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2つの事件をめぐるサスペンス群像劇、舞台『帝都残響 天鈿女は微笑まない』ゲネプロレポート

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『帝都残響 天鈿女は微笑まない』ゲネプロより

舞台『帝都残響 天鈿女は微笑まない』が2026年2月11日(水)、東京・あうるすぽっとにて開幕した。演劇プロジェクト“アメツチ”による新作公演。初日直前に行われたゲネプロの模様をレポートする。

「幻調乱歩4」演出の扇田賢と「幻調乱歩2」の脚本の鈴木祐輔のコンビが描く、戦後の東京を舞台にした群像ポップクライムサスペンス演劇。実在する事件の模倣事件解決に挑む男たちの生き様を描いたオリジナルストーリーが描かれる。

物語の舞台は、第二次世界大戦後の昭和25年。前向きに復興へ取り組む者、いまだに敗戦を受け入れられない者……戦後の混乱が続くなか、東京では痛ましい事件が頻発していた。

刑事の節見(松井勇歩)とバディの勇崎(黒木文貴)は、多数の犠牲者が発生した強盗事件の現場へ。犯行には強力な毒薬が使用されており、現場には謎の御守りが残されていた。熱心な新人刑事・島谷(前嶋曜)も加わり、唯一の生存者である清水(千広真弓)の協力を得ながら捜査を進めていく。

同じ頃、連続失踪事件が発生していた。何でも屋の那智(氏家蓮)、新聞記者の長正(阿部快征)は裏社会を牛耳る闇金業の堂島(橋本全一)の依頼を受け、事件について情報収集を開始する。

節見と勇崎、那智と長正——4人は古くからの友人関係にあった。毒殺強盗事件と連続失踪事件について、互いに協力しながら有益な情報をすり合わせていく。だが、長らく行方をくらませていた那智は、他の3人に対して距離を置いており……。

やがて、新興宗教団体の関与が浮上。さらにGHQから派遣されたジョセフ(磯野大)が捜査協力に加わったことで、2つの事件の裏にある巨大な思惑が浮き彫りになっていく。財閥の解体後に政治家として再出発を図る朽縄(高田淳)や元陸軍研究員・白鳥(加藤良輔)の動向も2つの事件へとつながっていく。

警視庁、裏社会、戦後日本に生きる市井の人々——それぞれの視点から描かれていく物語が、徐々に絡まりあっていく。あるときは警部・小暮(梅澤裕介)のもとで成長していく刑事物語であり、あるときは節見の姉である京香(夏陽りんこ)に見守られながらの友情ストーリーであり、またあるときは人間の狂気が起こす悲劇でもあり……群像劇としての構成しながらも、一つの軸にフォーカスしていくグラデーションが心地良かった。

戦後日本に実在した事件の要素を彷彿とさせる題材。時代特有の混沌さを描きながらも、松井演じる節見がひたむきに物語を引っ張っていくため重たい空気に終始しない。クスッとできる笑いどころも盛り込みつつ、複雑な人間関係が紐解かれていくにつれてサスペンス感が増していく。

終盤は期待以上の息をのむ展開が待っている。毒薬、失踪、M資金、内通者の存在など解かなければならない謎も豊富。そして、タイトルにある“天鈿女”とはいったい何を指すのか、事件のカギを握っているのはいったい誰なのか——登場人物たちとともに推理していくと、いつのまにか緊張感が最高潮までに高まっていた。

上演は2月15日(日)まで。群像劇とサスペンス、各々の魅力をしっかり抽出した今作での没入感はぜひ劇場で味わってほしい。

取材・文・撮影=潮田茗

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