捉えるのが難しかった林と江間の独特な空気感。本編を振り返る!TVアニメ『夢中さ、きみに。』林美良役・小野賢章さん&江間譲二役・内山昂輝さん 対談インタビュー
累計60万部を突破し、2021年にTBSにて大西流星さん(なにわ男子)・高橋文哉さん出演でドラマ化した漫画家・和山やま先生の人気作品『夢中さ、きみに。』のTVアニメが現在全話配信中!
本作は中学一貫の男子校に通う江間譲二が風変わりなクラスメート・林美良から変な絡まれ方をされるようになったり、共学高校に通う目高優一が不気味キャラ・二階堂明と交流を持つようになったりする思春期ならではの人間模様が織りなすオムニバス・ストーリーです。
今回アニメイトタイムズ では、林美良役・小野賢章さんと江間譲二役・内山昂輝さんの対談インタビューを実施。本作の魅力や見どころを語っていただきました。
【写真】TVアニメ『夢中さ、きみに。』小野賢章&内山昂輝 対談インタビュー
スタッフのこだわりが伝わるアフレコ現場
──最初に、原作漫画もしくは台本を読まれたときの感想をお聞かせください。
林美良役・小野賢章さん(以下、小野):アニメ化される前、二階堂明役として朗読劇をやらせていただいたことがありまして、そのときにシュールな笑いのある独特な雰囲気をすごく感じました。僕もシュールな笑いが好きなので波長が合うというか、原作漫画を読んでとても心地よかったのを覚えています。
──今回のアニメ化では朗読劇とまた違った役柄で、新鮮さを感じるのではないでしょうか。
小野:そうですね。僕は朗読劇のご縁から今回のお話をいただけたのかなと思っていましたが、まったく関係なかったようで、今度は林美良として作品に関われることが嬉しいです。
江間譲二役・内山昂輝さん(以下、内山):原作を読んでみて結構独特な作品でしたので、どんなアニメになるのか想像できなかったのが第一印象でした。
江間の声を演らせていただくという目線で読んでみても、いろんな会話やセリフをどう表現すればこの作品にハマるのか、どうすれば面白くなっていくのか、他の原作漫画よりも想像するのが難しかったです。
──独特な作品とおっしゃるように、お二人が演じる林と江間も個性的なキャラクターです。
小野:林はやっぱり、結構つかみづらいキャラクターに感じたのが第一印象です。表情もそんなに豊かなほうではなく、ずっと同じテンションでよくわからないことを言っているので(笑)。
どういうことを考えて言っているのか、むしろ何も考えていないのかなと自分で判断しづらかったので、アフレコの中でスタッフさんたちと話し合いを重ねながら決めていこうと思っていました。
──具体的にどのようなことを話し合ったのでしょうか?
小野:キャラクターの全体的な雰囲気などを話し合いました。林は人たらしというか、江間くんを手のひらの上で転がしている感じがあるので、特に“「僕がかわいかった?」と江間くんに聞くシーンはそういう感じが出てくると良いかもね”と言われたときに、自分の中ですごくしっくりときたんです。
表情は割と無表情に近いところはありますが、その中でも江間くんをからかうような、そういう部分をお芝居で出せたら良いなと思いました。
──小野さんボイスによる林の「僕がかわいかった?」というセリフが楽しみです。
小野:そういうセリフが結構たくさんあるので悩みました。林は一風変わったキャラクターですが、鬱陶しくならないようにしたいなと思っていて。その時々の捉え方で少しずつ変化を出していけたら良いなと思いながら演じました。
──内山さんは江間を演じるあたり、どのようなキャラクターだと思われましたか?
内山:最初、江間の表情やキャラクターデザインを見て、自分が演じるという意味では意外な面を感じました。
彼が家で前髪をおろしているシーンでは雰囲気や印象もまた変わっていて、いろんな顔を見せてくれるキャラクターなんだなと。良い人そうでニュートラルな感じの雰囲気もあるので、アフレコでどう表現していくべきか迷った部分もありました。
林くんは謎で不思議なキャラクター性をしていますが、江間も江間でつかみどころがないキャラクターだと感じます。
──そんな林と江間のローテンポなやり取りが本作の魅力でもありますが、2人の会話やシーンで好きなところがありましたら教えてください。
小野:林がパンダの着ぐるみで江間くんの家を訪ねるシーンが好きです。林が笑うんですけど着ぐるみ姿なので笑顔が見えなくて。どんな顔で笑っているんだろうと江間くんが気になるシーンは林の魅力がすごく詰まっていると思いました。
ずっと変なことを考えてやっているなかで、林自身はすごく楽しんでやっていたんだなとわかるとても好きなシーンです。
──あのシーンはパンダの着ぐるみをとりたくなるほど林の顔が気になりますよね。
小野:そうなんです(笑)。林のかわいいが詰まっているシーンなので、スタッフさんからも強いこだわりを感じるほど何パターンか録りました。
このシーンは特に、スタッフさん同士でかなり話し合っていた印象があります。
──内山さんは印象に残っている林と江間のシーンはありますか?
