに、「もっとこうじゃない?」とか言い過ぎてしまったなと反省しているんですけど、それを素直に「ありがとう、ありがとう」と聞いてくれた。自分のやりすぎちゃうところを反省しながら、彼の素直な気持ちにすごく救われました。すごく素直な方だと思います。

ーー荒井さんの演出についてはいかがでしょうか。 
 
広田:抽象的な表現が多いので、そこに自分がたどり着くまでに苦戦しました。一方、お芝居については、自分に迷いがありながらセリフを喋ったりすると、すぐにバレるんです(笑)。役者の気持ちを大事に見てくださる方だなと思っています。
 
黒河内:いつも「自由にやっていいよ」と言ってくださるんですけど、逆にそれが難しいなと思って。自分の引き出しの少なさを実感したり、力不足だなと感じたりするんですけど、でも逆に捉えれば、感じたものをそのまま出せる、お芝居をすることの喜びみたいなものを感じる瞬間もある。抽象的だからこそ、すごく役者としては良い経験をさせていただいているなという感じがします。

(左から)黒河内りく、広田亮平

西村:稽古の一番最初のころは、言っていることもやっていることも意味が分からなかったので、そこで困惑して。全然違うことをやって、言われて、直してみても、違う。夢に荒井さんが出るぐらい(笑)。遅刻したことはないんですけど、遅刻して怒られた夢を見たりして……これはやばいぞと思ったんですけど(笑)。
 
稽古が進んでいく中で、今まで自分が俳優をやっていたつもりになっていたなと思って。僕が獲得しなきゃいけないものや取りこぼしているものを提示してもらえることがありがたいです。

ーー西村さんは今まで映像を中心にやられてこられましたが、ある意味映像の現場と演劇の現場の違いでもあるんですかね。
西村:そうかもしれません。俳優という職業に対する心向きのところから、軌道を整えてもらっているんだなと今思います。
 
ーーちなみにもう夢には出てこないですか(笑)。
西村:いまのところは(笑)。

ーー湯川さんは荒井さんの演出についてはいかがですか。

湯川:演出面もですが、演技ということにおいてすごく粘り強くて。感情的にならず、私たちを萎縮させないように、でもきちんと本当のことを言ってくださる。全然理解できていないし、意地を張っちゃうような私にずっと言い続けてくださっています。諦めないで、どうやったら伝わるだろうと、ここまで向き合ってくださる方と出会えて、すごくありがたいです。
 
ーー改めて作品の魅力は何だと思いますか。ストーリーでも、演出面でも、皆さんが感じていらっしゃるところは。
  
広田:ほぼト書きがなく、ずっとふたりのセリフが続く台本なんです。だからこそ自分の個性が一番出やすい作品なのかなと思っていて。僕は何が自分らしさなのかをずっと考えてきたので、そこを皆さんに見ていただいて、評価してもらい、新たな自分を発見していきたいなと思っています。

ただの会話劇ではなくて、お互いがそれぞれ自分のことを喋り続けている。そこがお客さんにどう伝わるのか不安ももちろんありますけど、こちらが何かを提示するというよりは、ステージ上で生きている僕らを見て、お客さんに自由に感じて楽しんでいただけると嬉しいです。

広田亮平 

黒河内:(広田さんと)似ているかもしれないんですけど、抽象的な動きとセリフが多いんですね。例えば「悲しみを乗り越えることは、他の何かを乗り越えることと変わらない」とか。頭から最後までのひとつずつ、「どうしてこれを言うのか」と考えて、表現しているので、それを感じていただいたら、嬉しいなと思います。
人によって解釈の仕方も違うと思いますし、それもこの作品の面白いところだなと。若い人たちの青春みたいなものを感じて、いろいろ思い出していただいたり、共感していただいたりしたら嬉しいなと思います。
 
西村:何度も言いますが、僕にとっての初舞台で、新しいことに挑戦する気持ちです。それは主人公のジョナも被るところがあって。新しい環境に行って、その環境に行ったからこそ芽生える孤独だったり、愛だったりを感じる。僕も日々発見だし、驚きがある。新しいことに飛び込むことは、大変なこともあるけど、楽しいことなんだよということが、観にきてくださっている方に最後に伝わると嬉しいです。

湯川:まず物語としてすごく好きです。あと稽古が進むにつれて考えたことは、荒井さんに言われたことがたくさんあって、それは私にとって苦手なことへの挑戦だったんですが、荒井さんの言葉を信じて、それに挑戦することを全力で頑張ってみたいなと思っています。今まで私の作品を見てくださった方たちとか、周りの人たちなど、私をよく知っている人たちに、その変化を見せられるようなものにしたいなと思っています。

ーー荒井さんに言われたことというのは、相手を信じるということですか。
湯川:そうですね。それからオープンマインドになること。自分の踏み込まれたくない領域を決めていて、そこに相手を入れないようにしているところがあるので、とにかく自分が思ったことを発散して、素直に出すということをやっていきたいです。
 
