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【鉄道の日】元JR車掌がぶっちゃけ回答!鉄オタは就職できないって本当?撮り鉄マナー実際どう思ってる?

特選街web

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毎年10月14日は「鉄道の日」って知ってましたか? 1872年10月14日、新橋~横浜間に日本で最初の鉄道が開通したことを受けて、国が定めたものです。近年、鉄オタ(鉄道ファン)とくに「撮り鉄」の撮影マナーに関して、さまざまなトラブルがメディアで取りあげられています。実際、車掌は鉄道ファンをどう思っているのか。加えて「列車と電車の違いについて」「鉄オタは鉄道会社に就職できないって噂、本当?」といった素朴な疑問を、書籍『車掌出てこい! 英語車掌が打ち明ける 本当にあった鉄道クレーム』(マキノ出版)の著者、関大地さんにインタビューしました。

回答者のプロフィール

関 大地(せき・だいち)

1984年群馬県生まれ。2002年、JR東日本に新幹線の保線社員として入社。2007年、高崎線の車掌となり、後に英語アナウンスを導入、「英語車掌」と呼ばれるようになる。2019年JR東日本退社。同年、群馬県中之条町より、「花と湯の町なかのじょうPR大使」を委嘱される。著書には『車内アナウンスに革命を起こした「英語車掌」の英語勉強法』(ベレ出版)、『乗務員室からみたJR 英語車掌の本当にあった鉃道打ち明け話』(ユサブル)などがある。
[▼英語車掌ドットコム](公式サイト)
[▼英語車掌 SEKIDAI](Twitter)
[▼英語車掌SEKIDAIチャンネル](YouTube)

本稿は『車掌出てこい! 英語車掌が打ち明ける 本当にあった鉄道クレーム』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

英語車掌に突撃インタビュー

車掌さんは「鉄道ファン」のことをどう思っているのですか?

僕は、車掌をしていた当時「鉄道ファン」に対して特別な感情を抱いたことはありませんでしたし、今でもその気持ちは変わっていません。

他の鉄道員はどう思うかわかりませんが、僕とすると鉄道ファンに対して「好き」とか「嫌い」とかそういう特別な感情もありません。ビジネスマンや旅行者と同じで〝鉄道利用者の一人〟です。

このことについては他の著書にも書いていますし、公のところでもいっています。
例えば、僕の好きなサッカーでいうと、世界のトッププレーヤーのクリスティアーノ・ロナウド選手やリオネル・メッシ選手が目の前に現れたら僕は120%興奮しますし、できることなら一緒に写真を撮ってもらえないか、交渉するでしょう(笑)。

同様に、鉄道ファンは鉄道が好きなのですから、珍しい列車が走ればそれを写真に収めたい人がいるのは当然のことです。個人の好みに僕が口をはさむ立場でもありません。

よく「鉄道ファンが電車を止めた」などとニュースになることがありますが、どう思いますか?

確かに、駅や沿線で列車や車両を撮影している人が、列車を止めてしまったという事象や、いわゆる「縄張り争い」で暴力事件にまで発展してしまった事象が度々報道されていますね。そういうニュースを観る度に心が痛くなります。

僕が車掌として乗務しているときも、他の乗客の方から「マナーの悪い人がいる」と申告を受けて対応したケースもありましたし、僕自身が直接鉄道ファンに話し掛けたこともあります。しかし、それは列車の安全運行上問題がある場合と、他の乗客の方に迷惑を掛けている場合のみです。これは、鉄道ファンだけ目の敵にしているわけではありません。

ただ一ついえることは、良い写真を撮りたいからといって、線路に入ってしまい、結果的に列車を止めたり、他人の私有地に無断で入ったりしてトラブルが起こるのは、とても悲しいことだと思います。結果的に、そういうことが一度起こってしまうと規制線などが張られるようになり、二度とその場所から撮影できなくなってしまいます。鉄道の写真を撮りたいのにそれでは本末転倒ですよね。

今までに直接鉄道ファンの撮影などに関して注意したことはありますか?

はい。僕が直接声を掛けさせてもらったケースは、とある駅のホーム上にカメラを抱えた数十人の鉄道ファンがいたときのことです。黄色い点字ブロックの外側に出ていたり、三脚を使ってはいけないとされているところでの撮影でした。

そもそも、写真撮影はホームの端で行うことが多いのですが、車掌のいる最後部車両が停車する位置と重なることもあります。車掌は、駅に着くと発車ベルを鳴らして発車させるわけです。

あるとき、あまりにもたくさんの鉄道ファンがいて、発車ベルまで辿り着けないことがありました。これはさすがに、業務に支障が出るので、指摘したことがあります。
イベント列車などの臨時列車が走行するときは、鉄道員も本当に気を使って安全確認をしています。やはり、夢中になっていると事故は起こりやすいですから。

もしも、撮影中に「鉄道員に怒られた」のであれば、「怒られなかったら、事故が起こっていたかもしれない」と、頭の中で変換することが大切です。
一つしかない命を大切にしましょう。

本稿は[『車掌出てこい! 英語車掌が打ち明ける 本当にあった鉄道クレーム』](マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

鉄道ファンは鉄道会社に入社できないって本当ですか?