内山:謎の行動を見せる林くんに江間がなんでそんな無駄なことをするんだと尋ねたら、無駄だから良いんだと返すシーンです。林くんはなんでそんなに達観しているんだと(笑)。
小野:(笑)。
内山:大人になってからではなく、高校生の頃にそう思いながら行動しているところが不思議な人だなぁと印象に残っているシーンです。
──お二人は高校生の頃、林のように達観していました?
小野・内山:(首を傾げながら)いやぁ〜……。
一同:(笑)。
小野:(林の謎の行動を)思いつきもしなかったなぁ。
内山:考えてやっているのが謎だよね。
小野:うんうん。そもそも無駄なことをやっていると林自身は思っていないのがすごいよね。
原作漫画との違いが楽しめるシーンも
──第1話は林と江間が交流するきっかけとなった体育祭から始まりました。印象に残っているシーンやアフレコでの思い出をお聞かせください。
小野:アフレコはほぼ2人だったので、かなり時間をかけて丁寧に進めた印象があります。しかし、なんで体育祭の林はあんな変な絡まり方をしているんだろう(笑)。
内山:(笑)。
小野:ああいうちょっとしたボケが所々に挟まっているのは、和山先生のセンスを感じる部分だと思います。
あと、今しかできないからと階段の数を全力で数えているところも印象に残っているシーンです。時間がある学生らしさをすごく感じて、大人のほうが刺さりそうなセリフなんじゃないかなと。
他にも、林が「クマと遭遇したら」という本を読んでいるシーンは、アニメではかなり話が広がっているので原作との違いも楽しんでもらえると思います。
そういえば、この前SNSでふと見かけたんですけど、クマの初手は左手が多いらしいです。
内山:どういうこと?(笑)。
一同:(笑)。
──内山さんは本編を振り返ってみていかがですか?
内山:初回のアフレコはキャラクターをどういう風に作っていくかというところで、時間がかかりました。最初、僕が原作を読んで受けた印象で演じていたら、テストの段階でストップがかかったんです。
“今のだと表現が浅く感じられるから、もうちょっと違う雰囲気でもう1回最初からやろう”と。そういう風に時間をかけたり、いろいろと雰囲気を変えて試したりと、まずはキャラクターを固めていくということに時間をかけました。
テストを受けて演出していただいたことを目指して本番に入るんですが、江間のセリフにはいろいろな表現や言い方があるんだなと感じました。いろいろなニュアンスが自分の中から出てきて、そこがこの作品の個性かなと思いました。
──風変わりなクラスメート・林から変な絡まれ方をされるようになる江間にちなみ、ご自身が経験した“風変わりな人”とのエピソードがありましたら教えてください。
小野:本当に体がしんどいなと思ったときに鍼灸やカイロプラクティックを受けに行くんですけど、そこの先生が結構クセの強い人で。1年半ぶりに行って診てもらったら体が結構ボロボロで、「ヤバいときにだけ来て、そんなんじゃ治らないよ!」と普通に怒られました。
小野:すいませんっ!とすぐに謝りましたけど(笑)。
内山:口が効いている先生なんだね。
小野:そうそう。それで、喉のほうに置き鍼を貼ってもらったんです。4日間ぐらいつけておいてねと言われて、まさに今日の朝その置き鍼を取ったら思っていた以上に長い鍼が自分の首にささっていました。
(うめき声を上げる内山さん)
小野:こんな長い鍼を4日間さしていたんだと思うと怖かったです。
内山:それはすごいね……。僕は結構面倒くさがり屋なので、そういう場所へ通うどころかあまり行かないんですけど、今年からマッサージガンを導入して1人でひたすら体をほぐしています。
小野:あはははは(笑)。
──最後になりますが、本編の見どころを教えてください。
小野:1話は林と江間くんの会話がメインでしたが、2話以降は個性的なキャラクターたちがどんどん出てきます。原作を読んでいる方はご存知だと思いますが、いろんな出来事が繋がってくる面白さが和山先生の作品の魅力です。何気なく通り過ぎていたあのシーンがもしかしたら繋がっているのかも……!と、以降も見逃さずに見ていただきたいなと思います。
内山:賢章くんも言っているように、新たなキャラクターが登場してまた違ったエピソードが展開されます。各話で焦点が当たるキャラクターが変わり、そのキャラクターたちとの交流で謎の人物として現れた林くんの新たな一面が明かされるので、毎回新鮮な気持ちで楽しんでいただければと思います。
──ありがとうございました!