ーー作品から一歩離れて、皆さんが俳優として、こんな作品をやってみたい/こんな役をやってみたいという希望や夢を教えてください。
 
広田:僕は子役からやっていて、素朴な役が多かったんです。でも最近では、僕自身あまり自覚していない僕らしさを拾ってくださり、このジョナのような個性的な役をやらせていただく機会が少しずつ増えていって。それが楽しいんです。今はとにかく自分の幅を広げていきたいと思っているので、そんな時期にこのような役をいただけたのはすごくありがたくて。これからもいろんな役に挑戦させていただきたいです。
ーーそれは舞台、映像どちらでもですか。
広田:今まで映像ばかりやってきました。舞台経験は少ないですが、舞台の上で、その役として生きている時間がとても楽しいと思えるので、これからいろいろな舞台にも挑戦してみたいですね。
ーー黒河内さん、いかがですか。
 
黒河内:まさに今、毎日考えていたことなんですけど、私にとって必要なことは、妥協せずに思うままにやりたいことをやれれば、それで幸せなんです。もっといろんな刺激を受けられるように、作品に出たりとか、いろいろな人に出会ったり。つまり、別に俳優じゃなくても良くて。ひとりの表現者として、枠にとらわれずにいろいろなことをやりたいなと思っている感じです。

黒河内りく 

ーー憧れていらっしゃる方などは?
黒河内:人物像とかはなくて、自分が自分であれればいいと思うので、そこは自由にやろうと思っています。

ーー西村さん、湯川さんはいかがですか?
 
西村:映像だと、メガネをかけた優等生の役だったんです。優等生なわけではないんですけど、自己主張が激しいわけではない役が、素の自分に近かった。なので何の違和感もなくやれていたんですけど、今回は、僕に中にないものだったり、僕の奥底に眠っているものが多かったりしたので、新しい発見をできて、すごくいい体験になっているなと思います。
今後挑戦したみたいのは、ナイーブに心の奥に行きがちな僕ではなくて、もっとオープンで活発的な役をやってみたいなと今では思います。この作品の制作に入る前までは、自分ができる範囲をすごく狭めていた。やれるかどうかは未知数ではありますが、自分の選択肢を増やせる役に挑戦したいなと思います。舞台もまたやりたいです。奥深いところまでまだまだ潜っていきたいなという思いが芽生えたところですね。
 
湯川:子どもの役をやってみたいです。子どもを観察するのが好きなので、見たことを真似して表現してみたい。あとは、大人しい役が多かったので、活発で強い面も見せられるような、例えばスポーツ女子とかやってみたいなと思います。私が好きな役者さんはどんな役であっても、イメージが定まっていないのが魅力的だなと思って。そういうのを出してみたいなと思ったからです。

(左から)湯川ひな、西村成忠

ーー最後にお客様に一言お願いします!
 
広田:(西村さんと湯川さんの)二人の稽古を見ていると、僕たちとは違うところもあれば、共有できているところもあって、その違いはダブルキャストならではの面白さだと感じました。

チケット1枚で2名ご覧になれるので、たくさんの方に観に来ていただきたいですし、演劇にあまり触れてこなかった方も気軽に誘って、劇場に足を運んでいただけると嬉しいですね。
 
黒河内:二人芝居と聞くと、1時間以上の作品をどうやって場を持たせるのかなと、私自身も第一印象としてイメージが湧かなかったんですけど、ひとりで何役もやったりとか、すごくいろんな機械を使って表現したりとか、すごく面白いことをやっていると思うし、それが伝わるように努力しているので、本当に気軽に観にきてくださったら嬉しいなと思います。
 
湯川:全然難しい物語ではないので、もちろん普通の演劇とは違うことに取り組んでいるとは思うのですが、考えず感覚で見ることもできるような作品。私たちはこの世界に引き込めるようにすごく努力するので、パッと、本当に気軽に来ていただきたいです。二人芝居とはいえ、何役かやるので、そこも楽しんでいただきたいなと思います。
 
本当に対照的なチームなんですよ。同じ台本をやっているのに、全然違う。感じ方が違うと思うので、ぜひ見比べていただきたいですね。
 
西村:湯川さんが言う通り、チームごとに全然色が違うので、その差を楽しんでもらえると思います。僕にとっての原点になる舞台作品ですが、楽しい経験になれるように頑張ってます。使う小道具もすごく拘っているので、舞台で使う映像の機械は僕の世代でも1回か2回ぐらいしか見たことがなくて、珍しいと思うんです。そういう部分でも面白いかなと思います。いろんな楽しいを見つける舞台になっていると思いますので、ぜひ観に来てください。
それぞれのチームを2回ずつ観にきていただければ! より発見があるのではないかなと思います!

(上段左から)西村成忠、広田亮平(下段左から)湯川ひな、黒河内りく

取材・文=五月女菜穂   撮影=荒川 潤

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