そんな噂が流れているんですね(笑)。この問題については、僕も人事担当になったことはありませんから何ともいえませんけど、恐らくガセだと思います。

僕が所属していた職場にも鉄道ファンはいましたし、鉄道の学校を出て就職した人もいました。しかし、全体の数から見ると少数ですね。JR東日本の場合、鉄道関連の学校を出て入社した人は、全体の1割にも満たないと思います。

確かに、「仕事と趣味を混合させると良くない」という人もいますが、結局は気持ちの問題だと思いますけれどね。
だってそうじゃないですか?「鉄道はあまり好きではありません」とか「興味ありません」という人より、「鉄道が好きです! 一生懸命働きます!」という、やる気のある人を普通採用したいと思いますけれどね。

ですから、鉄道ファンの人は出回っている噂を気にせずに夢を追い続けてください。応援しています!

駅や列車内のコンセントを使っている人がいますが、いけないことですよね?

確かに、勝手に列車内や駅のコンセントを使ってスマホやパソコン、カメラなどを充電している人はいますね。最近では、新幹線や特急列車をはじめとして、コンセントを自由に使える車両も増えてきましたが、「乗客の使用を想定していない」ものを勝手に使ったりすれば、もちろん注意させていただきました。

具体的にいえば、高崎線のE231系やE233系の車内にある「業務用コンセント」の使用が該当します。これは、列車の清掃時に掃除機などを使ったりするために設置されているもので、普段は簡単に使えないように蓋までされています。それを開けて使っている人も、結構見受けられます。なかにはひどいことに、その充電している光景を見られないように、バッグなどで隠して使用している人もいるのです。

列車はご存じの通り、架線からパンタグラフを伝って電力を供給されているわけですから、家庭用の電力のように電圧が安定していません。急ブレーキをかけた瞬間に、充電していた電子機器が壊れる可能性すらあります。バレないと思って使用している人もいるのですが、やっぱり「使ってはいけない」といっているのには意味があるのです。

さっきからずっと「列車」とおっしゃっていますが「電車」ではないのですか?

あ、そういえばそうですね(笑)。僕はこういうところで鉄道の話をさせてもらうときは、全て「列車」という表現を使っています。

都心で生活している人は電気で走る「電車」を見ることが多いと思いますが、ディーゼルで走る「気動車」も、貨物列車のように動力が付いていない貨車を引っ張るものもあります。
ほら、今も「貨物電車」とはいわず「貨物列車」といいましたよね?(笑)

ちょっと難しいかもしれませんが、「列車」とは列車番号を付与されて営業線上を走るものをいいます。そうなると、山手線でも京浜東北線でも、湘南新宿ラインもみんな「列車」です。
ちなみに、1両だけのものは「車両」といいます。ですので、僕が鉄道の総体的な話をするときは基本的に「列車」という表現を使っています。

たまに口の悪い駅員さんがいるのですが、どう思いますか?

どう思いますか? ですか(笑)。難しい質問ですね。人それぞれ性格がありますから、何ともいいにくいですが、僕もたまにホームで声を荒げたこともありましたよ(笑)。
こんな例がありました。両耳にイヤホンを装着しながら、ホーム端を歩く20歳代の男性がいたのですが、列車が駅に進入していることに全く気付いていなかったのです。一歩間違えたら、列車と接触して人身事故になりかねない危険な状況でした。

そのときは、列車を緊急停止させる非常停止ボタンも近くになかったので、とっさに「お客さん‼ 危ないから下がって‼」と叫んで腕を引っ張りましたね。
こんな危険が迫っているときに「お客さま、危ないのでお下がりください」などと優しい口調でいっても、相手には全く伝わりませんから。

もちろん、「なんだ? その口の利き方は⁉」などといわれましたら、「とっさのことでしたので申し訳ありませんでした」といえばいいのです。
命には代えられませんから。

◇◇◇◇◇

なお、本稿は書籍[『車掌出てこい! 英語車掌が打ち明ける 本当にあった鉄道クレーム』](マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。176ページにおよぶ本書は、さまざまな事例をもとに、これから鉄道員を目指す人、あるいは社会人になる人に必要な「クレーム対応」のエッセンスが詰め込まれています。本書を読み終わるころには「この本は様々なトラブルを抑える『人間関係の戦略本だ!』」と思っていただけるでしょう。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

※④「[このケースは黙るが勝ち あの人をどうにかしてください!]」の記事もご覧ください。

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