中高齢の犬が『咳き込むとき』は絶対に放置NG 考えられる4つの原因や症状、病院に連れて行くべき目安とは
中高齢の犬が咳き込むときに考えられる原因
愛犬が咳き込むときは、「どのような咳であるか」を必ずチェックしましょう。
特に咳き込む時間帯やタイミングはあるでしょうか。たとえば、早朝や深夜、興奮したとき、安静にしているとき、お散歩の後、1日中ずっと咳をしているなど…。
どのような咳をしていますか。「カハッ」と1回だけ、「ケッケッ」と繰り返す、発作的に短く、1分ほど続く、苦しそうにする、咳が止んだら元気にしているなど…。
心苦しいかもしれませんが、愛犬が咳き込むときは、スマートフォンで動画を撮りましょう。動物病院で獣医師の診察を受けるときに役立ちます。
中高齢になると、咳をする様子がよく見られるようになることがあります。中高齢の犬が咳き込むときに考えられる原因を解説しますので、動物病院へ行く必要があるか、緊急性があるかなど見極めましょう。
1.気管支が弱っている
中高齢の犬が「冬の朝にだけ」咳き込むときに考えられる原因は、気管支が弱っていることです。
冷たい空気を吸い込んだことで刺激を受け、咳き込んでしまうのではないか、と考えることができます。
それほど大きな咳ではありません。苦しい様子も見られないかと思います。かるめの「ケッケッ」という咳が出ることがあります。
2.喉頭麻痺
中高齢の「大型犬」が咳き込むとき、喉頭麻痺を患っているのではないか、と考えることができます。
喉頭の軟骨や筋肉や神経に異常が起こり、喉が正常に機能しなくなる疾患です。次のような症状が見られることがあります。
✔咳
✔呼吸困難
✔チアノーゼ
✔失神
大型犬が喉頭麻痺になりやすいのは、10歳前後であるとされています。
喉が正常に機能せず、食べ物が気管へ流れ込むことで、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。苦しそうな咳をするときは、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
3.気管虚脱
中高齢の「小型犬」が咳き込むとき、気管虚脱を患っているのではないか、と考えることができます。
気管は、鼻・口・肺を繋いでいる空気の通り道です。正常であれば、丸い筒のような形を保っているのですが、何等かの原因で潰れてしまった状態を「気管虚脱」と言います。
「それは遺伝なのでは?」と言われることもありますが、多くは、吠えすぎ・肥満・圧迫などが原因であるとされ、高温多湿が原因なのではないかとも言われています。
✔苦しそうに咳き込む
✔「ガーガー」という咳をする
このような症状があるときは、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
4.心臓病
中高齢の犬が咳き込むとき、心臓病を患っているのではないか、と考えることができます。
心臓病は、犬の死亡原因の上位です。寿命が延びた分、中高齢という年齢に伴う病気が増えたということが考えられます。
中高齢の犬に最も多い心臓病は「僧帽弁閉鎖不全症」です。左にある左心房と左心室の間にある弁が正常に働かなくなってしまう病気です。
愛犬が咳き込むときは、安静時の呼吸数を数えてみましょう。リラックスしているとき、1分間に胸が膨らむ回数を数えます。
小型犬は、20回以下で正常、30回で多め、40回以上で異常だと判断することができます。大型犬は、15回以下で正常、30回で多め、40回以上で異常だと判断することができます。
愛犬の呼吸数が多めまたは異常だと判断するときは、動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
中高齢の犬が咳き込むときに考えられる原因を4つ解説しました。
✔気管支が弱っている
✔喉頭麻痺
✔気管虚脱
✔心臓病
犬の咳の原因は、喉にあるとは限りません。苦しそうに咳き込むときは、肺炎や肺水腫など、命にも関わる症状や病気の可能性が高いです。処置が遅れると死に至ることもあるため、すぐに動物病院へ行きましょう。
「夜間で診てもらえる動物病院が見つからない」などということがないように、愛犬の咳が少しでも気になるときは、早めの検査を受けることをおすすめします。
(獣医師監修:寺脇寛子)